バイクのインプレッション記事やバイク乗り同士の会話で出てくるバイク専門用語。よく使われる言葉だけど、イマイチよくわからないんだよね…。「そもそもそれって何がどう凄いの? なんでいいの?」…なんてことは今更聞けないし。そんなキーワードをわかりやすく解説していくこのコーナー。BMWなど縦置きエンジンの車体でよく採用される駆動方式『シャフトドライブ』をピックアップ。

そもそも『シャフトドライブ』とは?

シャフトドライブ

一般的なエンジンの駆動力をローラーチェーンでタイヤに伝えるチェーンドライブではなく、文字通り“シャフト(軸)”が回転する力で後輪を回すタイプの駆動方式を『シャフトドライブ』という。

 

『シャフトドライブ』は4輪などではすでに当たり前となっている技術であるが、バイクの場合はチェーンドライブが採用されることが多い。これはエンジンの搭載位置が“横置きクランクシャフト”……、つまりタイヤの回転軸とエンジンのクランクシャフトの回転軸が同一方向(平行)になることが多いため。“横置きクランクシャフト”エンジンの場合、チェーンドライブの方が動力伝達において効率がいいのだ。

一方、『シャフトドライブ』はというと、“縦置きクランクシャフト”エンジンを持つバイクに好んで採用される。BMWのRシリーズやモト・グッツィのモデルが縦置きクランクシャフトエンジンの代表例だが、クランクシャフトの軸がシャフトドライブの軸と同一方向、平行なレイアウトになる。このため“縦置きクランクシャフト”エンジンにおいては、『シャフトドライブ』の方が動力伝達において効率がよくなる。

なんだか話が難しくなったが、ようは動力を効率よく伝えるなら回転物の軸は向きを揃えたほうが具合がいいってこと。ベベルギア(傘型歯車)などで回転軸の向きを変えることも可能ではあるが、その分だけエネルギーロスが生まれるし、機構的にも重くなるというわけだ。

縦置きクランクシャフト”と呼ばれるエンジン

『シャフトドライブ』による駆動は、BMWのボクサーツインに代表される“縦置きクランクシャフト”と呼ばれるエンジンとの相性がいい。それは画像左下に伸びる『シャフトドライブ』の回転軸と、画面中央の大きな歯車の付いたクランクシャフトと回転軸を平行にレイアウトできるため。“縦置きクランクシャフト”のエンジンでチェーンドライブにしようとすると、ベベルギヤで回転軸を90度曲げなければならず非効率というわけだ。

 

なお、タイヤへの動力伝達部ではベベルギヤ(傘型歯車)と呼ばれる機構で回転軸を90度変換してタイヤを回している。

BMWのシャフトドライブ

一部、ドラッグスター400やBMWのR1300シリーズなどは、クランクシャフトが横置きエンジンにもかかわらず『シャフトドライブ』を採用。この場合駆動の方向を変えるベベルギヤ(傘型歯車)がシャフトドライブの前後に2つ付いている。シャフトドライブ

『シャフトドライブ』のここがスゴイ!

日常的なメンテナンスが必要ない

……ってことだ。通常のチェーンドライブのバイクには、チェーンのたるみやスプロケットの摩耗具合のチェック、貼り具合の調整・清掃・注油といったオーナーによる日常的なメンテナンス作業が必要不可欠だが、シャフトドライブにはこれらのオーナーレベルのメンテナンスが必要ない。

BMWのシャフトドライブ

シャフト自体やベベルギヤなどはスイングアーム内に収納されており、構造上封入されているグリスが流れ出すことも、外部から汚れが入り込むこともない。BMWのシャフトドライブの場合、シャフトを収めるハウジングがそのままスイングアームも兼ねるような構造になっている。

 

確かにギヤの噛み合い部分の損耗やシールの劣化など、長期的な観点でみると全くのノーメンテではないものの、日々の点検・調整・清掃・注油がないだけでバイクの維持は相当ラクになる。中には「チェーンドライブは面倒。時間がないからメンテナンスに時間を費やすよりは“乗ることに集中したい”」という理由でシャフトドライブのモデルを選ぶ人がいるくらいである。

クルマ並みに乗りっぱなしで、お店に持っていくのは車検の時だけ……なんてものぐさライダーはシャフトドライブのバイクを選んだ方が幸せになれるかもしれない。

シャフトドライブ

もちろん、部位同様全くメンテナンスが必要ないというわけではないが、チェーンドライブよりも遥かに耐久性が高く、交換前提の消耗部品がないため日常的なメンテナンスの必要がほとんどないのがシャフトドライブの利点というわけだ。

 

 

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