熊本県の山都町(やまとちょう)は国指定重要文化財「通潤橋(つうじゅんきょう)」や、バイクの部活「二輪車競技部」がある矢部高校などで知られている山間部の町だ。阿蘇外輪山の南側に位置し、国道218号がメインルートとして東西に延びている。

▲国道218号線は信号が少なく走りやすい道。飛ばさずに景色を楽しんでほしい


国道218号を西に走れば、やがては熊本市街に向かって山を下り、東に走れば、宮崎県に入ったのち、高千穂峡や延岡市街へと至る。

今回のツーリングでは、外輪山をグリーンロード南阿蘇で東へ向かい、高森町から南下して山都町の東部から中心市街地までを時計回りに巡った。

▲グリーンロード南阿蘇はケニー・ロバーツが愛した道として通称「ケニーロード」とも呼ばれている

今年度中に高速道路が山都町中心部まで延伸!

▲今年度中には完成・開通が見込まれている山都通潤橋インターチェンジ


さて、いま山都町に注目すべき理由のひとつに高速道路の延伸がある。今年度末までに、九州中央自動車道の延伸による「山都通潤橋(やまとつうじゅんきょう)インターチェンジ」が市街中心部に開通予定で、これによりアクセスが断然良くなるからだ。

九州自動車道との接続部である嘉島(かしま)ジャンクションからの所要時間はわずか19分となり、熊本市街や福岡・鳥栖方面からも訪れやすくなる。インターの向かいには道の駅も建設中だ。

▲インターチェンジの向かいに建設中の道の駅


それでは、秘境・絶景・パワースポットに意外な名物など、山都町ツーリングの魅力を前編・後編に渡って紹介しよう!

ブルーベリー好きにはたまらない「道の駅 そよ風パーク」

高森町から南下してくる途中、国道265号沿いにある道の駅。そよ風物産館では特産物のブルーベリーとその加工品が豊富に販売されている。この一帯は山都町内の旧蘇陽町(そようまち)地区にあたりブルーベリーの一大生産地なので、その直売所としてブルーベリーソースやジャムのほか、冷凍ブルーベリーなどもお手頃な価格で販売されているのだ。
また、山都町の野菜をふんだんに使ったバイキング形式の「レストラン マアム」や阿蘇五岳や九重連山が望める宿泊施設「ホテルWINDY」も備えている大規模な道の駅となっている。

道の駅 そよ風パーク(物産館)/営業時間:9~17時・無休(※レストランは水曜休) 電話:0967-83-1665

驚愕の秘境! 岩肌に無数の水源を持つ「舟の口水源」

長崎の集落を抜け、舗装林道のような坂道を下っていった所にある湧水地が舟の口水源(ふなのくちすいげん)だ。地形はすり鉢状で、周囲の岩壁から無数の湧き水が流れているという幻想的でマイナスイオンあふれるスポット。
この地形と湧水を活かした「舟の口養魚場」ではヤマメやニジマスなどの養殖が行われている。釣り堀も設置されていて、釣った魚をその場で塩焼きにして頂くこともできる。

▲すごく小さな「三ヶ所舟の口渓流取水ダム」(九州電力)もあって2度ビックリ!

 

▲道中は舗装林道といった感じの細い道を下っていく


景勝地としての美しさと同時に「よくこんな所に養魚場作ったな!」という驚き、そして釣りまで楽しめるというエンタメ性に言葉を失う絶景秘境! ここはぜひ訪れてほしい!

舟の口養魚場/営業時間:10~17時・不定休 電話:0967-83-0260

九州のグランドキャニオン! 蘇陽峡を見下ろす「長崎鼻展望台」

長崎地区をさらに奥に進んでいくと広くてキレイな駐車場に行きつく。そこから歩くこと数分で到達できる絶景スポットが長崎鼻(ながさきばな)展望台だ。深さが200mもあり“九州のグランドキャニオン”とも呼ばれる蘇陽峡(そようきょう)を一望できる展望台で、標高約550mの崖の突端に設置されている。
山深いところにあるのに展望台の造りはとてもオシャレで、まさに映えスポット! 眼下にはエメラルドグリーンの五ヶ瀬川が流れ、遠くには阿蘇五岳や九重連山も見渡せる。遮るもののない絶景が広がっているぞ!

▲阿蘇五岳による「阿蘇涅槃(ねはん)像」の姿も遠望できる。大観峰からの姿とはちょうど逆向きだ

 

▲駐車場からは徒歩で3分ほどだが途中には上り坂もある


これ、首都圏近郊だったら一大観光地に開発されてるはず…。こんな秘境にピンポイントの絶景が用意されているなんてスゴイ!

長崎鼻展望台/電話:0967-72-1115

阿蘇や九重を一望! 絶景サイトが自慢の「服掛松キャンプ場」

長崎地区の尾根沿いにある服掛松(ふくかけまつ)キャンプ場は、サイトからの胸のすくような絶景が魅力だ。約2万坪の敷地面積は西日本最大級で、駐車場は150台収容、フリーサイトはテント約100張分という途方もないスケール。

各施設・全エリアがオンライン予約制となっているので、その点だけは注意が必要だ。

服掛松キャンプ場/IN・OUT(テントサイト):12~18時・12時・通年営業 電話:0967-83-0249

ちなみに、服掛松という地名は、1893年(明治26年)、第六師団砲工兵隊第六大隊が演習を行った際に本営をここに置き、皇族でもある師団長、北白川宮能久親王が休憩の際に軍服の上着を松の枝に掛けたことに由来する。

▲これが町指定の天然記念物「服掛の松」。服掛松キャンプ場に隣接している


前編はここまで。後編ではさらにディープな山都町のツーリングスポットについてお届けする。お楽しみに!

【2023年7月の豪雨災害の影響について】
国道445号の金内橋(山都町中島)が崩落したが、う回路があるためバイクの場合は問題ない。大型バス・トラック等は通行不可。

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