バイク用品メーカーが製造販売している、各種ライディングブーツやライディングシューズ。筆者も何足か活用していますが、ツーリングの際によく履くのは、実は「タクティカルブーツ」なのです。軍や警察の特殊部隊が使用している、バイク用に作られたわけではないタクティカルブーツを、なぜ愛用しているのか。今回はそんなお話です。

タクティカルブーツとは

 各国の軍や警察などの特殊部隊が使用している、タクティカルブーツ。市街地はもちろんジャングル、砂漠など、路面状況が悪い中でも活動しやすいようにと企画されたブーツです。比較的軽量で、グリップ力が高く、濡れた路面でも滑りにくく、足と足首をしっかり保護してくれる造りになっています。

タクティカルブーツ

ツーリングにも向いている

 滑りにくいので降雨時のライディングでも安心だし(赤信号で停止するとき、出した足が雨で滑ったことはありませんか?)、製品によってはブーツ自体に防水素材が使われていたりします。

 特殊部隊が銃や重たい装備品を持って、走ったりしゃがんだり、急に立ち上がったりすることを想定して作られたブーツですから、動きやすさも上等。ツーリング先で街歩きを楽しんだり、高原でトレッキングをしたりなんて、お安い御用。

タクティカルブーツ

▲ビーナスライン周辺にも手軽なトレッキングルートがいっぱい。ツーリングついでにちょっと散策、おすすめです


 それでいて、ライディングにも合うんです。ブーツのアッパー部分には程よい厚みがありますし、くるぶし周辺も同様、肉厚になっていますから、足の内側で車体下部をホールドしやすいんですね。

タクティカルブーツ

 ライディングブーツには必ずあると言ってもいい〈シフトチェンジパッド〉はありませんが、それほど困ることではないでしょう。筆者は過去30年近くタクティカルブーツでバイクに乗っていて、シフトチェンジパッドがないからブーツのアッパー部分に穴が開いた、ということはありません。
 シフトチェンジパッドがないから表面に傷がついた、ということはあります。また、チェンジレバーが当たる箇所の、ブーツ内部の透湿防水素材が傷み、浸水するようになったこともあります。
 でもまあ透湿防水素材の劣化については、履いているうちに遅かれ早かれ生じることですから気にしていません。そもそも降雨時は、ブーツ用のレインカバーを装着していますし。

脱いだり履いたりもラク

タクティカルブーツ

 筆者が好んで履いているのは、ブーツ丈が6インチのもの。タクティカルブーツは8インチのものも多いのですけど、それだと夏場にスネが蒸れる(ただし冬場は暖かい)。
 それに6インチで、さらにサイドジップのモデルだと、脱いだり履いたりがラクなのです。
 ツーリング先で、たまにあるじゃないですか。食堂に入ったらテーブル席がいっぱいで、小上がりの座卓に通されること。そんなとき、6インチのサイドジップであれば、それほど苦労はしません。

タクティカルブーツ

 サイドジップのタイプだと、一度ヒモを自分好みのフィッティングで締め付ければ、その後はジッパーの開け閉めだけでブーツを脱ぎ履きできるというのも利点。
 まずは靴紐をすべてゆるめ、かかとを地面にトントンと当てて位置合わせをし、つま先側からくるぶし側にかけて靴ヒモを均等に引き締めておきましょう。

BATES「SHOCK TACTICAL BOOTS」

 筆者が今まで履いてきたタクティカルブーツは、すべて米国BATES(ベイツ)社の製品です。現在は「ショック タクティカルブーツ」シリーズの6インチ・モデル「SHOCK-6 SIDE ZIP」を履いています。

タクティカルブーツ

 防水加工が施された本革製で、くるぶしから下の部分は通気性防水素材を内蔵。外側はしっかりして固さもありますが、内側はクッション性があって履き心地がいいです。

タクティカルブーツ

 ソールは滑りにくく、堅牢なラバーアウトソール。

タクティカルブーツ

 ブーツの外側の側面には、ハニカム構造の弾力性が高いTPU(熱可塑性ポリウレタン)と通気メッシュ素材パネルを配置し、プロテクション効果と通気性を高めています。
 ちなみに「DRY GUARD」というのはBATES独自の透湿性防水素材のこと。履いて歩いて、シフトチェンジも繰り返すわけですから、2年も3年も完全防水なんてことはありませんが、使い始めのうちは効果が期待できます。

タクティカルブーツ

 ブーツ内側のサイドジッパーは、安心のYKK製ナイロン素材。ジッパーを締めれば引手をカバーする構造で、車体を傷つけにくいもの。

タクティカルブーツ

 ソールは4層構造で、インソール(写真手前)は密度の異なる2種類の発泡素材を使用し、クッション性とアーチサポート性を獲得。
 ミッドソールは(写真中央)は履き心地を高めるため、衝撃を吸収・分散させるハニカムパターンの成型層とクッション性の高い発泡素材層で作られているそうです。

 これでお値段19,800円(税込)。2~3年も履いてボロボロになったら新製品に買い替え、また履きつぶして買い替え、気づいたら30年近くもBATESのタクティカルブーツを愛用してきました。
 なんだか最後はBATES(日本での取り扱いは中田商店)の宣伝みたいになってしまいましたが、タクティカルブーツはNikeも何種類か発売しています。日本のバイク用品メーカーの最高峰のひとつクシタニのタクティカルブーツもカッコいいです(さすが、シフトチェンジパッドも付いてる!)。
 バイク用のブーツをどうしようかとお悩みの際は、今回の話を思い出し、どんなメーカーがどういったタクティカルブーツを販売しているのか、ぜひ探ってみてください。

 

 

 

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事