走って気持ちいい、景色も素晴らしい! 日本各地にあるご機嫌な道を紹介する「爽快ロード」シリーズ。今回は東北の日本海側、秋田県と山形県の県境に延びる「鳥海ブルーライン」です。山岳ワインディングなのに、眼下に海を見下ろすという、日本でも珍しい絶景道なのです。
東北第2の高峰・鳥海山
秋田・山形の県境にそびえる鳥海山(標高2236m)は、ふもとに日本海を見下ろす東北第2の高峰。美しく気高いその姿から、出羽富士とも呼ばれ、地元の方々の守り神として古くから崇められてきました。海に面している山、というのも珍しいもの。
その山腹に刻まれた鳥海ブルーラインは、海抜ゼロの海際から標高1100メートルの中腹まで一気に駆け上がっていく、全長約35㎞の山岳ワインディングロード。4月下旬まで冬季閉鎖され、5~6月は新緑が、夏休みシーズンには高山植物が、10月には錦秋の風景が楽しめます。
地図で赤く記した県道が、鳥海ブルーライン。海からいきなり駆け上がっていく道だということが、分かりますよね。バイクを左右に倒し込みながら、いくつものコーナーを駆け抜けていく。標高を上げるにつれ、眼下には日本海の景色が広がります。午前中は青々とした海、午後は陽光にきらめく海が眺められます。
鳥海ブルーラインのピーク付近には大きな駐車場があり、休憩や記念撮影にぴったり。鳥海山の自然について学べる鳥海鉾立ビジターセンターや、食事やお土産購入ができる稲倉山荘もあります。
標高1150mに位置する鉾立(ほこだて)は鳥海山の象潟口登山道の起点となる場所で、展望台もあります。展望台からは、眼下に庄内平野、男鹿半島、飛島、佐渡島、そして日本海に沈む真っ赤な夕陽も眺められます。
夕暮れ時は最高のツーリング・シーン! なのですが、泊まりがけのツーリングで鳥海ブルーラインに出かけ、夕景まで堪能する場合、宿へのチェックインはかなり遅い時間になります。なるべく近くの宿に泊まるか、夕食なしで予約するか、検討する必要がありますね。
鳥海山周辺のおすすめ立ち寄りエリア
鳥海山まで行くのなら、ここへも立ち寄ってみては!? という場所がいくつもあります。そのうちのひとつが、秋田県にかほ市象潟の九十九島(くじゅうくしま)。
田園地帯に、いくつもの小山が点在しています。この小山、かつては小島だったのだとか。
そもそもこの一帯は昔、浅瀬だったようで、今から約2500年前に鳥海山が崩れ、多くの巨岩が山頂から滑り落ちて浅瀬へと落下。浅瀬が土砂で埋め立てられ、潟湖となり、巨岩の塊が無数の小島となった……。そして時が経ち、1804年に起きた推定マグニチュード7の大地震で潟湖が海面を超えて隆起、水が抜けて陸地化した、という話です。
そしてもう一ヵ所が、仁賀保(にかほ)高原。鳥海山の北麓に広がる標高約500mの丘陵地帯で、この高原を通る県道312号線と県道285号線は「鳥海グリーンライン」の愛称もつけられています。
道は広大な牧草地帯に囲まれていて、高原からは日本海、遠くに男鹿半島、奥羽の山並みと鳥海山が眺められます。
この鳥海グリーンラインと、鳥海ブルーライン。どちらを先に走ったら、より楽しめるか。グリーンラインを先に走りつつ「今からあの山をブルーラインで駆け上がるぞ!」と気持ちを高ぶらせるのがいいのか。
先にブルーラインを駆け降りておいて、その後で高原のグリーンラインを走り、「鳥海山の山岳ワインディング、良かったなあ」と余韻を楽しむのか。
判断はおまかせします。まずは鳥海エリア、訪ねてみてください!
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