前回は、【暑気払い! 山形・宮城「蔵王エコーライン」と冷やしラーメン】と題し、夏の東北ツーリングスポットをご紹介しました。暑い季節は、標高の高い山岳ルートを走るのが一番。食事なら、火照った体をクールダウンさせてくれる冷たい麵が一番! というのがその理由だったわけですが、だったら「蔵王ハイライン」と「冷たい肉そば」は? ということで今回のお話は前回の続編です。
「蔵王ハイライン」とは
蔵王ハイラインは、蔵王エコーラインの最高所にある刈田(かった)峠から分岐している有料道路で、さらに標高の高いところまで駒を進めることができるショート・ワインディング。距離は2.5㎞しかありませんが、風景のスケール感は蔵王エコーラインよりも大きく、通行料金を払ってでも走りたい絶景ルートです。バイクの通行料金は390円で、この料金には道の終点にある山頂駐車場の駐車料金も含まれていますから、それを考えれば安いもの。
「蔵王ハイライン」の場所はここ
蔵王ハイラインは、山形県と宮城県の県境から、わずかに宮城県側にあります。蔵王エコーラインまで無事に辿りつけば、あとは道なりに走るだけ。標高が上がるにつれ、気温はどんどん低くなっていき、メッシュジャケットだけでは寒いぐらい……。冬は深い雪に覆われるため、蔵王エコーライン同様に通行止めとなります。
御釜はぜひとも見学しておきたい
蔵王ハイラインを登り切ると、乗用車300台分の大きな駐車場に到着。バイクを駐め、2分ほど歩けば展望台に出られます。眼下に広がるのは、宮城県を代表する観光スポット「御釜」の眺め! 御釜は1000年以上も昔の噴火でできた窪地に、雪解け水や湧水が集まり、見事な火口湖となったもの。天候や時間帯によって湖水の色が変化することから、五色沼とも呼ばれています。
展望台からもうちょっと高いところまで移動してみましょうか。10分ほど登ったところに、蔵王刈田嶺神社の奥宮が建っています。ここは蔵王連峰のひとつ、刈田岳の山頂。腕のカシオ・プロトレックで標高を計測してみたら、1721mと表示されました(正確には1758mのようですが)。合計12分の山歩きで山頂が制覇できるとは、なんともお手軽ですが、それでも山頂は山頂。周囲をぐるりと見渡せば、蔵王連峰のパノラマ風景が楽しめます。こうしてみると、蔵王ハイラインの通行料金390円が、なんとも安く感じますね。
御釜と蔵王連峰の眺めを堪能したのち、バイクを駐めておいた駐車場まで戻りましょう。県営の蔵王レストハウスがありますから、お土産を買ったり、トイレ休憩をしたりするのもいいですね。というより、このあたりでは唯一の大型休憩処ですから、ぜひとも立ち寄っておきましょう。1階には無料の休憩所、2階にはレストランもあります。レストランではかつ丼やカレーライス、山菜そばなどがいただけます。
走り終えたら山形名物「冷たい肉そば」を
蔵王ハイラインを下り、蔵王エコーラインを山形県側まで走り切ったら、どうするか。山形名物の「冷やしラーメン」をいただきましょう! というのが前回のお話でした。猛暑の夏に、冷たいラーメンスープをゴクゴク飲むのは最高のごちそう。そう断言した筆者でしたが、それだけでいいはずがありません。実は山形には、「冷たい肉そば」という名の〈ご当地料理〉も存在するのです!
これが「冷たい肉そば」。どんぶりの中には、冷たいつゆがたっぷり。よく冷えたドンブリを両手で持ち上げ、口をつければ唇がひんやり。そしてゴクゴクとノドに流し込めば……! 歓喜の一瞬はここにもあるのです。
鶏ダシの効いたつゆに、具は鶏肉。それも若鳥ではなく、親鳥。身の締まった肉は歯ごたえがよく、腰の強い田舎そばの食感によく合います。火照った体にうまさと冷たさが染みわたり、「冷やしラーメン」もいいけど「冷たい肉そば」もいいよなあと、つくづく思うのです。
冷たい肉そばの発祥の地は、山形市のすぐ北にある河北町。ですが現在は、村山地方を中心に広く普及しているようで、筆者がいただいたのも山形市内にある「立花」というおそば屋さん。この地方では冬でも冷たいそばが一番人気なのだそうです。わかるなあ、その気持ち。
ということで、暑気払いに「蔵王ハイライン」と「冷たい肉そば」はどうですか? というお話でした。どうせなら「冷やしラーメン」もハシゴしちゃいますか。あー、コロナが落ち着いたら蔵王に行きたい。ではまた!