恥ずかしながら白状しよう。ゴールデンウィーク初日にテネレ700でオフロードコースで遊んでいてちょっとしたジャンプの着地に失敗して転倒。投げる間も無くテネレ700に押し潰される形で左足の甲を骨折した(自分のバイクでよかった!)。まぁ、骨折やヒビくらいはいつものことなので医者に行かずナリユキで適当に治そうなんて軽く考えていたのだが、どうにもおかしいので近所の医者に行ったら、どうやら足の甲がバキッとサバ折りされたことで起こる“リスフラン関節脱臼骨折”という割とめんどくさい症例らしかった。
「これウチじゃ無理だね。紹介状書くから大きい病院で診てもらって」なんてたらい回しにされながら次の病院に行ったら、「手術だね。いつから入院できる? この脱臼を放っておくと土踏まずのアーチが落ちたまま固まってちゃんと歩けなくなりますよ? ……っていうか何でこの状態で歩けてるんです?」なんて具合で問答無用で入院が決定。生まれて初めての全身麻酔まで受ける騒ぎになってしまった。
あれから3ヶ月、脱臼で潰れた土踏まずを串刺し固定していたペグも抜けたし、リハビリを1ヶ月巻いて松葉杖も早々に取れたのだが、まだ体重をかけるのがちょっと不安……ということで、ライディング用インソールを作るkinefoot(キネフット)さんに、オーダーメイドでインソールを作ってもらうことにしたのでその模様をレポート!
現場30分でできるオーダーメイドインソール
kinefootインソールさんとの出会いは1年前。イベントでブースを取材していて、「スキー界では熱可塑性樹脂で足形にピッタリのインソールを作ることが割とポピュラーなんですが、ライダー専用にチューニングしたインソールを開発したんです」。……なんて話を聞いていたらどうにも試してみたくなってトライアルブーツ用を作って貰ったのだが、これがめちゃくちゃ気に入って手放せなくなってしまった。
というのも、kinefootインソールと出会う前はスタンディングでステップワークを多用すると妙に足が攣りだすのが悩みだった。鍛錬不足と言われればそれまでなんだけど、O脚のせいかどうやら外足の荷重は足刀を返してステップに踏ん張るクセがあるらしく、無理な姿勢だから力が入りづらく踏ん張りきれない。変な力を入れるから攣りやすいということらしい。
そんなポジションの悪さをインソールで調整、ちょっと親指側を下げることで、しっかり足首の関節を使えるようにしてもらったのだ。インソールを換えるだけで、しっかりステップを踏み込めて足が攣らなくなるなら儲けもの……なんて考えたのだが、これがどハマリ!
アドベンチャーバイクでのスライドコントロール時にステップが踏み込みやすくなったし、スタンディングを多用した際のふくらはぎの腓返りが格段に減った。オフロードブーツは走行が終わるとすぐに脱ぎたくなったり、バックルを緩めていたりしたのだが、丸1日履いていても気にならなくなったくらいだ。
足の故障に合わせたオーダーメイドインソールも制作可能
……と前置きが長くなってしまったが、今回僕が作ってもらったのは左足の骨折症状に合わせたインソール。刺さっていたペグを抜いた後には持ち上げた土踏まずのアーチが落ちてしまわないように土踏まずを常に押し上げておく装具を付けていたんだけど、問題はこの装具が取れた後のことだ。
当方、バイクに乗ってナンボな商売なもんで、いち早く仕事に復帰したいのだが、流石にしばらくはオフロードバイクでのジャンプやスタンディング時のステップ荷重には若干の不安が残る(笑)。なのでその不安を少しでもインソールで減らせないかと、kinefootインソールの樋口さんに相談してみたのだ。
なんと樋口さんはもともと、ケガしたアスリートの復帰の手伝い、リハビリ後のトレーニングをサポートするお仕事をしているそうで、立ち方や歩き方を見てその不具合をインソールで問題解決する……なんてことが専門なのだとか。僕の要望を伝えた時も、「リスフラン関節脱臼骨折ですね。ライディング中に土踏まずを保護するようなインソールが欲しいということですね。なんとかしましょう!」なんて感じでとにかく話が早かった。
まずびっくりしたのは現場に持っていったオフロードブーツがその場で履けてしまったことだ。まだまだむくみが酷くインソールなしでどうにかブーツに納まるような状態だったので、オフロードブーツを履くのはもうちょっと先の事だろうな? ……なんて思っていたのだが、ブーツの方も足の形を見ながら調整していただいたおかげでインソールを入れた状態で足がスルッと入ってしまったのだ(笑)。
こうなるとバイクで走って具合を確かめてみたくなるもの、……と立ち上がってみるといつも履いている靴ではケガした左足を庇うように歩いていたのだが、それが必要なくなってしまった。まぁ、オフロードブーツそのものが固定具というかギプスみたいなもんだが、それでもインソールを換えただけで違和感なく歩けてしまうことに驚く。
そしてなにより3ヶ月ぶりのオフロード走行が楽しくてたまらない(笑)。まぁ、まだリハビリ中。医者からは「ジョギングはまだダメ!」と言われている状態なので無理をするつもりはさらさらないのだが、それでもスタンディングで恐る恐るステップを踏み込んだりしても左足に不安がないのだ。しっかりインソールが土踏まずをサポートしてくれているのが感じられるのが凄い。
ライダーにはライディングブーツが合わず中で足が遊んでしまうとか、外反母趾気味で当たって痛いなどなど、ケガによる足の故障だけでなく悩んでいる方が意外と多い。パーフォーマンスアップを望むライダーはもちろんだが、足がブーツに当たって走りに集中できない……そんなライディングブーツに悩みを抱える方は一度、kinefootインソールさんに相談してみてはいかがだろうか?
kinefootインソールのイベント出展予定
9月7日 鈴鹿ツインサーキット「ピレリ FUN TRACK DAY」
9月28日 鈴鹿ツインサーキット「第12回カスノ大運動会」
10月2日 岡山サーキット「KUSHITANI RIDING MEETING IN OKAYAMA」
10月26日 袖ヶ浦フォレストレースウェイ「ピレリ FUN TRACK DAY」
11月9日 袖ヶ浦フォレストレースウェイ「ライディングパーティ」