アライのシールド付きオフロードヘルメットとしては11年ぶりのモデルンチェンジを行なって登場した『ツアークロスV(ツアークロス・ブイ)』。前回はこの新型ヘルメットの機能面や従来モデルのツアークロス3との比較をお届けしたが、今回は実際に使ってみた感想をレポート!

アライの新型アドベンチャーヘルメット『ツアークロスV』は3タイプのスタイルが選べる

新型シールド付きオフロードヘルメット『ツアークロスV』の最大の特徴は、「ADVENTURE STYLE」、「OFF-ROAD STYLE」、「ON-ROAD STYLE」と、用途に合わせてスタイルが3変化すること。

 

新開発のシールドシステム・VASの採用で3つのスタイルが簡単かつ追加パーツなしで可変できる『ツアークロスV』。今回は①高速走行や雨天走行などツーリングに使いやすいシールド付きの「アドベンチャースタイル」を高速道路&一般道で、②シールドを外してゴーグルを装着した「オフロードスタイル」をオフロードコースで、それぞれテストしてみた。

シールド付きの「アドベンチャースタイル」はツーリングに便利!

アライのシールド付きオフロードヘルメット『ツアークロスV』

従来モデルのツアークロス3比で視界が広く、クリアになった新型の『ツアークロスV』。

 

びっくりしたのは視界の広さとクリアさが従来モデルのツアークロス3に比べて格段に向上していることだ。とくにシールド部分の平坦化によるクリアな視界はかなりの変化に感じる。ツアークロス3では夜間走行時や薄暗い林道などでは視界の歪みが気になってシールドを上げたくなるようなこともあったが、新作の『ツアークロスV』ではシールドの湾曲がほぼ気にならなくなったのだ。

アライのシールド付きオフロードヘルメット『ツアークロスV』

シールドの湾曲を抑えてクリアな視界を確保しながらも、オフロードヘルメットらしいシャープなシルエットを実現した『ツアークロスV』。

 

この視界のクリア化はチンガード部分の張り出し具合を抑えたことによる恩恵なのは間違いないが、すごいと思うのは単にチンガードの飛び出しを抑えただけでなくデザイン的にオフロードヘルメットらしいシャープなデザインを保持していることだ。

というのもチンガードの張り出しは運動量が多く息の上がるオフロード走行で呼吸しやすくするためのもの。デザイン的にもこのチンガードの張り出しがとても大切。この張り出し具合が少ないとなんだかちょっとオフロード用ヘルメットとしては“イケて”なくなってしまうのだ。

アライの新型アドベンチャーヘルメット『ツアークロスV』はオフロードヘルメットらしいシャープなデザイン

実質的なチンガードの張り出し具合を抑えてクリアな視界を確保しながらも、シャープなデザインのために“しっかりチンガードが張り出しているように見える工夫”をしている。実際、横方向の視界もかなり広がった印象がある。

 

よくよく見ると『ツアークロスV』はチンガードの張り出し具合を抑えながらも、“開口部を広くワイドに”したり、“チンガード部分を細く”したり、“リブなどのデザインを工夫”することでオフロードヘルメットらしい前に尖ったスポーティなデザインを作り上げているのがわかる。

またベンチレーション機能もツアークロス3に対して大きく向上している。額のロゴマークがベンチレーションになっている「フロントロゴダクト」からの空気の流入が大きく、一般道の巡航走行レベルでも前頭葉あたりが冷やされているのを感じる。

アライの新型アドベンチャーヘルメット『ツアークロスV』は涼しい!

快適性にも徹底的に拘っており、アストロGXで新採用されたフロントロゴダクトを採用。しっかり涼しさを感じるヘルメットに仕上がっている。

アライの新型アドベンチャーヘルメット『ツアークロスV』は高速走行も快適

ベンチレーションは特にフロントロゴダクトからの空気の流入は非常に顕著。一般道の巡航走行レベルでも前頭葉あたりが冷やされているのがよくわかる。大きく開口部を設けたバイザーのおかげで高速走行時の走行風の抜けもよく、頭が振られるなんてこともない。

 

ゴーグルを使う「オフロードスタイル」なら激しめのオフロード遊びも可能!

アライの新型アドベンチャーヘルメット『ツアークロスV』はゴーグル使用が可能

シールドを外した「オフロードスタイル」はゴーグルを装着してみたときのおさまりもいい。ちなみに今回使用したゴーグルはariete(アリエテ)の8Kで、ゴーグルのサイズも大きくバンドも太め。

 

筆者はオフロードモデル系の試乗依頼が多いこともあり、従来型のツアークロス3に加え、オフロード専用モデルのVクロス4もよく使っている。そんな立場からシールドを外した「オフロードスタイル」の感想を言わせてもらうと、『ツアークロスV』で十分オフロード走行ができると感じた。

オフロードヘルメットの使い勝手において一番気になるのはやはり呼吸のしやすさだ。従来モデル比でチンガード部分の張り出しが少なくなって口の前のエアボリュームが減った『ツアークロスV』はちゃんとしたオフロード走行に使うには呼吸がしにくいのでは? と予想していた。ちょうどよくハスクバーナ・モーターサイクルズの新型車両Norden 901エクスペディションの試乗会があったので、これ幸いと『ツアークロスV』を持ち込んでみることにした。

アライの新型アドベンチャーヘルメット『ツアークロスV』は呼吸がしやすい

マウスシャッター部のベンチレーション開口部分はツアークロス3比で200%広がっている。

 

試乗会場となった御嶽エクスプローラーパークは標高2000m近い高地、しかも相手は重量級のアドベンチャーバイクで息が上がるような走行を行うことになったが、『ツアークロスV』は変な息苦しさを感じることはなかった。

もちろんオフロード専用品のVクロス4の方が、よりチンガードも飛び出していて呼吸がしやすくはあるのだが、マウスシャッター部のベンチレーションがかなり効いているような印象で『ツアークロスV』も予想したほどの息苦しさを感じない。ロード用のフルフェイスヘルメットでオフロード走行したときのような閉塞感や息苦しさがないのだ。

軽さに関しては当然ながらVクロス4の方が軽く、バイザーも大きくてモトクロスやエンデューロの競技に適しているのはVクロス4であることは間違いない。ただ“バイクライフの大半はツーリングでたまにオフロード走行する”という使い方なら、『ツアークロスV』の「オフロードスタイル」で十分こと足りることだろう。

アライの新型アドベンチャーヘルメット『ツアークロスV』はシールドを取り外さなくてもゴーグルの装着が可能

『ツアークロスV』なら、ツアークロス3と違いシールドを外さなくともゴーグルの装着が可能。この第4のスタイルともいうべき“ゴーグル併用”が高速移動の多い林道ツーリングではとても便利。

 

ちなみにこの『ツアークロスV』、“ツアークロス・ファイブ”と読んでいる方もいるようですが、正式な読み方は“ツアークロス・ブイ”。というのもアライヘルメットさんによれば、従来モデルのツアークロス3は海外では「TOUR-X4」の名前で販売しており、今回の新作は「TOUR-X5」なのだとか。ローマ数字の“5”は“V”であり、そんな流れもあって“ツアークロス・ファイブ”と読みたくなるが、日本国内での名称は新開発のシールドシステム・VASの“V”をとって、『ツアークロスV(ツアークロス・ブイ)』としたそうだ。

 

アライ『ツアークロスV
価格:単色:6万9,300円 / グラフィック:7万9,200円

 

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