コーナーの向こうには太平洋が広がる

 高知市の南西に横たわる、横浪半島。高知県土佐市から須崎市を結ぶ横浪黒潮ラインは、その半島の尾根沿いに刻まれている延長約19キロのオーシャンビュー・ワインディングロードです。
 横浪半島は、複雑に入り組んだリアス式海岸で形成されているため、路上からの海の眺めも変化に富むもの。コーナーをバイクで抜けるたび、新たな景色が目の前に広がります。
 道は山岳ワインディングのような印象なのに、間近に海を見下ろすことができる。これこそが横浪黒潮ラインの魅力でしょう。

横浪黒潮ライン

横浪黒潮ラインの後のお楽しみ

 横浪黒潮ラインで爽快な走りを堪能したら、せっかくなのでご当地ラーメンも味わってみては? 高知県須崎市で、地元の方に半世紀以上も愛され続けてきたのが「鍋焼きラーメン」。鶏がら醤油のラーメンが、なんと土鍋で煮込まれた状態で提供されます。
 これは出前の際、冷めないようにと考案されたアイディアで、店内でいただく際も土鍋の状態。

須崎市の鍋焼きラーメン

須崎名物「鍋焼きラーメン」7つの定義

 かつてはご当地グルメとしてマイナーな存在でしかなかった鍋焼きラーメンですが、地元有志がPR活動「鍋焼きラーメンプロジェクトX」を20年ほど前から積極的に展開。2020年には人気TV番組『秘密のケンミンSHOW』にも取り上げられました。現在、須崎市内では、鍋焼きラーメンを出すお店が約30店舗あるそうです。
 その「鍋焼きラーメンプロジェクトX」によると、鍋焼きラーメンには7つの定義があるそうな。
①スープは、親鳥の鶏がら醤油ベースであること
②麺は、細麺ストレートで少し硬めに提供されること
③具は、親鳥の肉・ねぎ・生卵・ちくわ(すまき)などであること
④器は、土鍋(ホーロー、鉄鍋)であること
⑤スープが沸騰した状態で提供されること
⑥たくわん(古漬けで酸味のあるものがベスト)が提供されること
⑦すべてに「おもてなしの心」を込めること

鍋焼きラーメン

 ぐつぐつと煮立った状態で提供されても、麺はぐでんぐでんに伸びたりしません。理由は定義②にある通り、少し硬めに茹でであることもそうですが、お店の方の話によれば、そもそも伸びにくい特注麺を使用しているのだそう。
 スープは鶏肉のダシが濃厚ながらも、醤油がキリリと立った、すっきりした味わい。チャーシュー代わりに盛られた鶏肉は親鳥のせいか、かなり歯ごたえがあり、噛むたびに旨みがじゅわり。鶏肉が小ぶりに切られているのは、この歯ごたえを考慮してのことなのでしょうね。

これはライスが欲しくなる!

 アツアツの麺とスープに悪戦苦闘しつつも、おいしくて箸が止まりません。湧き上がる湯気に顔を突っ込みながら、一心不乱に土鍋と向き合います。だ、だめだ。このままでは舌がやけどしてしまう……。他のテーブルのお客さんを見てみると、みなさんライスも手にしています。そ、その手があったか!

鍋焼きラーメン

 ライスを片手にひと呼吸おき、落ち着いて食べればいいのです。
 ちなみに鍋焼きラーメンは、客の好みでいろんな食べ方があるそうです。まずはラーメンライスの王道の食べ方、麺をご飯の上にワンバウンドさせてからすすり、そしてスープの染みたごはんをパクリ。
 あるいは、土鍋の底のほうに生卵を沈め、余熱で煮えていくのを待ちながら麺とスープを味わっていく方法。まあ、これは想像の範疇ですね。
 なるほどなあと感心したのは、土鍋のフタを裏返し、そこにレンゲで生卵を移動させて箸で溶き、すき焼きを食べる要領で麺をひたしてすするというもの。
 その他、ご飯の上に生卵を移動させ、その上からスープをかけ(薬味のネギもご一緒に!)、ラーメンの〆にいただくという方法も。
 鍋焼きラーメン、奥が深いなあ。どの食べ方が自分に合うのか、いろいろ試してみたくなります。これはまたいつか横浪黒潮ラインを訪ね、その帰りに立ち寄らなきゃ。
 高知県須崎市のみなさん、ごちそうさまでした!

横浪黒潮ラインMAP

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