「生きる」と「息する」ことは同義!
アナタは今、呼吸をしていますか?
このウェブサイト「ForR」が天上界や霊界、魔界で閲覧できるものでないかぎり、例外なく規則的に大気を吸い、そして吐く行為をしている方々がこのコンテンツをご覧になっている、という前提で話を進めさせていただきます(笑)。
心臓と同じく、活動停止したら命が絶体絶命の危機に陥る人体の要所。
お母さんから生まれて「オギャア!」と産声を上げたときから命の炎が消える瞬間まで、止まることなくフル活動し続ける臓器が肺なのです、ハイ。
呼吸は自分でコントロールが可能
心臓の拍動とは異なり、呼吸自体は自分の意思で止めることができるものの普通の人ならせいぜい1分程度が限界なはず。命がけ芸人?江頭2:50さんでも4分14秒(by浅草橋ヤング用品店@江頭グランブルー)なのですが、ギネス世界記録に認定されている水中での息止め最長記録は、2016年にスペイン人男性が樹立した24分03秒なのだとか。凄いですね。
さて、生命維持に不可欠な存在である「肺」ですけれど、大気中に含まれている酸素を体に取り入れて、不要になった二酸化炭素を外に出す……というガス交換の働きについては全員ご理解されていると思われます。
バイクもそうですね。大気を機関内に導入しないことには何も始まりません。
汚れを取り除かれた大気が本領を発揮
空気取り入れ口(人体なら鼻と口ですね)からエアクリーナーボックスへ導かれた大気はエアクリーナーエレメントでホコリや虫などの異物を濾過され(人体だと鼻毛や咽頭&喉頭&気管の粘膜にある線毛と粘液が、ホコリだけでなく細菌やウイルスなどまでキャッチして排出)、フューエルインジェクションかキャブレターで燃料であるガソリンと混ぜられます。その混合気はシリンダー内で急速燃焼されてエンジンを回すパワーを発生!
人体においても気管支から左右2つの肺に送られた空気は、そこから先も何回か枝分かれされ、ドンツキに待ち構える3億~6億個もの「肺胞(はいほう)」にある網目のような毛細血管において血液とガス交換。
血液の赤血球内にあるヘモグロビンが蓄えた酸素は人体内にある約37兆個の細胞へと運ばれ、内部で化学反応を起こすことでパワーを生み出す!というわけです。
極論すれば人体は“37兆気筒エンジン”と呼べるかもしれません!?
呼気が行きつ戻りつするメリットとは!?
バイクだと燃焼を終えた排ガスはシリンダー内を上昇するピストンによってエキパイへと押し出され、年式によっては設定された浄化装置を経由したあとサイレンサー内で膨張・消音されて大気中へ放出されますが、人体の“37兆気筒エンジン”が生み出した二酸化炭素は前述の肺胞でガス交換されたあと、空気を吸い込むときと同じ経路を伝って口か鼻から排出されるのです。
「ええ? 呼吸時に空気の出入りするところが同じだと、吐き切れなかった二酸化炭素をまた吸い込むことになるんじゃない? それって効率が悪いのでは?」と長年疑問だったのですが、生理学や解剖学を学び直しているとき先生からポンと解答が届きました。
吐ききれない呼気があるからこそ、そこに含まれるガス交換中に高まった湿度が気管などの粘膜を保護し、体にとって適切な二酸化炭素濃度を維持できているのだとか。
スーッ…ハーッ…スーッ…ハーッ…
もし仮に肺でガス交換の終わった空気が背中で排出されるような一方通行の流れだと、乾燥している地域では気道にある粘膜という粘膜がアッという間にひび割れ(ヘタをすると出血し)てダメになり、さらには二酸化炭素濃度の低下に脳幹の呼吸中枢がエラーを起こし、常時過呼吸状態にもなりかねません。本当に人体というのは玄妙に出来ているものですね。
成人の場合、安静時の1分間に12~18回の呼吸数が正常とされており(前述のとおり一般的に年齢が低いほど回数が多い)、特に意識することもなく行われる穏やかな鼻呼吸であることが理想的です。
もちろん運動時は筋肉が必要とする酸素量が飛躍的に増えますので、それに対応するべく血液の循環量は増大。肺もフル活動してガス交換を行わなければならないため「ハァハァハァハァ……」と呼吸数がアゲアゲになっていくというわけなのです。
かように大切な役割を持たされている肺が病気になったり加齢によって衰えたりするとどうなるのか……。次回、お伝えいたしましょう! (後編へつづく)
> 120歳まで乗り続けるために〈第15話〉「体のエンジンオイル!?:血液(後編)」
> 120歳まで乗り続けるために〈第17話〉「体の吸排気システム:肺(後編)」
> 120歳まで乗り続けるために〈第18話〉「体のメインフレーム:骨(前編)」