暑い日が続くと、バイクに乗って涼しい場所へ行きたくなります。東北なんて、いいんじゃありませんか? それも北東北。赤信号で停車すると走行風が浴びられずに暑くなるから、信号機がほとんどないようなワインディングロードがいいな。夏なんだから、できれば海も眺めたい…。だったら、秋田県の寒風山(かんぷうざん)パノラマラインはいかがでしょうか。寒風山、名前もいいですよね。寒い風の山なんですから、夏にはピッタリです!
寒風山パノラマラインは、どこ?
寒風山パノラマラインとは、男鹿半島の付け根、なだらかな山容が美しい寒風山に刻まれた秋田県道55号入道崎寒風山線のこと。
1986年までは寒風山有料道路という名の観光道路でした。現在、寒風山パノラマラインの愛称で呼ばれている区間の全長は約10㎞。下の地図上で赤く塗られている区間が、そうです。
大草原のワインディングロード
走り出してすぐは、森の中を駆け抜けるような形で標高を上げていくのですが、寒風山の中腹あたりに出ると景色は一変。道は森を抜け出て、大きな草原風景の中に飛び出したような格好となるのです。
見渡す限りの大草原。気分が高揚します。
愛車の音も変わります。
それまで周囲の木々に吸収されていた愛車のエキゾースト・ノートが、空へと拡散されるのです。
突然、空が開ける、この瞬間がたまりません。
寒風山は山頂部が芝生に覆われ、高さのある障害物がないことから、眺めも素晴らしいんですね。標高は355mしかないんですけど、眼下には男鹿半島、その向こうに日本海、南に目をやれば秋田・山形県境の鳥海山も見ることができます。
山頂付近は絶好の休憩スポット
寒風山パノラマラインでのおすすめ休憩スポットは、山頂付近にある寒風山回転展望台の周辺。メインの駐車スペースは回転展望台から400mほど下ったところですが(トイレと昭和テイストの売店あり)、回転展望台の入口前のロータリー周辺にも数台分の駐車スペースがあります。
寒風山回転展望台は1Fがお土産屋さんとレストラン。2Fが八郎潟開拓当時の写真などを展示するホール。3Fは男鹿半島の資料展示室。4Fは約13分で一回転する回転展望台。2Fから4Fまでは入場料として大人550円が必要ですが、1Fは普通に利用できます。
眺めがよく、食事やお土産もOKで、トイレもある。寒風山パノラマラインを走るのなら、ここは必ず立ち寄りたいところですね。
秋田県男鹿市公認観光情報サイト「男鹿なび」寒風山回転展望台
巨大なまはげも見ておきたい
男鹿半島といったら、「泣ぐゴはいねがー!」でおなじみ、なまはげ。
鬼のようなお面をつけているので、鬼だと思っている方もいらっしゃるようですが、なまはげは神の使い、来訪神です。2018年には「来訪神:仮面・仮装の神々」として、日本の他の地域の来訪神行事とともにユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
行事としてのなまはげは大晦日に行なわれるのでバイクで見に行くのは難しいですが、なまはげの巨大なモニュメントならば年じゅう会いに行けます。
男鹿半島の入り口にある男鹿総合観光案内所、その敷地に身長15mのなまはげが2体、立っておられます。記念撮影やインスタ映えスポットとして人気なんですよね。
夏はツルツルッと稲庭うどん
旅に出かけたのなら、その土地ならではのものをいただきたい。これぞ、旅めし。ということで今回は、秋田名物の稲庭うどん。
稲庭うどんは、江戸時代初期に秋田県湯沢市稲庭に住んでいた佐藤市兵衛が、地元産の小麦粉を使って独自製法で干しうどんを作ったのが始まりだとか。
つるつるとしたのどごしと、なめらかな食感が特徴で、その製法はもともと門外不出の一子相伝! だったようですが、昭和47年に製造方法を公開。そこから稲庭うどんは一気に普及していきました。
稲庭うどんは秋田県内、いろんなお店でいただけます。寒風山パノラマラインの回転展望台のレストランでも提供されているみたいです。
いやしかし自分は稲庭うどんのルーツをたどりたい、元祖本家でいただきたい! というのなら、八代目佐藤養助の名を冠する「佐藤養助商店」の暖簾をくぐりましょうか。
総本店は秋田県湯沢市にありますが、県内なら横手市、湯沢市、仙北市、秋田市にも支店があります。寒風山パノラマラインから一番近いのは秋田市内、「佐藤養助 秋田店」と、「佐藤養助 トピコ店」。
薬味を効かせたつゆで、冷たい稲庭うどんをツルッ。こののどごし、天下無双です。そして添えられていたお漬物、いぶりがっこをポリッ。秋田に来たなあと、感じ入るばかり。
ありがとう秋田県、また来ます! てな感じです。
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