いつだか看板を見かけて以来、地元でずっと気になっているパン屋がある。看板に書かれている内容からするとフランス人が作る本場フランスパン。…なのだけど、手書きのタッチも含めて個性的というかなんというか、とにかく気になっている。

ことあるたびに行ってみようと思うのだが、かなりの路地裏というか住宅街のなかにあるらしく、うろ覚えの道順ではなかなかたどり着けないでいたのだ(笑)。この際ちゃんと調べて訪れてみようとホームページを覗いてみたのだが、こちらもなかなか個性的な内容でびっくり仰天!

フランスパン シオ ティエリ

仏人お手製と思われるフランスパン屋の看板。内容はたぶん地図的なもので、「ひとまず直進。お墓と西高校の近くにある」というのは読み取れるのだが、なんでか毎回辿りつけないんだよね…

 

つたない日本語で頑張って作っている手作り感あるホームページを見ていると、ますます興味がわいてきた。しかも、朝7時から営業しているとのことでこの朝飯ツーリングのお題にもぴったり。このフランス人が作る本場フランスパンで、フレンチトーストを作ってみようというのが今回のメインテーマである。

民家の軒先が販売所で裏庭にパン窯!?

うろ覚えではたどり着けなかった店舗だが、しっかりお店の名前で道順を調べてみればあっさり到着できた。…というか店舗があるとは思えないような路地裏にあるため、先入観が邪魔して視界に入らなかったようである。知る人ぞ知るというか、見事な結界としかいいようがないが、着いてしまえば看板どおり確かにお墓の奥にそのフランスパンの店はあった。お手製の案内看板やホームページに負けないなかなか個性的な外観だが、それはぜひご自身の目で確かめてみてほしい。

フランスパン シオ ティエリ

やはりお店も手作り感満載で、路上で見かけた看板の店であることはこのトリコロールカラーで明白。お店の脇にバイクがとまっているのも気になるぜ!

フランスパン シオ ティエリ

玄関がそのままお店になっており、基本的に無人販売スタイルで「レジ」と書かれた木箱に投げ銭する。おつりがあれば、置かれた計算機を使って計算してタッパーの中から持ち出す方式のようだ。僕は勝手がわからずおつりボックスの中に料金を払ってしまった。

運よく店主のティエリさんに会うことができた。ちょうどパンを焼くための薪を運んでいるところだったようで、手作りだというパン窯も見学させてもらえた。13年前に日本にやってきたティエリさんは、静かな場所を求めてこの千葉県八千代市に住むことになったらしいが、日本でも美味しいフランスパンが食べたいと、自身の故郷であるフランス・ウワザンの田舎パンを再現。パン屋を開くことを決意したんだとか。

フランスパン シオ ティエリ

奥がパン窯。ここ八千代市の粘土に農家から分けてもらった藁を練り込んで、いちからパン窯を作った。故郷の伝統的なローマ式のパン窯と一緒で、内部で薪を燃やして灰を取り出し、その予熱がちょうどいい温度になったところでパンを焼くのだという。

フランスパン シオ ティエリ

やはりティエリさんはバイク乗りだった。F800GSは市内の販売所へのパンの配達に使っているのだという。

 

●フランスパン シオ ティエリ
●場所:千葉県八千代市吉橋2825-2
●電話:047-429-8207
●営業日:火、水、土、日(無人販売/定休月7〜8月)
●営業時間:午前7時〜午後5時
http://www.furansupan.jp/pain.html

残念ながら、パンの名前からはどれもどんな味かはわからなかったので、ホットサンドメーカーで焼きやすそうな四角いパン、「ブリオッシュ」と「ドゥモアゼールのパン」を買ってみた。他にも色々あるがすべて天然酵母を使った伝統的なパンらしい。

フランスパン シオ ティエリ

「ブリオッシュ(手前/690円)」と「ドゥモアゼールのパン(奥/590円)」。他にも土産がわりにいくつか買ってみたが、ベーキングパウダーなどを使わず作るティエリさんのパンは素朴な味がした。

 

生みたて新鮮たまごの直売所

パンが手に入ったら次はフレンチトーストに必須のたまごである。こちらもどうせなら地元のものを! と調べたら近くに養鶏所に隣接した24時間営業のたまご自動販売機があるらしい。バイクを走らせるとすぐに目的のたまご直売所は見つかったのだが、なんだかちょっと様子が変だ。直売所の前に数人のお客がなにかを待っている風に佇んでいるのだ。


なんだろうと思っていると、ちょうど奥から大量のたまごを運ぶスタッフが現れ、その場で直売が始まった。なるほど、みなさんその日の産みたて卵を買おうと、直売所の自動販売機にたまごを補充するタイミングを待っていたってワケだ。

宮島養鶏場 たまご直売所

毎朝9時のたまご補充のタイミングを狙って続々とお客さんがやってくる。

宮島養鶏場 たまご直売所

卵の運搬用ケースを返しにくる方もいるところをみると毎朝風景なのだろう。

 

●宮島養鶏場 たまご直売所
●場所:千葉県四街道市鹿放ヶ丘489-4
●電話:043-422-6029
●営業日:無休(朝9時ごろにその日のたまごを補充)

うーん、千葉県に生まれて千葉県で育ったが、こんなところに養鶏所があって、しかも毎朝その生みたてのたまごを楽しみにしている人たちがいるなんて知らなかった。ツーリングはこれだから面白い。走り出せば何か自分の知らない世界に偶然出会うことができるのだ。それが家から数百キロ離れた場所でも、家から20km圏内でも変わらないのが面白いところ。

宮島養鶏場 たまご直売所

たまごは8個で200円。バイクで運ぶなら空のたまごケースを持っていくといいだろう。

 

ホットサンドメーカーで簡単フレンチトースト!

地元の「フランスパン」に「たまご」。牛乳は当然地元のコーシン牛乳。これで材料は揃った!

 

材料が揃ったところで向かったのは利根川の河川敷にあるデイキャンプエリア。宿泊は不可だが無料で解放されていて非常に開放感がある場所。コーヒーを淹れて一息ついたら調理スタートだ!

キャンプの朝食用調理器具として最近お気に入りなのがホットサンドメーカーだ。仕事柄いろいろなアウトドアメーカーのホットサンドメーカーを試してみる機会があったが、おすすめなのがコールマン製のもの。パンにハムを挟んで焼くだけという単純なことしかしていないのだが、同じように焼いてみてもなんだか香ばしくて美味しいホットサンドができる。多分、中央の間仕切りのようなパーツがいい仕事をしているのだろう。

パンを切り、卵と牛乳をかき混ぜて卵液を作る。牛乳が多めだと焦げ付きにくいようだぞ。

バットの卵液にパンを浸し、その間にホットサンドメーカーをプレヒート。

コールマンのホットサンドメーカーは焦げ付きにくいが、念のためバターを溶かしておく。

卵液に浸した崩れやすいパンをホットサンドメーカーに乗せる場合にはターナーがあった方がいい。

焼き時間はもはやお好み。ちょいちょい開けながら焼き具合を見定めよう。

ホットサンドメーカーを開けるといい匂いが漂いだした! 初めて作ったにしてはなかなか上出来ではなかろうか?

最後にシナモンシュガーを振りかければ、地元食材で作ったお手軽フレンチトーストの完成だ。

 

今回はそんなホットサンドメーカーでフレンチトーストに挑戦。フレンチトーストそのものは何度か作ったことがあるものの、屋外で作るとなると焦げ付きを気にしながらひっくり返すのが手間でどうも作る気にならなかったんだよね。ところがホットサンドメーカーを使ってみたら、両面焼くのも非常に楽だし、心配した焦げ付きも意外に少ない。このホットサンドを使ったフレンチトーストはなかなか手軽で便利ですぞ!

千葉の本格フランスパンに地元の生みたてたまごで作る贅沢な朝食。晴れた休日の朝はこんな朝食を屋外で楽しむのもいいもんだ。

 

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