「エンジンがかからなくなった!」。その原因は故障のケースももちろん考えられるけど、意外とシンプルな場合も。そこで、特に初心者にチェックしてほしいポイントを挙げてみた。まずは焦らずに点検を!

意外と単純なミスに気づかない場合も!

充実したロードサービスを構築しているレッドバロン。各地からレスキューを依頼する電話がかかってくるが、「エンジンがかからない」というケースが多いらしい。

しかし実際のところ、原因は故障ではなく、簡単な操作ミスである事が少なくないとのこと。確かにエンジンがかからないと焦る気持ちはわかるが、ロードサービスを頼んだり、故障を疑う前に以下のポイントをチェックしてみよう。

□エンジンストップスイッチが「ON」「RUN」になっているか?

まず最初に疑いたいのがエンジンストップスイッチ(キルスイッチ)の状態。多くのバイクの右ハンドルにある赤いスイッチ(最近は赤以外のモデルも出てきたが・・・・・・)で、グリップから手を離さずに即、エンジンをオフにできる。

車種によって表記は異なるが、これが「ON」や「RUN」になっていないと、いくらエンジンをかけようとしてもかからない。

↑エンジンストップスイッチは形状や表記が様々。愛車のスイッチの位置がどの状態か知っておこう。なおスーパーカブなどエンジンストップスイッチのない車両もある。

□チョークスイッチはONになっているか?

セルは回るのにエンジンがかからない場合、チョークスイッチがONになっているかチェック。チョークは、昔ながらのキャブレター車に設置されているメカで、ガソリン噴射量を増やすことでエンジンを始動しやすくする仕組みだ。

これを使用しないと、エンジンが冷え切った状態の場合、夏以外はまずエンジンはかからない。なおチョークを使って始動し、エンジンの回転が安定したら元の位置に戻すことを忘れずに。燃料が過剰に送られ、スパークプラグがかぶってしまう!

↑車体左側のガソリンタンク周辺や、左ハンドル手元に付いていることが多い。近頃増えているフューエルインジェクション(FI)車は、自動で調整してくれるので非装備だ。

□ガソリン残量はきちんとあるか?

セルは回るのにかからない場合、チョークの他に「ガス欠」も疑いたい。燃料計、または目視で燃料を確認しよう。
ガス欠の具体例として、信号待ちで急にエンジンが停止したり、走行中にスロットルの反応が弱くなり、エンストするケースがある。いずれもセルは作動するのにエンジンが始動できない。

なお、エンジンがかからないのにセルを回し続けるとバッテリーが弱まってしまう。5秒程度回すと大幅に電圧が下がるのでご注意を。

↑燃料計のない車種は、燃料タンクを開けて目視で残量をチェック。

□ガソリンコックは「ON」になっているか?

セルが回ってガソリンもある場合は、「ガソリンコック」の位置を点検だ。

ガソリンコックは、フューエルインジェクション(FI)車には非装備だが、キャブレター車に採用されている装置。燃料タンクからエンジンへの燃料供給経路にある栓で、開閉が可能だ。

手動式(自然落下式)コックでは、ON、OFF(燃料ストップ)、RES(リザーブ=予備燃料への切り替え)を選べるレバーがある。これがOFFの位置だとガソリンが流入されず、ガス欠の症状になってしまう。

↑手動式コック。写真は'06年式D-トラッカー(カワサキ)で矢印の方向で状態を選べる。写真はONで、左側がOFF、上側がRES。各位置に向きをしっかり合わせるのが大事だ。

↑夜間や走行中でもRESに切り替えできるよう、コックや、ON、RESの位置を覚えておくと安心。


なおRES(リザーブ)は別途、予備燃料タンクがあるわけではなく、ノズルの位置によって残量を警告する仕組みだ。

↑タンクの仕組み。RES(リザーブ)は予備タンクとも呼ばれるけど、タンクの別室があるわけではない。画像はレッドバロン提供。


リザーブにしてからの残り燃料は、車両によって様々。大抵は10~20km程度走行できるが、なるべく早めの給油が吉だ。

なお、負圧式コックはOFFがなく、代わりに「PRI」(プライマリー)がある。負圧式の場合、エンジン停止時は燃料供給が自動的にストップし、エンジンがかかった際にガソリンが負圧で送り込まれる仕組み。「PRI」にすると停止時でも自然落下式と同様、燃料が流れる。

□ギアはニュートラルか? クラッチレバーはしっかり握っているか?

エンジンストップスイッチがONでもセルモーターが回らない場合、様々な理由が考えられる。
一部の車種ではギアがニュートラルに入っていないとセルが回らないタイプも。また、ニュートラルでもクラッチを切らないと始動できないモデルもある。

これは事故を防止するための機構。メーターでニュートラルランプが点灯していても、実際にはギアが入っているケースがある。この状態で始動するとバイクは前に飛び出してしまうので、これを防ぐことが目的だ。

ギアをニュートラルにして、クラッチレバーをしっかり握った状態でセルを回してみよう。これでもセルが動かない、あるいは弱々しい場合は、バッテリー容量の不足などが考えられるだろう。

↑ニュートラルにして、クラッチレバーを握った状態でセルを回すのが確実。セルモーターへの負担も減る。

□サイドスタンドが出しっぱなしになっていないか?

サイドスタンドを出した状態だとエンジンがかからない車種がある。また、エンジンは始動できてもサイドスタンドを出しっぱなしで走行すると、エンジンが止まる車両もある。

これもやはりスタンドを出したまま走り、転倒する危険性を未然に防ぐための機構。サイドスタンドを払ってから、エンジンを始動してみよう。

↑多くのモデルには、サイドスタンドの状態を判別するスイッチが付いている。スイッチの作動不良で、発進するとエンジンが止まってしまうケースも。

[まとめ]これでダメならショップに診てもらうのも手

特に初心者にとって、単純な操作ミスでエンジンがかからないケースはありがち。これらのポイントをチェックしたけど始動できない場合、プラグやバッテリーなど少しややこしい原因がありそうなので、メカが不安な人はショップに診てもらいましょう。

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