内地(本州・四国・九州を指す)では当たり前にある街路灯や防犯灯だが、北海道には市街地しか存在しない。なにしろ広大な北海道、電線を引くのも大変な費用がかかるからだ。

さらには、人の住む街から街の間が10キロ以上になる道東・道北エリア。基本的にバイクでの夜間走行はお勧めしない。

灯りが無いので、夜間の視界はヘッドライトのみ。万が一、ヘッドライトのタマ切れとなったら大変だ。そして夏でも日没後には一気に気温が下がって身体がこわばる。さらには動物の飛び出しでの事故リスクも急上昇する。

 

夜になると真っ暗通り越して真っ黒になる。

 

「エゾシカに気を付けろ!」

北海道ツーリングを楽しむために肝に銘じてほしいのです(しかも昼夜問わず)。

何故なら道路は「エゾシカの生活圏の中を通っている」のだ。特に夜間走行をする場合、ライダーの視界はヘッドライトが照射する部分だけになる。ハイビームを使っても、100メートル先を照射するだけ。これでは大きな体のエゾシカさえ発見が遅れてしまう(時速60km/hで走っていたとして、1秒間に約17メートル進んでいることを覚えておくことも重要)。

エゾシカに限らず動物の目は夜間、光を受けるとリフレクターのように反射する。

「ん?あれなんだ?何か光ってるぞ?」と3秒ほど考えているうちに、すでに50メートルは進んでいることになる。

エゾシカに安全確認をするルールなんて持ち合わせていない。自らの命を守るためだけのルールのみ存在する。近付いてくる発光体(バイク)から命を守るために森の方に逃げず、道路を横断して逃げるエゾシカも多い。

「まあ、森の方に逃げるだろう」なんて安易に予想していたら、ジャストミート!は在り得る。

子供のエゾシカでも大型バイクと同じサイズ。それとぶつかったらバイクは大破するし、ライダーは宙を舞うことになるかもしれない。もし見つけたとしてもハンドルで回避せず、バックミラーで後方確認をしてブレーキ!徐行、停止して様子を見るのが正解だ。

そして重要なことがもう一つ。

エゾシカはほぼ単独で行動しない。群れになって行動していることが多いので、1頭のエゾシカが道路を通過したら「次も来る」と思っておいた方が無難だ。

 

北海道ツーリングで時々出会うエゾシカの親子。子供なんて本当にめんこい(可愛い)よね。

 

道東や道北では街の中にもエゾシカが現れる。

 

エゾシカは北海道全域に分布し、その数は年々増え続けていて社会問題となっている。単に道路に出て来る危険動物であると言う観点ももちろんある。しかし農作物を食い荒らすのである。つまり農家にとっては害獣でもあるのだ。

目を覆うようなショッキングな画像をいくつか紹介するが、これがエゾシカの実態だ。

 

道路を横断中にはねられたエゾシカ。

 

はねられたエゾシカ用の回収ボックス。

 

これらエゾシカの死骸は管轄する道路管理局の職員が撤去し、焼却処分される。

運転中、参考になるのが「シカ注意」の道路標識だ。この標識の前後はエゾシカの通り道であると言う意味もある。

この標識の付近に限らず注意してツーリングを楽しもう。

 

エゾシカを害獣として扱う北海道では、害獣駆除のために地元の猟友会の狩猟家が出動する場面も見られる。

農家のかたが畑の作物を食い荒らしているエゾシカを見つけると、役場や狩猟家に通報する。

そして、駆けつけた狩猟家は数百メートル離れた場所からエゾシカを仕留める。害獣駆除の証として尻尾を切り取り、所定の機関に持って行くことにより、害獣駆除の補助金をもらうのだ。ちなみにこの補助金だけで生活できるわけでは無い。だから、あくまで副業になるのだ。

お多福食堂の主人でもあり、狩猟家でもある。

 

昨今では鹿肉が高タンパク、低脂肪と言うことでいろいろな料理に使われている。川湯温泉の「お多福食堂」では、エゾシカの焼肉定食が美味しくいただけます。ラーメンに入っているチャーシューもエゾシカチャーシューなのだ。

仕留めたエゾシカは美味しくいただきます。

 

夜間走行で道路に飛び出してくるのは、エゾシカだけではない。キタキツネ、タヌキ、ネズミ、エゾリス、野良ネコ、野良イヌ、カエル、ヤマシギという鳥も。一度だけだがシマフクロウとぶつかりそうになったこともある。

 

雨降りの夜だったら怖いよね。

 

 

夏の北海道は日没後でも空が明るい。でも、くれぐれも余裕を持ってね。

 

北海道ツーリングでは夜間走行はしない。そうした余裕を持ったツーリングプランを考えておこう。

暗くならないうちにチェックインを。

 

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