アニメツーリズムの成功事例を体感するツーリング

10月28日(土)・29日(日)の両日、バイク誘致に取り組む伊豆市の菊池豊市長と波多野靖幸市議会議員、伊豆市を拠点にモビリティの普及や地域活性などに取り組む原動機研究部の面々が山梨県のアニメツーリズムを体験すべく、聖地巡礼ツーリングを実施した。

今回訪れたのは、小説・アニメ・漫画といったメディアミックスで展開されている作品「スーパーカブ」に描かれる舞台、北杜市(主に武川町)。

『スーパーカブ』(KADOKAWA):小説1巻・表紙カバーより引用

「スーパーカブ」はトネ・コーケンさんの小説(全9巻・角川スニーカー文庫)に始まり、2021年にアニメ化(全12話)されたことで広く知られるようになり、物語の舞台となっている山梨県北杜市が訪れるファンに対してマップを作成したり、舞台として登場するお店や施設のオーナーらが来訪者を歓迎することでアニメツーリズムの成功例として話題となっている。

こうした事例について関係者に話を聞き、実際に目で見て体感するためのツーリングなのだ。

道の駅 伊豆ゲートウェイ函南に集合して出発!

「スーパーカブ」聖地巡礼ツーリングへの出発地は伊豆半島北部の道の駅 伊豆ゲートウェイ函南。今回参加するのは原動機研究部とその仲間たち、伊豆市長と市議会議員、さらにはメディアも複数帯同し20名を超える大所帯となった。

▲伊豆市の菊池豊市長はカワサキKLX230SMで参加


目的地の北杜市までは約150km。125ccクラスや電動バイクも一緒に走って「スーパーおの」を目指す。

▲出発が昼過ぎとなったので到着時間を気にしつつ出発!

 

▲途中、ライコランド富士店で参加メンバーが合流し小休憩。「間に合うのか~」とひやひやしていたが…

聖地「スーパーおの」を見学し小野会長から話を伺う

さすがに無理があったか… ライコランド富士店からは2グループ(高速組と下道組)に分かれて北杜市を目指すことに。高速組は中部横断自動車道をひた走り、なんとか目的地の「スーパーおの」(上写真)に到着。ここ、北杜市武川町は周囲を山に囲まれた土地で、辺りはすでに薄暗くなっていた。

一行は、スーパーおの店長であり、北杜アニメツーリズム協議会の会長を務める小野圭一さん、同協会理事の榎本浩久さんにさっそく話を伺った。

▲中央右の方が小野会長、中央左の赤いウェアの方が榎本理事(榎本理事のバイクは大注目なので後編で紹介!)


小野会長は「スーパーカブ」という作品との出会いから北杜市観光課とのやり取りと連携、北杜アニメツーリズム協議会の立ち上げ、そうした動きの中でファンがどのように市内を巡り、彼らとどのような関係作りを目指して歓迎しているのかなどについて説明してくれた。

▲左から協議会の小野会長、伊豆市の菊池市長と波多野市議会議員

 

▲スーパーおの店内には「スーパーカブ」のコーナーが設置されている。関係者のサインやイラストもたくさん!


なお、北杜アニメツーリズム協議会に関する小野会長のお話や店内の様子については後編で詳しく説明したい。乞うご期待!

来訪者の回遊手法「スタンプラリー」を体験

続いて一行が訪れたのは同じく北杜市武川町にある「フレンドパークむかわ」。ここは作品内に登場した場所というわけではないが、北杜アニメツーリズム協議会が主催する「2023秋 北杜市スタンプラリー」のスタンプ設置場所になっている。
同地を含め、こうしたスタンプ設置場所が市内に4か所(他に、みずがき湖ビジターセンター、道の駅 南きよさと、あけの農さん物直売所)あって、ファンがスタンプ設置場所を訪れることで市内を回遊してもらえる仕組みになっているのだ。

スタンプラリーの実施は、来訪者に地域を回遊してもらう手法としては一般的で広く行われているが、ファンの方々にリピーターとなって来てもらうためには迎え入れる側の心構えや作品への理解が必要とされている。自治体、施設管理者、聖地の管理者やオーナー、周辺住民といった方々の理解と支えがあって初めて成り立つ施策で、見た目ほど簡単ではない。

一行は、施設管理者のお話を聞いたあと、施設を見学しつつスタンプを実際にシートに押して、スタンプラリーという施策を体感した。

▲施設内には「スーパーカブ」コーナーがあってスタンプ台が設置されていた

 

▲4か所すべてのスタンプを集めるとオリジナルノベルティがもらえる仕組み。スタンプ設置場所とアニメで描かれた場所(聖地)を巡ることで北杜市の素晴らしさを知ってもらえるのだ


アニメに登場した場所(聖地)は、北杜市産業観光部観光課が、アニメ「スーパーカブ」舞台探訪マップを制作している。WEB上で公開されているので、誰でも気軽に聖地巡礼ができるようになっている。

『アニメ「スーパーカブ」舞台探訪マップ』(北杜市):2022 Spring 表紙より引用

伊奈ケ湖で一泊して忍野八海へ

その後は、夜道を走ってお隣の南アルプス市にあるエコパ伊奈ケ湖に宿泊。参加者でバーベキューをしながらわいわいと作戦会議をした。

▲10~20代と若い原動機研究部の面々。お酒とジュースで乾杯だ


翌朝は天気快晴! 標高の高い伊奈ケ湖をいったん駆け下りて、また標高の高い富士五湖へと駆け上っていくアップダウンの多いルートになる。
忍野八海では観光客向けの大型駐車場にバイクを駐めて、徒歩で見学に出た。
外国人の多さに驚きつつも、せんべい屋さんの手焼堂などで名物を頂いたりと観光地を楽しんだ。
ランチは迷った末にたどり着いた彦兵衛うどん。はごたえのある富士吉田うどんに参加者はみな大満足だった。
駐車場に戻るといつの間にか雲が晴れていて、ちょうど富士山がきれいに顔を出した。
原動機研究部で集合写真を撮ったあと、一行は伊豆半島を目指して帰路についた。
伊豆市の波多野市議会議員は、北杜市や北杜アニメツーリズム協議会の事例について議会で報告したいと語った。伊豆市のライダー誘致に向けて良い影響を与えることに期待したい。

後編では、北杜アニメツーリズム協議会の小野会長のお話について詳しく紹介したい。地域活性化についてもとても参考になる話なのでぜひご一読を!

 

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