学校法人ホンダ学園の創立50周年を記念したチャレンジ企画「ホンダ学園 Cubチャレンジ」。前編では5月31日に「本田宗一郎ものづくり伝承館」で行われた関東校と関西校による合同イベントの模様をお伝えしました。
後編では、イベントの後に学生らが巡った本田宗一郎氏ゆかりのスポットについて紹介します。
郷土の偉人を紹介「本田宗一郎ものづくり伝承館」

▲郷土の偉人をたたえる展示施設「本田宗一郎ものづくり伝承館」。伝承館の建物は旧二俣町役場(昭和11年落成)などに使われていたもので、登録有形文化財として文化庁に登録されています
本イベントの会場ともなった「本田宗一郎ものづくり伝承館」は本田宗一郎氏の生まれ育った浜松市天竜区(旧磐田郡光明村)にあり、氏の生き方や考え方、ものづくりの歴史がわかる展示施設となっています。
1階には年譜や関連写真、初期のバイクなどが展示されるほか、氏の著作や関連グッズなどの販売コーナーもあります。展示車両はホンダコレクションホール(栃木県茂木町)からの貸し出しとなっており、不定期ながら車両の入れ替えも行われています。

▲1階の展示室の様子。氏の名言やあゆみが壁面に掲示され、ホンダバイクの名車が並んでいます。決して広いわけではありませんが、多くの人が休憩できるように椅子がたくさん並べてあるなど氏の想いが感じられるスペースです
2階では、氏に関する書籍を読むことができる図書スペースや展示スペース、映像で氏の足跡を学べる鑑賞コーナーなどが設置されています。また地元のアーティストの工芸品や地域の高校生が作った木工品なども展示され、地域との交流の深さを伺い知れます。

▲2階展示室の様子。氏愛用のドラフター(製図台)とアメリカのマスキー法(環境規制)をクリアした革新的なCVCCエンジン・カットモデルが目を引きます。図書コーナーの壁面には氏直筆の日本画も掲げられていました
大きな施設ではありませんが、本田宗一郎氏の人物像や創業期のホンダについて最もスムーズに理解できる展示となっています。バイク・クルマが好きな人にはぜひ訪れてほしいスポットですね。
●所在地:静岡県浜松市天竜区二俣町二俣1112
●開館時間:10:00~16:30、月・火曜定休 ※祝日なら水曜休館
●入館無料
宗一郎少年のいたずら「清瀧寺(せいりゅうじ)」

▲家康が嫡男の信康を弔うために建立した寺院。本堂には信康の位牌、家康の木像、歴代徳川将軍の位牌が安置されています
徳川家康の嫡男、松平信康(岡崎三郎信康)の菩提寺で、浜松市天竜区にある浄土宗知恩院の末寺にあたります。信康は武田家との内通を疑った織田信長の命により、近くの二俣城で自害させられた悲運の若武者として知られています(自害の理由には諸説あり)。
なお境内の釣鐘には、二俣尋常高等小学校時代の本田宗一郎少年が「腹が減った」と授業中に教室を抜け出して正午を知らせる鐘を30分前に突き鳴らし、まんまと弁当を早く食べたというユニークな逸話が残されています。

▲清瀧寺の鐘楼と氏が突いたと伝わる鐘。鐘には南無阿弥陀仏が刻まれており、生涯を通じて浄土宗に帰依した家康の信仰を伝えています
なお、尋常高等小学校というのは大正時代の学校制度において、尋常小学校(6年間の義務教育)のあとに2年間(地域等によっては3年間)通う学校のことです。
氏は自身の学歴について「小卒」であることを公言していましたが、東海精機重工業設立後にピストンリングの製造で苦労をし、技術の基礎を学び直そうと30歳を過ぎてから浜松高等工業学校(現 静岡大学工学部)の夜間・機械科に聴講生として通いました。そこで得た知識を活かし、高品質なピストンリングの量産化に成功しています。
●所在地:静岡県浜松市天竜区二俣町二俣1405
本田家のご近所さん「マスダヤ菓子店」

▲お菓子屋さんの店内にクルマがあるという違和感が凄いですが、壁面に掲示されている本田家の写真などを見ていると、納得すると共に引き込まれてしまいます
本田家が天竜二俣に引っ越した際、新居のすぐ近くにあったのがマスダヤ菓子店です。曾祖父は本田宗一郎氏と同じ小学校に通っていたそうで、店内にはEVカーチス号や氏の資料・写真などが所狭しと掲示されています。
また、万国旗とバイクのイラストが描かれた化粧箱が素敵な「ポンポンサブレ」は地元の名菓として愛されています。“ポンポン”とは戦後に流行した自転車用補助エンジンのことで、浜松ではこうした車両のことをポンポンと呼んでいました。
氏が開発した自転車用補助エンジン「カブ号 F型」(1952年)も全国の自転車販売店を通じて広く普及し、人気を博しました。

▲地元の名菓として知られる「ポンポンサブレ」(1箱700円 ※取材時)と往時の雰囲気が漂うお店の外観
なお「カーチス号」とは、氏が東京の自動車修理工場「アート商会」に勤める傍ら助手として製作に携わったレーシングカーのことです。アメリカ製ミッチェル・モーター・カーのシャシーにカーチス・ジェニー複葉機のエンジンを自動車用に手直しして搭載したもので、数々のレースで優勝を重ねました。
展示されているEVカーチス号は氏の生誕100周年(2006年)の際に復元されたもので、実物のカーチス号の約1/2サイズ。当初はカブのエンジンを載せていましたが、その後電動化されています。

▲ポンポンサブレはバイクの形を模しています。サクサクとした歯触りでほんのり甘いサブレです。天竜二俣のお土産に超オススメですよ!
●所在地:静岡県浜松市天竜区山東4295-3
●営業時間:9:00~18:00、火曜定休
本田宗一郎氏の母校「浜松市立光明小学校」

▲本田宗一郎氏の母校としても知られる浜松市立光明小学校。イベント会場をスタートしたホンダ学園の生徒らは道路工事の影響で迷いながらもグラウンドに到着しました(イベントに合わせ特別に許可を得ています)
光明小学校は本田宗一郎氏が通った山東尋常小学校の流れをくむ山東小学校と近隣の船明小学校が1968年(昭和43年)に統合、発足した学校で、現在にまで残る氏の母校となります。
校内の一室には「郷土・本田資料室」が設けられていて、地域の資料と共に郷土の偉人である氏に関する膨大な資料や希少な車両などが展示されています。

▲手前からホンダマチック(2段変速オートマチック)初採用の大型バイクとして知られるEARA(エアラ)、ドリームCB750FOUR-II、スーパーカブC50、中国製エンジン付自転車といった貴重なバイクが展示されていました

▲本田宗一郎氏に関する資料が豊富で、見ていて全く飽きません。生誕100周年に関するものも充実していて、氏の足跡がミュージカル化されていたことを知って筆者もとても驚きました
一般の方が見学する場合は事前予約が必要ですが、ここでしか見られない貴重な資料が多く、氏の足跡を詳しく知りたいのならば必見の施設と言えるでしょう。なお見学は学校の授業がある日に限定されています。
●所在地:静岡県浜松市天竜区山東2550
数々の名バイクを生産「本田技研工業 浜松製作所」

▲浜松市内にあるホンダの生産工場で、かつては二輪車生産の拠点だった浜松製作所
静岡県の浜松は1948年に本田技研工業株式会社が誕生した町です。浜松製作所は1954年に設立された生産工場で、ホンダ初の本格的な二輪車「ドリーム号」シリーズ、「ベンリイ」シリーズに始まり、2008年から2009年にかけて国内二輪生産拠点を熊本製作所に移管するまでに数多くの名車を世に送り出しました。

▲1954年の4月から2008年の3月まで二輪車の完成車を生産していました。その数はなんと14,310,716台!
現在は四輪車用のトランスミッションやリアデファレンシャルといったドライブユニットの製造拠点となっていますが、エントランスには楕円ピストンエンジン搭載で知られるNR(市販車・1992年)やCBR1000RRのセレモニー用エンジンなどが展示され、往時を偲ぶことができます。

▲移動中、関西校のリボーン号にトラブルが起きたものの何とか無事に到着して喜び合うホンダ学園の生徒たち

▲浜松製作所で記念撮影をするホンダ学園の生徒たち。道路工事や車両トラブルの影響で予定より後ろにずれ込んだものの、この後全員で本田技研工業発祥の地へ向かいました
●所在地:静岡県浜松市中央区葵東1丁目13-1
これにて「ホンダ学園 Cubチャレンジ 浜松・天竜 交流&報告会」のレポートは終了となります。学生たちのCubチャレンジは関東校、関西校ともに9月まで続けられる予定です。自分たちがレストアしたスーパーカブでの旅、最後まで無事に完走できるといいですね。

▲本田宗一郎氏の母校、旧光明村立 山東尋常小学校跡地も訪れました。中に入ることはできませんが、みんなでポーズ!
なお、浜松市内には本田宗一郎氏とホンダに関連するスポットがまだまだたくさん残されています。ホンダファンならずとも日本のバイクの創成期に触れる旅が楽しめることでしょう。ぜひ一度、愛車で巡ってみてはいかがでしょうか。
●学生がレストアした初代カブで全国行脚! 本田宗一郎氏ゆかりの地も巡る!<前編>
