伊豆半島北部の高校生とそのOBらによる地域クラブ「原動機研究部(原研)」が、8月13日(土)に富士スピードウェイで開催される「第2回 CUB-CUP(カブカップ)日本GP」に出場する。これに先立ち、8月3日(木)に行なわれた練習走行の模様をレポートする。

CUB-CUP(カブカップ)日本GPとは?

一年に一回、富士スピードウェイの国際レーシングコースをフルに使って行われるビジネスバイクの日本一決定戦。参加車両はほぼノーマル仕様のビジネスバイクのみで、決勝は3時間耐久レースとして行われる。

クラス分けは「電気屋(電動ビジネスバイク)」「ピザ屋(3輪車含む50cc以下AT)」「新聞屋(2st50cc以下)「寿司屋(4st60cc以下)」「ラーメン屋(2st90cc以下)」「そば屋(4st90cc以下)」「そば屋プロ(4st100~110cc以下 ※タイホンダ製品含む)」「カレー屋(4st125cc以下 ※タイホンダ製品含む)」「骨董屋(1965年以前製造の95cc以下)」の9つとなっており、ビジネスバイクの歴史をかいま見るように細かく設定されている。

いずれのクラスでも無改造エンジンが規定なので、最高速は70km/h程度となり、初心者でも参加しやすく、ツーリングスーツ(パッド・プロテクター装着を推奨)でも出場できるなど、とにかく敷居の低いレースとなっている。参加資格は18歳以上で、サーキットライセンスも不要だ。
なお、シリーズ戦として行なわれている「2022 CUB-CUP」は年間5戦で、今回の「第2回 CUB-CUP日本GP」は第3戦となる。今回、原研は3台のマシン(カブ、バーディー、ベンリィ)を用意し、OBや支援者の大人も加わって3チーム体制でエントリーする。

練習はカートコースで行う

カブカップの練習は富士スピードウェイ内のカートコースで行われた。ちなみに、カブカップの大会事務局もここにある。サーキットへの入場料1,100円と1日走行料金3,300円を足した4,400円で丸一日、走行練習できる。もちろんライセンスも不要だ。

なお、決勝レースは国際レーシングコースで行われるので、本番をイメージしながらそっちで練習したい場合は、ライセンスを取得したのちスポーツ走行枠で行うこともできる。

原研のメンバーも本番を前にカートコースでの練習走行を行った。普段は修善寺虹の郷(伊豆市が所有するテーマパーク)の駐車場で練習しているが、メンバーが夏休みに入ってからは練習量を増やし、毎週のように走り込みを行ってきた。
それでも、大半はまだ原付免許すら持っていない面々なので、今回の走行で3~4回目の練習という子もいる。つなぎも着慣れていなくて、ちょっと見ているこっちがドキドキしてくるのだった。

原研を応援する企業や自治体、個人は多い。田中部長が慣れない手つきでスポンサーのステッカーを貼っていく。クシタニ、OGK KABUTO、ティムソン(カスタムジャパン)といった用品メーカーや地域の企業、支援者らのステッカーが並ぶ。もちろん、伊豆市も支援自治体だ。
スポンサーや支援者から送ってもらったつなぎやヘルメットを着用する。新品のものもあれば着古したものもあるが、すべてがありがたいものだ。ただ、レーシングブーツに関してはまだ足りていないようだった(皆さん、使ってないモノがあったら送ってあげてください)。

左から、伊豆市の菊地市長、渡辺さん(高校2年・16歳)、尾崎さん(高校2年・16歳)、加藤さん(高校2年・16歳)、タレントの大槻ひびきさん。OGK KABUTOとクシタニからは新品のヘルメット、つなぎが提供された。

猛暑のなか、コーチの檄が飛ぶ! 

早朝からのピット設営を終えて、10時から走行練習が始まった。カブ、バーディー、ベンリィ(オートマ)の3台が次々にコースイン。同じコース上で排気量の大きなバイクも練習しているので、そうした速い車両をどう先に行かせるかなんてこともコーチからアドバイスを受ける。レースでは重要なスキルだ。
サーキットでレースをするということは、ただ速く走ればいいだけではなく、覚えなければならないルールやマナーといったものも多い。そうしたことを鳥居さん(上写真中央)、木村さん(下写真)といったレース経験豊富なコーチ陣が教えている。皆さん、ボランティアだが、子供たちに教える気持ちがアツイのだ!
練習が始まった頃は「日頃の練習成果がまったく出せていない!」「走行ラインを間違ってる!」など檄を飛ばしていたコーチ陣だが、午後の練習ではメンバーの上達に合わせて交替スパンを短くし、より実戦的なライン取りなども教えていた。
メンバーの上達ぶりに「その辺のツーリングライダーよりは走れている」「ひとり一人伸び始めている」と太鼓判。大人たちの心配をよそにあっという間に成長していく原研メンバーだった。

▼原研部長の田中さん(専門学校生・18歳)の走り。さすがは部長、目線も肩も腰も入った鋭い走りを見せていた。「絶対に表彰台に立ちます!」と闘志を見せていた。
▼愛称“ワイルド”の加藤さん(高専生・18歳)は体を大きく使い、スムーズな切り替えしが印象的。本戦もエースとして期待されている。「師匠と大槻さんのためにも確実に完走したい。1年間練習してきたので緊張でつぶれることなく自信を持って走りたい。2人を表彰台に立たせたい」と目標を語った。
▼「バイク乗車経験はまだ3回ほど」と言いながらも綺麗なフォームで変速もスムーズ。走りの才能を感じさせた尾崎さん(高校2年・16歳)は「クリーンに戦って絶対に完走したい」と意気込んだ。
▼この夏のレースが終わったら受験勉強という加藤さん(高校2年・16歳)。まだ乗り慣れていないが、だんだんペースを上げられていた。本戦では「無理しすぎずに走り切りたい」と抱負を語ってくれた。
▼伊豆市・伊豆半島へのライダー誘致、地域の高校生へのモビリティ普及など原研と様々な施策を進めている伊豆市の菊地豊市長もレースに出場。16歳で自動二輪免許(大型にも乗れる)を取り、46年ぶりの本格走行を楽しんでいた。
▼原動機研究部の支援者であり顧問でもあるタレントの大槻ひびきさんも自ら出場する。先日、普通自動二輪免許を取得したばかりだ。

レース参加に必要な知識も習得!

今回の練習走行は、原研メンバーらが本戦に出るだけのレベルにあるかどうかの見極め的な意味合いもあった。カブカップの出場資格に18歳以上とあるなか、現役高校生メンバー(16歳の3人)は特別枠で出場させてもらうので、レース参加に必要な各種フラッグ等の説明を受け、テストに合格することも必須条件となっていたのだ。
あまりにコース走行がおぼつかなかったり、テストに不合格するようでは出場を見送らざるをえないため緊張の一瞬となったが、そこはさすがに現役高校生、記憶力がずば抜けていて全員正解だった! あ、私も説明を聞いておりましたが覚えられませんでした(爆) 若さってスゴイ!
8月13日(土)の決勝(予選10:30~、決勝13:30~16:30)の模様はForRにてレポートするのでお楽しみに!

【追 記】※8月14日(日)追記
台風8号の影響により8月13日(土)の「第2回 CUB-CUP日本GP」は中止となってしまいました。本当に残念ですが、原動機研究部の今後の活動にご期待ください。



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