旧モデルとの違いは一目瞭然
レッドバロンではバイクカバーや電熱グローブ、レインウェアなど、さまざまなギアを自社でプロデュースして、オリジナルブランド「ROM」より販売している。どれもがライダーの「こんなのが欲しい!」という細かいポイントをついた秀作なのだが、なかでも僕が気に入っていたのがヘルメットである。
SRやXR BAJAにはクラシックタイプの「ストリートデモ」が似合うが、仕事柄いろいろなバイクに乗る僕は「ゼロスヘルメット」も重宝していたのだ。
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そしてこの春、ゼロスヘルメットがフルモデルチェンジを果たしたという。「まあ、だけど旧モデルは完成度が高かったからなー。そんなに変わってないんでしょ?」と思ったけれど、大間違い!! 手に取った新型「ゼロスヘルメット ジェット2(以下、ジェット2)」は何もかもが旧モデルとは違っていたのだ。
旧モデルはモノトーンとツートンがあったが、今回はモノトーンのみ。価格は旧モデルのツートンと同じ2万1780円だ。昨今の物価上昇を考えると、このリーズナブル設定は嬉しい限り。しかも嬉しいのは価格だけではない。先述のとおり、その装備も大きく進化しているのだ!
詳細を紹介する前に、まずは旧モデルと比較してみよう。
最大の違いは帽体の素材で、旧モデルのABS樹脂からFRPに変更。強度を大幅にアップさせている。
デザインを見てみると、旧型は高さが低く、その分前後が長くなっているように見える。対して新型は十分な高さを持ち、シルエットのバランスが良い。また、シールドも深く、顎の方まで覆うような形状となっている。
真横から見ると、その違いはより明らかだ。帽体の高さとシールドの深さが大きく違っていて、新型の方がよりしっかり頭をホールドし、シールドも顔を保護してくれるような印象である。
リブラインもより深くなっていて、エッジの効いたスポーティデザイン。高速走行での空力にも期待できそうだ。
ダクトの位置は同じだが、形状が大きく変わった。新型ではより高いデザイン性を持たせているのが分かる。また、帽体はシャープになり、リアのエアロ形状も相まって、よりスポーティなイメージとなっている。
新モデルでは帽体サイズが「S〜L」と「XL〜XXL」の2種類になっているのも、旧モデルとの大きな違いだ。「S〜L」帽体によって小ささや軽さを実現。同時に「XL〜XXL」帽体を用意することで、新たにXXLサイズを展開できた。もちろん、頭のサイズに合わせた帽体を用意することで、より高いフィット感と安全性が確保できている。
各ディテールもレベルアップ!
では、ディテールをチェックしてみよう。
シールド
下部にリブを設けることで、強度をアップ。高速域でも不快なビビりがなく、クリアな視界を保つという。また、シールドカバーを廃することで、シャープなシルエットを実現するとともに、風切り音を減少している。
インナーバイザー
旧モデル同様、フリップアップタイプのインナーバイザーを装備。鼻部分にリブを設けることで、強度をアップしている。また、メガネが接触しないようにレイアウトされているのも、僕のようなメガネライダーには嬉しい配慮だ。
帽体左側の下部にインナーバイザーの開閉レバーを装備。操作はスライド式で、レバーは大きくて分かりやすい場所にあるため、トンネル内に入ったときや、急な逆光でも素早く対処できる。
あごひも
ワンタッチタイプのバックルは旧モデルから変わらず。ただし、スチール製にグレードアップして、強度を大幅にアップしている。押し込み量は2段階で調整可能だ。
通常、ヘルメットのあごひもといえば、チークパッドの内側に取り回されているもの。しかし、ジェット2ではチークパッド内部を通り、外側から出ているのだ。これによって、あごひもを締めるとチークパッドごと頬部分を締めつけることができる。
今までになかったこの構造は感涙もの! フィット感が大きく向上している。
あごひもとは別にヘルメットホルダー取付用Dリングを装備。「ちょっと奥まり過ぎてない?」と思ったそこのアナタ……
引っ張ると伸びます! 使う時だけ出せる、地味だけどめちゃくちゃ考えられている機能なのだ。
ジェット2もそうだが、これまで紹介してきたバイクカバーや電熱グローブなど、ROMの商品は「開発者が本当にバイクが好きで、自分でもガンガン乗っているんだろうなあ」と思わせる物が多い。ライダー目線に沿った細やかな視点にいつも感動させられるのだ。
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内装
内装は3点式で、取り外して洗濯が可能。チークパッドはベルトサポート一体式となっているので、一般的なヘルメットより脱着の手間が少しだけラクなのも、嬉しいポイントである。
チークパッド取付部分にはスピーカーホールを装備。インカムをセットしやすくなっている。
ライナー
内側のライナーはブラックアウトされているのだが、これには理由があって……
一定レベル以上の衝撃が加わると、その部分が白くなる。これによって、継続使用の可否が判断しやすくなるのだ。
ホールド感とシールドの質感が高い!
実際に被ってみると、ホールド感の良さに感心。後頭部の下の方までしっかり覆われている印象で、安心感は高い。あごひもを締めると、ホールド感がさらに高まる。ディテールで紹介したように、ジェット2はチークパッドごとあごひもを締める構造となっているので、頬全体がグッとホールドされるのだ。
ただし、そうした構造のため、あまりキツくあごひもを締めすぎると、あごの関節が痛くなることも。通常のヘルメットより、ほんの少しだけ緩めにしておくのが良いかもしれない。もちろん、緩め過ぎは厳禁だ。
シールドの質感も良い。あごの下までしっかりカバーされているので、高速道路を走行した時に不快な風の巻き込みを感じることはなかった。また、強度をアップしたおかげで、ビビりのなさをたしかに実感。高速走行時に不快な視界の揺れが一切ないので、ライディングに集中できた。
インナーバイザーについては、正直に書くと旧モデルの方が出し入れしやすかった。しかし、フニャフニャした操作感のレバーが少し心許ないことがあったので、新モデルでカッチリとした操作感になったのは高ポイントといえよう。
フルモデルチェンジによって、ROM ゼロスヘルメットは劇的な進化を遂げたといっていいだろう。安心・安全なバイクライフを送るうえで、強くおすすめできる逸品だ!