皆さん、魚は好きですか?私は大・大・大好きです。

そんな筆者、高木はるかは地方住み。
2018年に東京都中央卸売市場が築地から豊洲へ移転して以降、「いつか東京へ行く機会があれば、豊洲市場へ行って海鮮を食べるぞ!」なんて思っていました。
そして今回、その機会にめぐりあったと思ったら…豊洲ではなく、旧市場である築地へ行くことになったのです。

きっかけは、都内在住の知人女性のアドバイス。
彼女曰く「豊洲はビルだし、早朝の競り以外は市場っていうよりもレストランって感じだよ。築地は昭和感が残ってて味があるし、ブラブラ歩くのに面白いんじゃないかな?」

ということで、今回は滞在先のホテルから築地まで、片道40分ほどのショートツーリングへいってきます!

街と街のグラデーション

筆者が滞在をしていたのは、東京都北区にある王子駅前のホテルです。
都内の中では比較的落ち着いた街かもしれませんが、筆者の普段の生活から考えると人も車も多い!
なにより午前6時に出発して築地に到着するまで一切田んぼや山を見ることなく、ずっと街中を走り続けたことにカルチャーショックを受けました。

面白いのが、街ごとに歩いている人の属性や雰囲気が変化すること。

10分ほど走った東大前は、構内を中心に街路樹がたくさんあって閑静な雰囲気。学生さんが多いようです。


20分ほど走った秋葉原は、大小さまざまな建物が立ち並び雑多な雰囲気。私服で通勤している会社員が多いようです。


30分ほど走った銀座は、背の高いビルがたくさん!意外にも通行人が少なく、驚きました。


そして築地の商店街前に到着すると、昭和の雰囲気を残す商店街が広がっていました。

東京23区内の道は全体的に渋滞が多く、特に築地に関しては幅員が狭いため、車で訪れると不便に感じるかもしれません。
ストップアンドゴーが多い中でも、カブはクラッチ操作が不要な快適さと、ギアチェンジがある面白さを両立できます。都内で走るにはピッタリな乗り物といえるかもしれませんね。

ひとつだけ困ったのが、築地周辺にバイクを停められる場所がないことでした。


警備員の方に聞いたところ「観光客用の駐輪場はないよ。路上に停めたら駐禁を切られるかもしれない」ということ。
筆者は一旦築地を離れ、徒歩5分ほどの場所にある駐輪場を利用しました。

あらゆる魚がゲットできる!

※築地では、多くの店舗で写真撮影が禁止されています。本記事では店舗の許可を得て撮影しました。

朝ご飯を探して訪れたのは築地魚河岸。
市場が豊洲へ移転した後も築地に活気を残すために作られた、仲卸業者を中心に60店舗ほどの小売店が入る生鮮市場です。

市場に入ると、長い通路の左右にお店がたくさん!発泡スチロールの中に入れられた魚たちが目に飛び込んできました。
名前がわかるだけでもクロダイ、マダイ、ブリ、アンコウ、マグロ、カニ、フグなど……数えきれないぐらいの種類が並んでいます。

鮮魚以外にも野菜、乾物、スパイス、玉子焼き、漬物、キノコなどを販売している店があり、どれもがその分野の専門店でした。

中でも目を惹かれたのが、マグロの専門店 米彦さん。


マグロまるごとを店内で解体して販売しているそうで、ホホ肉や脳天、目玉など、スーパーでは手に入らないレアな部位も売られていたのです。

中でも気になったのが、写真右側の背骨付の中落です。買いたかったのですが…大きすぎたため断念。中トロのお刺身(税込900円)をゲットしました。

店内に並んでいた1kgのまぐろブロックに思わず「大きい…!」とつぶやいたところ、店員さんは「これでもまだ小さい方です」って!

完全に業務用サイズ。お寿司屋さんが買い付けに来るのでしょうね。

続いて目に留まったのが、穴子専門店の山五さん。

ご主人が店の奥で穴子を煮ていて、おいしそうな匂いにつられちゃいました。

煮穴子や穴子めしなどが並ぶケースの前で迷っていたところ「他にも食べたいものがあるなら、巻き寿司(税込648円)がいいんじゃないかな」と勧めてもらいました。

レジでお会計中に「シャリにもタレが混ぜ込んであるから、味わってくださいね!」なんて言われるとお腹が空いてきました。ヨダレが垂れちゃいそう…!

働くバイクのパラダイス!?

最後は築地魚河岸から出て、商店街を散策してみました。目を奪われたのは、見慣れない電動モビリティでした。

そのお店は、玉子焼の専門店 松露(しょうろ)さん。店舗の前に停まっていたのは三輪タイプの車両でした。

お話を聞くと、豊洲にある店舗との往復のために導入されたのだそう。
「豊洲市場の中は排ガスNGで、電動じゃないと入れないんです」

車両はイケヤフォーミュラ製の『IF-T1』で、最大積載量150kgと意外にパワフル。毎日4~5時間充電して使っているのだそうです。


お話を聞きながらショーケースを見ていると、朝ご飯にピッタリなカップ入りの玉子焼き(税込260円)を発見。迷わずゲットしました。


松露さん以外にも、多くのお店の前にバイクが停められていました。
どのバイクも、ひと目見ただけで長く使い込まれているのがわかります。

特に多かったのが、カブ系とジャイロ系。小さくて取り扱いやすく、積載量も多く、パッと乗ってパッと停められる。最近でこそ趣味用途で使われる機会が増えましたが、ビジネスバイクとしてこれ以上ないほど優秀であることを、現場が証明しているようでした。

数十台並んだ原付たちを見ていると、築地は働くバイクのパラダイスであるような気がしてきました。

市場のテラスで朝食を


気になるものを全部購入し、待ちに待った朝ごはんの時間です。築地魚河岸の2階にあるテラスでいただくことにしました。

まずはマグロのお刺身から。
口の中でじゅわっととろける中トロは、ぶ厚くてやわらかい!
普段スーパーで買うマグロは水っぽく生臭いことがあるのですが、コレはさすが専門店のお刺身。むっちりとした食感とほのかな甘みを感じました。

中トロなのでアッサリしすぎずしつこすぎず、程よく脂がのっています。実は筆者、大トロを食べると胸やけがしてしまうのですが、このお刺身は最初最後までずっと幸せな気持ちで食べられました。


続いては、穴子の巻寿司。

フワッとした食感の穴子には甘口醤油のタレがしっかりと染み込み、噛むごとに旨みが押し寄せます。臭みはまったくなく、プロの腕を感じさせられました。
また丸ごとかぶりついた時の食感も素晴らしく、キュウリのコリコリとした食感、卵焼きのムギュッとした食感との相性は抜群です!

全体的に甘めの味付けで、お腹も心もホッコリとさせてもらいました。



最後は卵焼きです。

自分では絶対に作れない!というぐらいにたっぷりとぶ厚い出汁巻き卵。

カップの中に入っていた時はドライに見えたのに、口に入れたらすぐに出汁がたっぷりと染み出してきて驚きました。
筆者の中では出汁巻きと言えば温かいイメージがあったのですが、これは冷たくても美味しい…というか、冷たいからこそ美味しいような気がしました。

穴子の巻寿司と同様、味付けは甘め。
偶然かもしれませんが、今回食べたものはどれも優しい味付けでした。昭和のおおらかな雰囲気が残る築地の街並みに、少しリンクしているように感じるのは気のせいでしょうか。

ご飯を食べ終わり、2階から築地の町並みを眺めました。
エプロンを身に着けた職人がバイクに乗って訪れ、店舗の人々は忙しく歩き回り、観光客が買い物袋を持って歩いている様子が見えます。

遠く離れた場所に乱立する高層ビル群とのギャップが大きすぎて、まるで時間の流れが違うみたい。古き良き日本の風景が、ここだけに残っているようです。

「築地はずっとこのままでいてほしいな…」

美味しい朝ご飯でギュウギュウに膨れたお腹をさすりながら、つぶやいたのでした。


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