1986年に公開され、全米で最大動員数を記録した前作『トップガン』は、カワサキGPZ900Rも魅力的に描かれるなど、戦闘機を中心とした物語ながらバイクファンの記憶にも強く残った1作だ。2022年5月27日、36年ぶりの続編となる最新作『トップガン マーヴェリック』が公開される。

■タイトル:『トップガン マーヴェリック』(原題:Top Gun: Maverick) ■公開:2022年5月27日(金) ■コピーライト:(C) 2022 PARAMOUNT PICTURES. CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED. ■配給:東和ピクチャーズ ■公式サイト:https://topgunmovie.jp/

MA-1やレイバン・サングラス、そしてカワサキの“ニンジャ”ことGPZ900Rのブームを巻き起こした前作

アメリカ海軍パイロットのエリート養成学校、通称“トップガン”に所属するエースパイロット候補生の挫折と栄光の日々を描いた映画『トップガン』は、1986年(昭和61年)5月にアメリカ、12月に日本で公開されると、戦闘機のアクションによる映像美や、今でもファンの耳に残る音楽などにより、大ヒットを記録した。

この映画の中では、主人公の“マーヴェリック”がバイクで疾走するシーンもあり、その場面で使われたカワサキ「GPZ900R」の姿に“当てられた”ファンも多かった。これが日本におけるGPZ900Rの地位を確立させたと言っても過言ではない……かもしれない。

また、同じく映画の影響でフライトジャケット“MA-1”やレイバンのサングラスも大ブームとなり、当時の若者を中心に大人気を誇ったものだった。上野のア○横や郊外のアパレルショップなどでは、いわゆる“パチモン”が横行し、うっかり掴まされたことを昭和のセピア色のメモリーとして記憶している方もいるんじゃないだろうか。まあ、本物は値が張り、パチモンは安かったので当時の貧乏中高生にはそれしか買えなかったという事情もあったのでご容赦いただきたい。ってなんの擁護だ……。

ちなみに、MotoGPライダーのマーヴェリック・ヴィニャーレス選手は、お父さんがこの映画のファンだったことからスペイン人としては珍しいこの名前を付けられたという話も。とにかく当時、世界中のバイク乗りの心にビシビシ響いていたことがうかがえるエピソードだろう。

栄光のGPZ900R

カワサキ「GPZ900R」は1984年に誕生した当時世界最速のモーターサイクルで、1972年の900スーパー4、いわゆるZ1の栄光を受け継ぐスーパーマシン。エンジンは水冷DOHC4バルブの並列4気筒を搭載し、二次バランサーやサイドカムチェーンなど新たに採用していた機構は、その後の技術規範となっていった。空力特性も優れており、CD値は0.33と当時としては驚異的。908ccのエンジンは115PSを発生し、最高速度は240km/h以上、0-400m加速は10.976秒を標榜した。初代で前16/後18インチだったホイールは、のちにフロント17インチへと改められている。

1986年の映画『トップガン』で使用されたのは1985年式のZX900-A2(US仕様)で、車体色は「エボニー×ファイアクラッカーレッド」。翌年の欧州仕様(A3)にも、これに近いカラーが採用された。下記に初期型と黒×赤のUS仕様と欧州仕様を並べたので比較してみてほしい。ハンドルの高さやロゴの入り方、サイドリフレクターの有無など、見た目にわかる違いだけでも結構ある。
▲1984 ZX900-A1 ●ファイアクラッカーレッド×メタリックグレーストーン(US仕様) 1984 ZX900-A1 ●ファイアクラッカーレッド×メタリックグレーストーン(欧州仕様)▲1985 ZX900-A2 ●エボニー×ファイアクラッカーレッド(US仕様)▲1986 ZX900-A3 ●エボニー×ファイアクラッカーレッド(欧州仕様) 

上記に登場する“ファイアクラッカーレッド”は、今年2月に発売された「Z900 50th Anniversary」が採用したカラー名称でもある。

リアルを追求したスカイ・アクション!

▲公開されたティーザー素材。

最新作の『トップガン マーヴェリック』では、前作でも主人公マーヴェリックを演じた俳優トム・クルーズが再びマーヴェリック役としてカムバックを果たしたほか、『セッション』のマイルズ・テラーや、『ノア 約束の舟』などで知られるアカデミー賞女優ジェニファー・コネリー、『ザ・ロック』の名優エド・ハリス、さらに前作でマーヴェリックのライバル“アイスマン”を演じたヴァル・キルマーの出演も決定し豪華キャストが集結。監督には『オブリビオン』でもトムとタッグを組み、独創的なSFアクションが好評を得たジョセフ・コシンスキーが抜擢され、プロデューサーは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどでハリウッドの頂点に君臨した敏腕プロデューサー ジェリー・ブラッカイマーが務める。『ミッション:インポッシブル』シリーズの監督で知られ、トムの盟友として信頼の厚いアカデミー賞脚本賞受賞のクリストファー・マッカリーが脚本に加わるなど、ハリウッドきってのクリエイターが集った。

トムは、想い入れ深いタイトルを再び手掛ける喜びを隠さず「僕にとって、「トップガン」とは、空を飛ぶことへのラブレター。(映画の中の)飛行シーンはすべて本物だ」と、大空を翔ることへの情熱を熱く語っているという。観る者の手に汗を握らせる爆音を立て超音速で疾走する戦闘機や、息を飲む臨場感溢れる激しいドッグファイト、一瞬の判断ミスも許されぬ命がけの飛行は、トム自身が「飛行シーンはすべて本物」と語り、リアルを追求した超迫力のスカイ・アクションが展開される。

気になるバイクは、すでに予告編でGPZ900R とともにカワサキのハイパースポーツモデル・ニンジャH2Rが滑走路を疾走する姿が公開されている。世界最速を標榜したGPZ900R、そして現在の世界最速マシンであるニンジャH2Rがバイク乗りの胸を再びたぎらせる!

2020年モデルの継続生産という形で予約期間限定販売(納車は2021年6月)された「ニンジャH2R」は、これをもって生産終了。『トップガン マーヴェリック』の公開がコロナ禍で2022年にズレ込んだことから、公開時には絶版車となってしまっている。310PS/14000rpm(ラムエア加圧時326PS)という途方もないパワーを誇る、クローズドコース専用モデルだった。発売時価格は605万円。

前作ではアメリカ海軍の第4世代戦闘機であるF-14 トムキャットに搭乗していたマーヴェリックだが、今作は第4.5 世代という、第4世代の戦闘機が大幅に改修された時期のF/A-18E/F スーパーホーネットに搭乗。旧マクダネル・ダグラス社、現ボーイング社が手がけた戦闘機で、大幅な改修によって機体サイズがD 型より一回り大きくなっているとのこと。アメリカ海軍に配備されているこの艦上戦闘機は格納のために翼を90°折り曲げることができる機体である。劇中カットからピートは単座型のF/A-18E に乗るのか? 期待感を煽っている。 ▲主人公マーヴェリックを演じるトム・クルーズ。歳取らなすぎでしょ!▲新キャラクターを演じるというマイルズ・テラー。どんな役どころに?

【YouTube動画】映画『トップガン マーヴェリック』ファイナル予告

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