地図で国道4号沿いを眺めていたら、"昭和レトロ好き”筆者の臭覚をくすぐる店がたくさんあるではないか……。これは行ってみるしかあるまい! というワケで、さっそくツーリングに出発してみた。珍道中の始まりはじまり~。

約束された雨の中、北上を開始!

100%(笑)。
6月某日、私としては珍しくツーリングに出かけることにしたのだが、降水確率が100%という。「90%」は見かけるけど、「100%」は台風の日ぐらいしかお目にかかった記憶がない。

それはともかく、事の始まりは次のとおりだ。
仕事で那須方面に行く用事があり、これに便乗してツーリングしてしまおうと思いついた。2021年12月に購入したスーパーカブ110(JA44)の走行距離もまだ全く伸びておらず、慣らし運転も終わらせることができて一石三鳥だ。
ネットで調べてみたら道中の「国道4号線沿い」に面白そうなスポットが出てくるわ出てくるわ。筆者はオートパーラーに行った記事をForRに掲載したように、うらぶれて味わい深い「昭和レトロ」好き(過去記事はコチラコチラを参照)。
なんとも"そそられるスポット”から4軒を選んで出かけることにした。

しかし前々から「100%」の予報が。もちろん中止、延期を考えたけど、他の日はスケジュールが埋まっているし、仕事に絡めてのツーリングなのでズラしようがない。

ただ、ユウウツにはならず、不思議とワクワクして童心に返る自分がいた。
50歳になり、最近、若い時のように無鉄砲なことをしていない。ドシャ降りの中、バイクでひたすら走る、なんてことは普段なら絶対やらないけど、あえて馬鹿になってやると思うと、なんだか気力がみなぎってくる。
それに近頃つくづく思うのだ。「地球に比べてちっぽけな人間なんて上手くいくほうが珍しい、上手くいかないほうが普通なのだ」と。雨なんて大したことないと思えてくる。

そんなことを考えながら当日に。当たり前だが、強い雨が朝から降っていて、室内にいても雨音が聞こえるほどだ。完全防備の雨仕様で出発した。

↑愛車スーパーカブ110(JA44)で出発。写真は雨で嫌がる妻に無理やり撮ってもらった。雨用に完全防備のハズだったが……。

 

カッパは、レッドバロンがプロデュースする「ROM ライディングレインスーツ」を着用。身体の動きに合わせて伸縮するストレッチ素材を採用する上に、耐水圧2万mm、透湿度2万g/㎡・24hを誇る。絶好の雨だけに、その実力を見せてもらおうか!

カッパは問題なさそうだけど、グローブと靴が不安だった。
グローブはメッシュグローブの上に某社製オーバーレイングローブを装着。先日初めて使用した際に中が濡れたのだけど、裾から入ったような気もするのでリベンジのつもりだ。靴は透湿防水ショートブーツだが、年季が入っていて外側の合皮にヒビが入っているため心許ない。後にこの予感は見事的中することになるのだ・・・・・・。

何を言っているのかわからねーと思うが、いつのまにか東京駅にいた!?

埼玉と栃木を北へ縦貫する国道4号に合流するため、埼玉県川口市の自宅から北東方面にひた走る。
その前に1軒目の目的地に立ち寄る予定。こちらも北へ抜ける旧日光街道沿いにあり、ここで朝飯をとるつもりだ。

1時間も走ると埼玉県北葛飾郡杉戸町にある目的地に近づいてきた。住宅地にあるため探しにくいかな、と思ったら、旧日光街道(県道373号)からシッカリ看板が見えた。

あ…・・・ありのまま今起こった事を話すぜ! 俺は埼玉県を北上していたと思ったら、いつのまにか東京駅にいた。な・・・・・・何を言っているのか(以下略)。

ここが第一の目的地である『東京駅食堂』(埼玉県北葛飾郡杉戸町杉戸1-2-21)。もう名前だけで優勝! それに「葛飾の東京駅」っていうのもオモシロイ。

だが、のれんがかかっておらず、中が暗い。今日は営業日のハズだが、またやってしまったか? (自分は引きが弱いため、こういうことがしょっちゅうある)

左手にある、仕出しの工場みたいな建物内に人影が見えたので、「お店は今日やってますか?」と声をかけると、「やってますよ」とのお返事。
唐突にのれんが掲げられ、営業が始まった! ネットで調べてみると「朝9時営業開始」だが、現在は10時近い。このアバウトさがまたイイ。

――実は、後に改めて調べてみると、営業時間は「11~16時」が正しいようだ。弁当の注文は9時~なのだが、その情報が一人歩きしてしまっているとのこと。
また夕方は早めに閉まることもあるそうなので、不安な場合は事前に確認されたい。

店内に通してもらう。もちろん客は私一人。中の空間は・・・・・・まさに昭和の食堂!

↑テーブルは4席、相席なら14人は座れそう。卓上の調味料トレーもいい味出してます! 店内は清掃が行き届いていて清潔。

 

店に入ると、人のよさそうな割烹着のおかみさんが「すごい雨だったでしょう! タオル持ってきましょうか!」と声をかけてくれる。なんて親切な! 人情に感じ入りながら、今のところ濡れていなかったので丁重にお断りした。

メニューを見ると、値段が安い! ラーメン450円、カレーライス540円、チャーハン540円、焼肉チャーハンセット650円。豪華そうな「箱弁 松」1080円を除けば、天丼750円が最も高い。

私はなんとなくミックスフライ定食600円を頼んでみた。小食なので、ご飯を半分にしてもらったら、おかみさんが「え、半分で大丈夫!?」と心配してくれて、またホッコリしてしまう(笑)。

↑なんと小ライスは学生さん無料! 太っ腹だ。私が頼んだミックスフライ定食も小ライスにしたら50円引きされていた。ありがたや~。

 

はんぺんと玉子焼きのマリアージュ!? マジっすか 

お店のTVを見ながらひたすら待つ。関東圏以外の人にはわからないかもしれないが、TVでは「じゅん散歩」が始まり、次の「ワイドスクランブル」まで始まってしまった。私のために開店してもらったようなものだから仕方ない(?)と思っていたら、ついに着膳。

おぉ美味そう。このボリュームで550円は安すぎるだろう。私には半ライスで十分だ。

 

↑いただきまーす。おっと、はし袋はオリジナルだぁ!

 

さっそくフライにかぶりつくと、コロモがサクサク揚げ立てでウマイ! のだが、身がヘンだ。とてもフワフワしていて、少なくともフライの身としては未体験の食感である。記憶の中から似た食感を探すと・・・・・はんぺん? そんなフライあるのか?

 

↑コチラが懸案のフライ。はんぺん? そんなフライは50年生きてきて初体験である! 写真を見ると、中にチーズがサンドされているようだが、食べた時は特に感じなかったなぁ。

 

はんぺん(?)が三つあるほかは、一般的なイカ、エビ、ウインナーが各一つずつ(ウインナーのフライは一般的とはちょっと違うか?)。あとの二つがまた初体験の食感だった。またも脳内を検索してみると、これは・・・・・・玉子焼き!?

 

↑見た目もやはり玉子焼きである。そんなフライは50年(以下略)。

 

完食! 満腹だ。とても美味しかったけど、なんだか不思議な気分がしている。

お会計の際、おかみさんにフライの身の正体を尋ねてみると、「はんぺんと玉子焼き」で正解だった! さすが東京駅。ハイカラだぜ。よくよく考えてみれば、はんぺんや玉子焼きのフライは、安い値段でお腹いっぱい食べてもらおうという粋な心遣いなのだろう。

ついに店名の由来が判明したような、そうでもないような

さらに、お店のことも聞いてみる。

オープンはなんと56年前! おかみさんが2代目という(残念ながら写真はなし)。
おかみさんの親父さんが初代だ。初代は、職員として東武線杉戸駅(現在は東武動物公園駅)に勤めた後、脱サラして食堂を始めた。
最大のポイントである店名の由来は、「みんなによく聞かれるんだけど、それがよくわかんないのよ~」とおかみさんが笑う。ただ「東京駅みたいに人が集まってくるように、という思いがあったみたいだけどね」という。「ね、わかったような、わかんないような感じよね」とおかみさん。
いえいえ、大体わかりました(笑)。

おかみさんに「大変だねぇ、気をつけて」と声をかけてもらい、再びカッパを着てスーパーカブで走り出す。当然、雨は降っている。なんせ100%なのだから、止んでもらっては拍子抜けというものだ。

こうして東京駅を後にした(と書くと何かカッコイイな笑)。
やけに親切にしてくれたおかみさん。最初から誰かに似ているなぁ、と思っていたのだが、走りながら、うちのオフクロだと気付いた。

(以下、その2に続く!)

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事