中古車購入の不安を解消してくれる、レッドバロンの『パーツ保証』をご存じですか?


年式が古いバイクには故障や不調といったトラブルがつきもの。しかしメーカーの純正部品は、車両の生産終了から約7年で在庫義務がなくなってしまいます。
そこでレッドバロンでは、独自に純正パーツをストックしてバイクの修理に取り組んでいます。

レッドバロンでバイクを購入すれば、メーカーから部品が出なくなってしまった絶版車であっても、最長で3年間のパーツ供給を含めた修理対応を約束する。
それが『パーツ保証』なのです!

本記事では本社工場の見学を通して、パーツ保証を支えるリサイクルパーツ整備の様子をお届けします!

前回までのおさらい

前回の記事では、全国の店舗から送られてきた車両を良否判定して、1台ずつ丁寧に分解していく作業を見学しました。


取り外したばかりのパーツはそのまま保管するのではなく、しっかりと品質チェックをした上でストックされていきます。

レッドバロンには、サスペンションならサスペンション、キャブレターならキャブレター、それぞれのパーツごとにリサイクルのプロフェッショナルがいます。
中古パーツが良質なリサイクルパーツへと生まれ変わる現場を見に行ってみましょう!

ピカピカに生まれ変わるメッキパーツ

私たち一般ライダーにとって、目で見て一番わかりやすいのが磨きの部門です。

新品のような美しさ

写真のメッキパーツは左半分が取り外してすぐの状態、右半分が磨きの工程を経た状態です。

メッキパーツを一度でも磨いたことがある方ならわかると思いますが、自力でここまでピカピカにしようとしたら、何日もかけて腱鞘炎になるほど手を動かし続けることとなるはずです。

特にステップに注目してみると、細かい凹凸の隙間まですべて美しく磨き上げられながらも、全体的にマットな質感が保たれています。
左側に細かい傷が少しだけ残っていますが、バイクに取り付ければ見えなくなる位置なのでまったく支障はありません(そもそも可動する部分なので、車体に取り付けた時点で必ず傷が付きます)。

リサイクルパーツであることを知った上で観察しない限り、新品だと思っちゃうほどきれいに仕上がっていたのでした。

磨きと調色の合わせ技

磨くのはメッキパーツだけではありません。
例えばこちらのホーネットのタンク。入荷してそのままの状態ではヘコみや傷が多く、古さが目立ちます。


しかしレッドバロンの手にかかれば、ご覧の通り!逆に「新品じゃないんですか?」と聞きたくなるような美しい仕上がりです!!

表面のツヤに加え、注目すべくはタンクのカラー。ほぼ純正と同じ色に塗装をされています。
車の純正色は塗料の配合データが公表されていますが、バイクは非公表です。つまり、既存の塗料を混ぜて調合し、純正色に近い色を作るしかないのです。

後ほどご紹介しますが、工場内にはカラーを調合する『調色』のプロフェッショナルが常駐しています。
磨きのプロと調色のプロ、両方が揃って初めて美しい塗装が完成するのですね。

黙々とパーツを磨く技術者の皆さんの様子は、まるで彫刻家や漆作家といったアーティストのよう。ツヤツヤ輝くリサイクルパーツが芸術品に見えてきたような気がします。

熟練の調色技術で純正色を目指す!

「目には自信があります」という言葉が印象的だったのは、先ほどタンクの塗装の際にも触れた調色の部門です。
レッドバロンには全国4か所に塗装工場があり、そのうちのひとつが本社工場内にあります。

純正色を“作る”


調色とは、数種類の塗料を混ぜて理想の色を作り上げること。

多くのリサイクルパーツにおいて、カウルやタンクと言った外装パーツは純正色で塗ることが望まれています。
しかし先ほども話に出たように、バイクには純正色の塗料というものは存在しません。メーカーや車種や年式、もっと言えばロットによって少しずつ違う色を技術者の目と技術で作り上げる必要があるのです。

見せてもらったのは、カワサキの「ライムグリーン」の色見本です。

すべてカワサキでおなじみのライムグリーンなのに、並べて見るとそれぞれに明度や彩度、色味の違いがあります。
その差はほんのわずか。思っていた以上に細かい色の調整が行われていることがわかりました。

AI調色機も万能ではない!?

さて、ここからは実際の作業内容を教えてもらいましょう。ソリッドカラー(メタリックやパールが含まれない色)の調色の流れは次の通り。

まずは専用の装置を使って外装パーツを読み取ると、AI調色機が近い色味を持つ塗料を導き出します。

ここで出される色はあくまで近い色であって、ピッタリ同じ色ではないため、技術者が色を混ぜ込んで調整する必要があります。
それでも「ベースの色を選定してくれるので、AIを導入して作業がスピーディーになりました」とのこと。


しかし、AIが太刀打ちできないカラーもあります。
メタリックやパール、キャンディ色などは正しく識別できなかったり、ものによってはエラーが出てしまったりするのです。

例えばこちらのHONDAのフェニックスブルーは、AIで読み込むだけではパールが入らず、立体感のない濃い目のブルーが出てしまっています。

一方、技術者がイチから手掛けた調色では、傾けて光の反射を見ても色調見本と比較しても、ほぼ同じ色が作られています。

カワサキのH2に使われているエメラルドブレイズドグリーンは、AIではエラーが出てしまい、読み取ることができません。

技術者による調色では、輝きも色味も限りなく純正に近い色が作られていました。
グリッターの場合、色だけではなくラメの粒のサイズまで選定する必要があるのだそう。頭がこんがらがっちゃいそうです…!

お話を聞く中で特に面白かったのは、最終的に完成した色は同じであっても、人によって調色の道筋が違うということです。
どの塗料をベースにするか、どの塗料を混ぜて色味を調整するか。まるでパズルを解くみたいに色が作られていくのですね。

目にもとまらぬサスペンション分解

路面の凹凸から受ける衝撃を吸収する役割を持つサスペンションも、リサイクルの対象です。

サスペンションを大きくわけると、スプリングとダンパーから構成されています。
スプリングはバネの力で路面の凹凸を吸収する役目を持ち、比較的経年劣化が少ないパーツです。

対してダンパーは、スプリングが働いてできた衝撃を吸収して車体の跳ねを抑える役目を持ち、古くなると封入されているオイルが漏れたり劣化したりというトラブルが生じます。
性能を維持するためにはオーバーホールが欠かせませんが、ロッドの再メッキや高圧ガスの封入といった高度な技術と設備が必須なのです。

わずか10分の早業

今回はサスペンションのオーバーホール作業の一部である、分解作業を見学させてもらいました。

まずはスプリングを取り外したら、
 

ダンパー内に圧入されたガスを抜き、ロッドを取り外します。


オイルを取り除き、


ロッドを分解したら、


あっという間にサスペンションの分解が完了です!

高い技術力に加え、専用工具まで自社で開発することで、作業効率が極限まで上がっています。
サスペンションがバラバラになるまでにかかった時間はわずか10分ほど。まさに目にもとまらぬ神業でした。

また過去にリサイクルしたサスペンションの構造は、すべての種類を写真で記録してあります。いつでも過去のデータを参照できる環境が整っているのは安心ですね。

テスターで性能チェック

分解後は部品をクリーニングし、逆の手順で組み立てます。

組み立てたら「ハイ、終わり」とならないのがレッドバロンのすごいところ。
作業場内に設置された専用テスターで性能チェックを行い、本来の性能が発揮されていることを確認してオーバーホール完了ということです。

お話を聞くと、この部門では毎月300~400本のサスペンションのオーバーホールをしているのだそうです。

キャブレターまでリサイクルできるんです!

近年のバイクはほとんどがインジェクション仕様ですが、人気の絶版車の中にはキャブレター仕様のバイクがたくさんあります。
一般的に、キャブレターは非分解パーツ。故障した場合は丸ごと交換することが多く、メーカーのパーツ供給が終わってしまっている場合は修理できなくなってしまいます。

そこでレッドバロンでは、専門的な知識と高い技術でキャブレターを分解・修理する取り組みをおこなっています。

専用の測定器でキャブレターを点検しよう

キャブレターの修理内容を決めるために、まずは点検・診断を行います。見本のキャブレターを使って検査を体験させてもらいました。

左半分が修理前、右半分が修理後の状態。エアクリーナー側からキャブレターにライトを当てると、バタフライバルブの隙間から光が漏れているのがわかります。

バタフライバルブが摩耗して隙間ができると、始動性が悪くなったり回転落ちが悪くなったりと、不具合が出ることがあります。

続いて登場するのが、バタフライバルブ全閉時の通気量を見るための専用の測定器。


測定した結果はこの通り。修理前では100Paを超える空気が漏れていましたが、修理後は20Pa未満に落ち着いています。

修理前のような症状が出ているキャブレターの多くは、バタフライバルブの調整・交換で症状が改善するということでした。

まるでオーダーメイドな補修部品

レッドバロンでは、本来は非分解パーツであるバタフライバルブを自社で調達・交換して修理しています。個体ごとに摩耗の具合が異なるほか、本体側が摩耗をしている場合もあるので、修理には高い技術が求められます。

修理用部品として見せてもらったケースの中には、バタフライバルブの素材である真鍮製の円盤のストックが入っていました。

円盤たちは未完成の状態。実際に使用する際には、車種に合わせてフチ部分に勾配を付ける加工を施すのだそうです。


バタフライバルブだけではありません。こちらのキャブレターはフロートピンの支柱が折れてしまっているのですが、真鍮製の支柱を継ぎ足すことで修理をしています。

これらのパーツを自社で加工できるため、車両の状態に合わせたオーダーメイドの修理・調整が可能なのです。

キャブレターに限った話ではなく、レッドバロンの本社工場には「この方なら安心して自分の愛車を任せられそう!」と思えるような、魅力的な技術者の方がたくさんいるのですね!

自社加工でシートの納期もスピーディ

最後にやってきたのはシート補修の部門です。
ここで行う加工は、大きくわけると「損傷、劣化の修理」「足つきの改善」「個性を出すカスタム」の3つにわかれます。

損傷や劣化の修理

店舗からの修理依頼の他にも、買い取り・下取り車両のシートに破れがあった際に即座に交換できるよう、本社工場で中古シートの在庫を確保しています。

素材となるシートは必要に応じてウレタンを補修し、表皮を張り替えられます。
作業を見学させてもらうと、エアタッカーを使ってシワひとつ作らずピンと、しかも超ハイスピードで表皮が張られていきます。


張り替え後は、シートの表面にシワがないことが必須条件です。
比較用に用意してもらったNG例と見比べると、レッドバロンの表皮張り替えのレベルが非常に高いことがわかります。
スピーディなのは作業だけではありません。
使用頻度の高い120種類の表皮に関しては、あらかじめ協力会社で作成して社内に在庫しています。短納期である上、量産することでコストを抑えるメリットもあるのです。
型紙に関しても700車種が保管されており、社内にて迅速に裁断、縫製できるのだそうです。

乗り心地を損なわないアンコ抜き

足つきを改善するアンコ抜きでは、シートを構成するウレタンを削り取ります。
当然多く削り過ぎるとクッション性が失われてしまうのですが、レッドバロンでは過去のデータをもとに、推奨するアンコ抜きの限界値をユーザーに教えてくれるのだそう。

また、ウレタンを削ったあとのクッション性を確保するため、希望する場合はゲルパッドの埋め込みに対応しているのも嬉しいところです。

ゲルパッドを埋め込むと振動が低減・吸収され、1日中走ってもお尻がほとんど痛くなりません。特にロングツーリング中の快適度に大きな差が出るのです。

個性的なタックロールも自社製造

カスタム依頼の場合、表皮の色、素材、デザインといった変更点があります。
レッドバロンでは純正に近い表皮の他にもエナメル、ヘビ柄、アルカンターラ(人工皮革のスエード)などを取りそろえ、幅広いカスタムに対応しています。

特に人気が高いのはタックロール+パイピング。フカフカの生地にステッチラインを入れ、シートのフチにカラーコードを入れる加工です。
レッドバロンでは専用の高周波溶着機を導入しており、なんと、タックロールの生地を自社製造していました!


高周波溶着機で作ったタックロールには縫い目がないため、雨が降っても浸水せず、長持ちするというメリットがあります。

見た目だけではなく、使いやすさやお手入れのしやすさなど「ライダー目線」での加工をしてもらえるのですね。
さすが、スタッフ全員がライダーのレッドバロンです!

パーツ保証制度で安心バイクライフ

ひと通り本社工場内を回り、再び 大量のパーツが並ぶ倉庫へやって来ました。
ここにあるすべてのパーツが、点検・加修・クリーニングを経たリサイクルパーツです。


ひとつひとつのパーツは小さく細かいものですが、塵も積もれば山となります。
途方もない作業のもとに『パーツ保証制度』が成り立ち、全国のレッドバロン会員の愛車を維持し続けているのですね。

数々の職人技を思い返しながら眺めるパーツストックは、エベレストのように立派に見えたのでした。


──次回の記事では、レッドバロン本社工場でメンテナンスされた絶版バイクの試乗レポートをお届けします。どうぞお楽しみに!

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