自分の子どもが「バイクに乗ってみたい」なんて言い出したら…。
「でも、どこで乗るの? 誰が教えるの?」

こんな悩みを持っている親御さんに知ってほしいのが、親子で参加できるバイク教室だ。今回は「ヤマハ親子バイク教室」の中から最も初歩的な「トライコース(低学年グループ)」の模様をレポートしよう。長年の実績に裏付けられたスゴ技カリキュラムは必見だ!

受講コースは3段階でステップアップできる

ヤマハが世界中で展開するバイクの安全運転講習会「YRA(ヤマハライディングアカデミー)」の親子向けカテゴリーが親子バイク教室だ。バイクやヘルメット、プロテクターなど必要な装具は全て無料でレンタルでき、バイクの楽しさを手軽に体験できる。

親子バイク教室のコースは小学生向けだと「トライ→サーキットまたはフィールドコース→アドベンチャー」と3段階に分かれている。トライコースの受講後、お子さんの習得状態によって「次回はサーキットコースで」とステップアップしていくことも可能だ。なお、アドベンチャーコースでは、親御さんもバイクに乗って、お子さんと一緒にコース内を走ることもできる。中学生向けのコースもあるが、サーキットまたはフィールドコースの経験が参加条件となっている。

実習では、親御さんも一緒に参加する

トライコースは、バイクに慣れることから始める入門コースだ。カリキュラムでは、学年に合わせたグループ分け(低学年・高学年)があるが、どちらのグループでも子どもだけでなく親御さんも一緒に参加する。

ここが重要なポイントで、2人1組になって楽しみながら進めていくので、親子の絆も深まるそうだ。なので、「上手にできたらすぐに褒めてあげる」ことも、とても大切なことだ。

また、広い会場で行なわれるので、「準備OK」「発進して」「減速して」「停止して」といったハンドサインが決められていて、遠くに離れていても親子がコミュニケーションを取れるようにデザインされている。

トライコースの基本的な流れと内容

今回は、3月26日(土)に東京郊外の遊園地「東京サマーランド」の駐車場で開催されたトライコース・低学年グループの模様をレポートする。受講時間は3時間で、受付に始まって以下の流れで進んでいく。途中、数回の休憩時間が取られるが、トイレや休憩は「いつでも言ってね」というスタンスだ。

1) 受付

サマーランドが駅から遠いということもあって、多くの親子はマイカーで訪れていた。受付では検温、消毒といった感染対策がしっかり行なわれ、大きなテントがあるので、陽射しが強い日や雨のパラつく日でも安心の設備環境だ。

2) オリエンテーション

教室のスケジュールと内容が説明される。その後は、みんなで準備体操の時間。最後にヘルメットのサイズ合わせをして、オリエンテーションは終了だ。その後は、低学年コースと高学年コースの2グループに分かれて実習となる。

3) 実習

実習内容は以下の順番で進んでいく。基本的にはインストラクターがまずお手本を見せて、それをお子さん、あるいは親子2人で実際にやってみるという手法だ。なお、実習の前には参加生徒同士の自己紹介もあって、リラックスできる雰囲気づくりが行なわれていた。

①バイクの正しい操作方法
キルスイッチ、スロットル、ブレーキレバーなど、バイクの操作方法が説明される。キックペダルの使い方とエンジンのかけ方、センタースタンドの外し方については、親御さん向けの説明となる。さらに乗り降り時の「3つの約束」として「両手はハンドルに」「ブレーキレバーを握る」「周囲を確認してから」が教えられ、これは実習中にも繰り返し伝えられていた。
②乗車姿勢
バイクにまたがっている時の正しい乗車姿勢を教わる。目線を前に置くこと、腕を曲げること、なるべく前に座ること、つま先を前に向けることなどがポイントだ。
③基本操作練習
エンジンを掛ける前に、ブレーキの掛け方や効き具合を体感する。親御さんはバイクを後ろから押し、お子さんはブレーキレバーを握って目標位置で止まる。だんだん距離を延ばしていくが、向きを変える時(コースの往復時)にはバイクを降りての取り回しも練習する。
④エンジンをかけて発進・停止
センタースタンドをかけた状態で、リアタイヤが接地しないように親御さんがバイクのフロント部を下に抑えておく。スロットルを回しながら(回転をキープしながら)1、2、3と数えて、スロットルを戻すということを繰り返す。
次は、1、2、3と数えてスロットルを戻した後にブレーキレバーを握るということを練習する。
センタースタンドを外す。お子さんがふらついたり暴走しないように、親御さんがバイクの前を支えた状態で、ゆっくりスロットルを開けて進み、ブレーキレバーを握って停止するという練習をする。感じがつかめたら、親御さんが少し離れて、お子さんがそこまで走っていくということを繰り返す。

⑤スピードコントロール
今度は距離を空けて行う。ハンドサインを使いながら、お子さんが親御さんの元へ走っていく。距離をだんだん遠くしながら反復練習する。準備OKのサインを出しあい、スロットルを開けて進み、親御さんからの減速のサインでブレーキをかけ、止まれのサインで止まるのだ。
⑥周回練習
パイロンで作られたコースの外周を列になって走る。この時、親御さんは各コーナーに立って子どもたちを見守っている。先生からは、曲がる時の目線についてアドバイスが飛んでいる。
⑦総合走行
高学年コースも含めた、大きなコースをみんなで列になって走る。子どもたちはすっかりバイクに慣れて、直線では加速し、コーナー手前では減速して曲がるといったことができていた。実習はこれで終了となる。

ちなみに、親御さんはこの時に初めて写真を撮ることが許される。常時カメラが向けられていると、子どもたちが集中できず危ないからだ。

年齢や体格に合わせたバイクを使う

低学年コースのバイクは「PW50(上写真)」で、右レバーがフロントブレーキ、左レバーがリアブレーキというシフト操作のないキッズ向けの車体だ。高学年コースは「TT-R50(下写真)」で、右レバーがフロントブレーキ、右ペダルがリアブレーキ、自動遠心クラッチの3段変速(N→1・2・3)を採用した車体だ。
体格の大きなお子さんは「TT-R110(下写真)」を使用していた。こちらは基本的にはTT-R50と同じ機構だが、自動遠心クラッチでの4段変速(N→1・2・3・4)を採用している。車体も少し大きく、大人でも問題なく乗れるサイズだ。
なお、実習中はTT-R50は3速のみ、TT-R110は4速のみを使う。これは1速や2速だとパワーが出すぎて扱いづらいためだ。停止中にギアを上げる必要があるが、慣れや力が必要なので親御さんが行う。

交通安全教室も開催される

休憩時間では、交通安全教室も開催される。フリップカードを使って、街中の危ないところを親子で一緒に探してクイズ形式で回答していく。こうした危険予知トレーニングにより、行動範囲が広がる小学生に交通安全意識を高めてもらっているのだ。

参加者に聞いてみた

●低学年コース参加/黒岩 仁くん(8歳・長野県長野市)
黒岩家は両親にバイク経験があって、今でもカートサーキットに遊びに行くようなモータースポーツに親しんでいるご家庭だ。お母さん「反復練習で身につくのが、うちの子にあっているなと思いました。まさか、こんなに乗れるようになるとは? 驚きました!」。仁くん「みんなと一緒に走れたところが、めちゃめちゃ楽しかった」

●高学年コース参加/荒木 美星ちゃん(11歳・東京都三鷹市)
荒木家も両親にバイク経験があるが、今回来た理由は、以前、東京モーターサイクルショーで美星ちゃんがヤマハの体験コースを受けたことがあり、お父さんが「フルバージョンも一度受けさせたい」と思っていたからだ。行こうと思っていた開催日程が新型コロナので中止になったりで、やっと来れたとのこと。美星ちゃん「びゅんびゅん走れたところが楽しかった!!」

バイク未経験の子どもたちが短い時間でバイクに乗れるようになっていく、このカリキュラムは必見! 「バイクに乗ってみたい」と言われたら、ぜひ参加してみてほしい。

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