栃木、群馬、埼玉、茨城の4県にまたがる国内最大の遊水地、渡良瀬遊水地。面積33平方km、東京ドーム約700個分の広大な遊水地にはいくつもの道が延びていて、北海道を想わせるようなロングストレートもあれば、リバーサイドのゆるやかなクルージングルートもあって、どこも絶景だらけ。ただひたすら無心になって走り回れる、解放感あふれる素晴らしい空間でした。
広大な眺めに驚き
遊水地とは、大雨などで河川の水位が上昇した際、一時的に洪水を貯留して下流エリアの洪水被害を軽減するための土地のこと。
渡良瀬川、思川、巴波川の合流地点に位置する渡良瀬遊水地は、主に治水、利水、自然環境保全の3つの役割があるそうです。
洪水を貯留する必要がない通常時は、湿地や草原が広がる空間。いざという時には水没するわけですから、民家も建てられず、まるで荒野のような眺め。

▲北エントランス付近で撮影
特に筆者が出かけた3月中旬は、春の野焼き(ヨシ焼き)の直後だったので地面が黒々としていて、見ごたえがありました。野焼きは害虫駆除や野火防止、湿地環境の保全のために行なわれるもので、渡良瀬遊水地では毎年3月に実施されています。
青空と、黒々とした大地、そして路肩に咲く黄色い菜の花のコントラストに目を奪われました。
道の表情もいろいろ
渡良瀬遊水地は、北側に第3調整池、東側に第2調整池、西側に第1調整池、南側に谷中湖があり、それぞれがいくつもの道路で結ばれています。
その道がなんとも表情豊か。まるで北海道のようなロングストレートもあれば、

▲北エントランスから遊水地中央のウォッチングタワーへ向かう途中で撮影
川の流れに沿って走るリバーサイドルートもあり、

▲谷中橋から池内水路を南下し、東谷中橋の手前で撮影
ツーリング気分が盛り上がります。信号機のある交差点もないので、赤信号で停止、ということもありません。春の日差しを受けながら、ただただ走り続けられるのです。これはうれしい。

▲池内水路の東側で撮影
ガードレールがない、電柱や電線もない、眺めを邪魔するものがないというところも魅力です。
どこかに目的地を決めて走る、というよりも、ただただ無目的に走り回る。スピードを出さず、たんたんと走って、交差点では気まぐれに曲がる。そんな走り方が楽しいのです。

▲渡良瀬川にかかる新赤麻橋の南側で撮影
行き当たりばったりで出会う風景が、なんとも心地いい。いま自分がどこを走っているか、分からなくなってもOK。しょせんは遊水地の中なのですから、迷子になることはありません。
ただしルールは守って
いくつもの分かれ道に出くわしますが、車両通行可能か、通行禁止なのか、路肩に表示されていますのでご安心を。

これは走行可能。対向車と譲り合って通り抜けます。

バイクなら通り抜けられそうですが、これは通行禁止。

路肩に「通行禁止」と表示されています。
河川を管理するための管理用道路なので、一般車両は通行できません、とあります。
立ち寄りたくなるところも
渡良瀬遊水地は、まるで荒野のような空間が魅力と説明してきましたが、立ち寄りたくなる構造物もあります。
例えば、こちら。

昭和48年に設置された、第2排水門。渡良瀬遊水地の第2調節池の洪水調節を目的として建設されたもの。
荒野をひとり見守る番人、という雰囲気で、仁王立ちしているような印象を受けました。
存在感がカッコいい。

こちらは渡良瀬遊水地の中央付近に建つ、ウォッチングタワー。遊水地を見渡すことができる展望所です。地上の駐車場にバイクを駐め、階段を上っていくと屋上に出られます。

屋上には東屋のほか、大型双眼鏡が3方向にあり、渡良瀬遊水地を一望できます。空気の澄んだ日には富士山や日光男体山、筑波山などがよく見えるそうです。

ウォッチングタワーの屋上から、水戸方面の眺め。写真中央、水路の向こうに筑波山が見えます。
黒々とこげているのは野焼きされたヨシ原で、強い風が吹くと炭が舞い上がって漂う様子も見られました。
それにしても広いですね。
国内最大の遊水地である渡良瀬遊水地は多様な動植物の生息地でもあり、植物種は1,000種以上、環境省レッドリスト掲載種は50種以上、鳥類は約270種が確認されているそうです。
こうしたことから渡良瀬遊水地は、2012年7月、国際的に重要な湿地の基準に該当したとしてラムサール条約登録湿地に登録されてもいます。

渡良瀬遊水地には、特別天然記念物に指定されているコウノトリも飛来しています。第1調節池と第3調節池には高さ15mの人工巣塔も設置され、ファンが遠くから営巣の様子を見守っていました。
豊かな自然、広大な風景。バイクで訪ねるには最高の環境です。それが東京からわずか約60㎞の場所にあるのですから、驚きです。
みなさんも機会があれば、ぜひ!
