いったい何者!? 新登場のアヴェニス

 人気が高まる原2スクーター。各社がラインナップを充実させる中、スズキは『アドレス125』と『アヴェニス125』、新型2機種を新発売しています。


 前回はフルモデルチェンジを果たした『アドレス125』を報道向け発表会で初めて見たときのファーストインプレッションをお伝えしましたが、今回はその続きです。『アヴェニス125』をご紹介いたしましょう。

スウィッシュの後継なのに、なぜ低価格!?

 スズキの原2スクーターには、上級モデルとして『スウィッシュ/リミテッド』があり、125ccクラスはベーシックな『アドレス125』との2本立てとなっていました。

『スウィッシュ』は生産終了となり、その代わりに登場したのが『アヴェニス125』です。ただし、『スウィッシュ』は前後とも足回りに小径10インチホイールを履くのに対し、『アヴェニス125』はフロント12インチ、リヤ10インチとしています。


 価格帯も異なり、『スウィッシュ』が32万4500円、上級仕様の『スウィッシュ リミテッド』は34万6500円でしたが、『アヴェニス125』は28万4900円と30万円を下回ります。

 ちなみにエンジンは『スウィッシュ』も空冷SOHC2バルブ。最高出力こそ9.4→8.7PSにダウンしているものの、環境規制などを考えるとスペック上の数値は致し方がないところ。

上級仕様のムードたっぷり


 しかし、見た目はスタイリッシュかつスポーティで、上質さを持ち合わせているではありませんか。エッジの効いたデザインで、SFアニメに登場しそうな近未来的なフォルム。発表会で実車を目の当たりにし、写真を撮ったり、いろいろな角度から眺めていると、「“The Urban Arrow”。キビキビと走る軽快なスポーティスクーターが開発コンセプトです」と、チーフエンジニアの森井秀史さんが教えてくれます。


 えっ、チーフエンジニアにどうして教わることができるのかですって……!? お答えいたしましょう。ボクもWEBニュースやバイク専門誌、大衆誌などいろいろなメディアで開発チームのコメントをお伝えしていますが、メーカーの発表会では開発責任者をはじめ、各パートを設計したエンジニアさんやデザイナーさん、あるいは操安を担当したテスト部門のご担当者といった開発チームのみなさまとお話することができ、細部についてまでいろいろと教えていただける機会があるのです。


 ニューモデルが出ようものなら、ねちっこく質問攻めにするのはボクだけではないはずですが、従来型『アドレス125』を所有するスズキ原2スクーターオーナーとしては、取材によりいっそうの熱が入ります!


 フロントからリヤに向かってせり上がっていくようなウェッジシェイプについては、デザイン担当の斉藤航平さんに、こだわりのポイントを問いかけます。斉藤さんは「パネルを合わせたような部品構成とし、面質にこだわることで上質感を演出しました。機敏な走りのイメージを生み出します」と、答えてくれます。


 新旧『アドレス125』がそうであるように、広く真っ平らなフロアボードを採用し続けるのもスズキ原2スクーターらしさではないでしょうか。「足元に窮屈さを感じることなく、自由度の高いライディングポジションを実現しました」と、プラットフォーム設計の松下太亮さんが言うのでボクも頷くばかりです。足もとがフラットなのは、とても快適だとボクも思います。


 生産国は新型『アドレス125』と同じインド。中身は同じなのでしょうか? 松下さんによると「新型アドレス125のフレームをベースに大径パイプを採用するなど、アヴェニス125専用設計です」とのこと。よりスポーティな走りにマッチしたフレーム剛性が確保されているそうです。

細部も徹底チェック!!


 給油口をシート後方、テールエンドに設置し、シートを開けることなくガソリンを入れることができるのも新型『アドレス125』と一緒。


 左レバーを握ると、前後ブレーキが同時に作動し、安定した制動力をサポートするコンバインドブレーキを採用しているのも『アドレス125』と変わりません。

豪華すぎるフルデジタルメーター


 決定的に違うのは、メーターパネルです。なんと、フル液晶ディスプレイがおごられ、燃料計や時計などのほか、オイルチェンジインジケーターや燃費の良い運転をしているときに点灯するエコドライブインジケーターも表示されるから驚きを隠せません!


 フロントボックス内には、スマートフォンの充電などに便利なUSBソケットを装備。ストッパー付きの折りたたみ式ホルダーがシート下、股ぐらに備わっているなど『アドレス125』に備わるものはすべて網羅し、車体価格は28万4900円とリーズナブルな設定なのです。

完売の予感しかしない


 日本での年間目標販売台数は3000台で、『アドレス125』は9500台を設定。2回に渡って紹介したスズキの新しい原2スクーターですが、どちらも売れまくる予感しかしません。

 最後になりましたが、「アヴェニス」の初代は1998年12月に誕生しています。都市のAVENUE(アヴェニュー、南北の通り)とSTREET(ストリート、東西の通り)を自在に移動できるパーソナルコミューターとして命名されたネーミングで、125ccモデルと150cc版が存在しました。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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