「夏」といえば、なんですか? 人によっては「夏といえば夏山」「いや、暑いからプールでしょ」「夏はビアガーデンだな」と、いろいろあっていいわけですが、多数決を採れば「夏といえば海」がダントツ1位でしょう。それは我々ライダーにとっても同じこと。暑いとはいえ、夏はシーサイド・クルージングに出かけたい。今回ご紹介する宮崎県の「日南フェニックスロード」なんて、風景、走りごたえ、ともに日本トップクラスのシーサイドルートでは?
日南海岸に沿って南へ!
日南フェニックスロードとは、宮崎県宮崎市の南部から、日南海岸に沿って串間市の都井岬まで、70㎞以上も続く海沿いの一般道(国道220号線や448号線など)の総称。その名前から「有料の観光道路かな?」と思いがちですが、違います。
日南海岸という名称も、そういう名前の海岸がどこかにあるのかというと、そうではありません。このあたり一帯の海岸を、北から南まで全部ひっくるめて名づけられたもののようです。
大海原とフェニックス
日南フェニックスロードは、どこまでも続く海と、沿道に植えられた無数のフェニックスが印象的。このフェニックス(カナリー椰子)はそもそもアフリカのカナリア諸島が原産で、宮崎に自生していたわけではありませんでしたが、「宮崎観光の父」とも称される岩切章太郎氏が1936(昭和11)年から日南海岸に植え始め、やがてこれだけの規模に広がっていったとか。
フェニックスは宮崎県の「県の木」に制定されているほど、宮崎のシンボル的な存在。筆者なども、このフェニックスの並木を見ると「ああ、宮崎に来たな」と感じ入るのです。
このフェニックスのある南国ムードいっぱいの風景が、どれだけ宮崎の印象を高めていることか。
先人の、先見の明に感心するばかりです。
道沿いには立ち寄りたい観光名所も
日南フェニックスロードは、ツーリングの途中に立ち寄りたくなる観光名所もたくさんあります。
まずは青島(チンタオじゃなくて、あおしま)と、鬼の洗濯岩。
宮崎市南部、日本の「渚100選」のひとつ、青島。周囲1.5㎞ほどの小さな島ですが、亜熱帯性植物がうっそうと茂る南国情緒満点のスポット。この島へは歩いて渡ることができます。
青島を取り囲んでいる波状岩は、「鬼の洗濯岩」と呼ばれているもの。700万年ほど前の海中の地層が隆起したもので、波に洗われ、固い砂岩層だけが切り立つように残ったのだそうです。
これで洗濯したら、鬼のパンツもぼろぼろになりそう。
青島観光を楽しんだら、日南フェニックスロードを南下。そのほか立ち寄りたいスポットは、大海原の眺めが素晴らしい観光名所「堀切峠」、山幸彦・海幸彦の伝説の舞台となった「鵜戸神宮」、日本在来種の野生馬「御崎馬」が放し飼いにされている「都井岬」なども。
「道の駅 フェニックス」へは、ぜひ!
ツーリングの最中、食事やトイレ休憩などでお世話になるのが、道の駅。日南フェニックスロードを旅する際は、「道の駅 フェニックス」が絶好の位置にあります。
国道220号線に道案内が出ていますので、指示に従って国道を離れ、県道377号線へスイッチしてください。「道の駅 フェニックス」は、日南海岸を代表する景勝地「堀切峠」のすぐそば。
建物の1階は物産館、3階は展望所。実に眺めがいいのです。
建物の前には、たったいま走ってきた道と、フェニックスが立ち並ぶ芝生の広場が。そしてその向こうには、鬼の洗濯岩と、白波の立つ紺碧の海。
バイク雑誌では定番の撮影スポット。ツーリング雑誌の編集者をしていた筆者も、30年以上も前からお世話になってきました(当時は道の駅ではなく、ドライブインだった)。初めて訪ねたのは20代のころ。あのころに比べると日南海岸のフェニックス、どれもずいぶん大きく育ったなあ。そんな印象を受けます。
「チキン南蛮」で夏バテを防ぐ!
ツーリング先では、その土地ならではのご当地グルメをいただく。これぞ旅めし。ということで今回は、チキン南蛮。
宮崎県延岡市発祥だそうで、もともとは昭和30年代の洋食屋さんのまかない料理「鶏から揚げ甘酢漬け」だったとか。
南蛮とは、南蛮漬けの略。戦国時代、南蛮貿易のために来日したポルトガル人やスペイン人が、食材を唐辛子入りの甘酢に漬けて料理していたところから、この呼び方に。
タルタルソースを使わないお店もあるようですが、甘酸っぱいタレが染みた唐揚げにタルタルソース、合うと思うのは筆者だけではないはず。メシが進むのです! 外は暑くても、飲食店の中は冷房が効いていますから、夏バテ解消のためにもしっかり食べましょう!
いまや全国区となったチキン南蛮、当然ながら宮崎県内のいたるところでいただけます。
「道の駅 フェニックス」の2階のレストラン堀切でも食べたことあったなあ、と思って調べてみたところ、レストランは新型コロナの影響で2022年3月31日に閉店したとか。残念! 1階のファストフードコーナーでは名物ソフト(マンゴー、日向夏など)や数量限定のホットドッグがいただけるようですが、チキン南蛮が食べたいなら、現地で検索するのが早いかな? あるいは延岡市まで足を延ばし、チキン南蛮発祥のお店(「おぐら」と「直ちゃん」、諸説あり)で味わってみるのも、旅の思い出になっていいかも。それでは、また!
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