
▲要望書を手渡した二輪業界団体と受け取った日本維新の会オートバイ議員連盟
前編に引き続き、12月9日(火)に開催された日本維新の会オートバイ議員連盟総会の模様をレポートする。二輪業界団体からの要望の柱は、高速料金の区分独立・適正化、駐車問題の改善の2つ。これに対して所管省庁はどう答弁したのだろうか。
Contents
高速料金はいつどこでどのように決められた?
高速料金問題について回答したのは、国土交通省道路局。まず前提として、現在の5車種料金区分(軽自動車等、普通車、中型車、大型車、特大車)は「昭和63年(1988年)道路審議会答申」をもとに決定されたこと、車種間の料金比率は3つの負担(原因者負担、占有者負担、受益者負担)の考え方で決められていることを説明した。

▲高速道路料金の現行5車種区分 ※国土交通省道路局配布資料より引用
いま車種区分の見直しが図られている!

▲二輪業界団体が目指している二輪車の適正料金は普通車1.0に対して0.5。つまり普通車の半額にしてほしいというもの。二輪車定率割引で設定されている「現行料金(0.8)から37.5%の割引」というのは、つまりは目標値(0.5)だ ※国土交通省道路局配布資料より引用
30年以上が経過している車種区分については、いま見直しが図られている。車両の諸元や高速道路の利用状況が変化し、「軽自動車等」に含まれている軽自動車と二輪車の諸元差が拡大傾向にあることなどを踏まえ、前述した3つの負担の考え方からズレてきているのがその理由。
見直しは令和3年(2021年)8月の「国土幹線道路部会 中間答申」より始まり、その後、同部会で議論を重ね、現在は関係団体へのヒアリングを実施中だ。
なお、この部会では軽自動車と二輪車だけでなく、車種間の不公平感が出ないように普通車から特大車までを含めて検討されているため、もしかしたら今後大きな変更が行われる可能性もあるかもしれない。
ツーリングプランと二輪車定率割引の状況

▲ツーリングプランと定率割引の利用には、車体へのETC車載機の装着、登録が必要となる
続いては、二輪車定率割引と二輪車ツーリングプランの実施概要および実施結果が説明された。9月末までの集計数だったが、定率割引は約19万3,000件、ツーリングプランは約10万9,000件の利用があり、2024年度を上回る見込みとされた。
●2025年度二輪車定率割引
期間:4/5~11/30(北海道は10/26まで)
対象:ETC搭載二輪車によるネクスコ3社高速道路の利用
割引:1走行が80km超の場合、走行全体の料金を37.5%割引
●2025年度二輪車ツーリングプラン
期間:4/1~11/30(北海道は10/31まで)
対象:ETC搭載二輪車による全22コース
価格:2,000円~6,100円(2~3日間、対象エリア内乗り降り自由)
オンラインアンケートの分析も実施

▲オンラインアンケート結果から、二輪車定率割引の利用状況(分析中) ※国土交通省道路局配布資料より引用
また、分析途中ながら、2024年度定率割引利用者へのオンラインアンケート結果も公表された。利用距離別では「300km以上」が28%で最多、次に「100~150km」が27%で続いた。連続旅行日数では「2日間」が27%で最多、次に「3日間以上」が22%だった。
さらに、1人あたりの飲食代、施設利用料、お土産代の割合が発表され、1人あたりの飲食代については高速道路利用距離別の結果も提示された。長い距離を走る人ほど消費が増える傾向にあった。

▲オンラインアンケート結果から、二輪車定率割引の利用状況 ※国土交通省道路局配布資料より引用

▲オンラインアンケート結果から、二輪車定率割引の利用状況(分析中) ※国土交通省道路局配布資料より引用
最後に、ETC車載機購入助成(最大1万円)の実施についての成果も伝えられた。2025年11/9時点での助成申込みは約7.8万台とされ、うち二輪車は約2.5万台。これについては2026年度もネクスコ各社と調整して進めたいということだった。
国土交通省のもと税金を使うことへの理解

▲軽自動車との車種区分分離に伴う料金収受システムの改修にも相当の予算が必要になる
こうしたデータが示されているのは、2つの施策が広域観光を目的とされているからだ。二輪車料金区分の独立・適正化と何の関係があるのかと思われるだろうが、国や自治体が新たな施策を進めたり予算をつけたりする際には、既存の制度や施策に当てはめるのはよく使われる手法だ。
今回の場合は、国土交通省所管の特殊会社であるネクスコ各社の既存の旅行プラン(ドライブプラン)を活用し、ライダーの高速道路利用状況やその波及効果について、観光・地域活性化など広範にわたる影響までを考慮して調査、分析している。
国会議員が動くこと、車種区分の分離と料金適正化に関わる現場への設備投資などに国の税金が使われる以上、こうしたステップは致し方ないと理解すべきかもしれない。
二輪駐車問題にも具体的な進展が見られた
二輪車の駐車問題については国土交通省都市局が説明を行った。所管する駐車場法に基づいた対応が中心となるが、自治体への技術的助言と駐車場整備の推進、附置義務条例の制定推進、自動二輪駐車場整備への財政支援などの取り組みと状況説明が行われた。
高速料金問題と違い、駐車場については各自治体の施策(駐輪・駐車に関わる各種条例の改正、附置義務条例の制定など)による改善が必要で、国土交通省は自治体がいかに取り組みやすくするかという視点で様々に動いている。

▲都道府県別の自動二輪車保有台数 ※国土交通省都市局配布資料より引用

▲都道府県別に見た自動二輪車(125cc超)保有台数1,000台あたりの駐車スペース台数。保有台数のグラフと見比べると、東京・神奈川・大阪などの大都市圏は保有台数に見合った整備が行われていないことがわかる ※国土交通省都市局配布資料より引用
特に、2025年5月からは、路外駐車場など市街地における自動二輪車および原付のための駐車スペース確保に関する施策の実施推進を目的に「自動二輪車等の駐車スペース確保に係る関係省庁連絡会議」を設置している。
本会議のワーキンググループには、日本自動車工業会、自動二輪車普及安全協会、全国オートバイ協同組合連合会などの二輪業界団体のほか、駐車場事業者や自治体もヒアリングに参加している。

▲東京都は他の自治体に比べればよく動いてくれているが、いかんせん保有台数(母数)とのバランスが取れていない。都心にバイクで来ることをためらう人は相変わらず多いだろう
今後の施策の方向性については、関係省庁連絡会議を随時開催し課題の共有、情報交換などを行うと共に、東京都など二輪駐車場が不足している自治体と個別協議を行って附置義務条例の制定について働きかけるという。
駐車問題への取り組みも、高速料金と同様に、国が主導して具体的な動きにつながるような可能性が見えている状況だ。
国会議員からの質疑と意見交換

▲元野球選手でスポーツキャスターとしても知られる青島健太 参議院議員はハーレーダビッドソンジャパンの販売問題についても質問
日本維新の会の参加議員からは様々な意見や質問が挙げられた。大きく報道されたハーレーダビッドソンジャパンの販売ノルマ問題や、雪道でバイクに乗る際のスノータイヤの可能性、自動車整備士の不足問題、自転車も販売しているような小さな個人バイク販売店舗の今後、インターネットで購入したバイクの整備を販売店が断わってしまう問題、離島へバイクで行く際のフェリー料金高騰の問題など実に多様だった。
これに対して二輪業界団体は可能な範囲で回答していたが、もちろんここでどうにかなるような簡単な問題はなく、今後の課題として受け止められたという印象だ。なお、その中でも印象的だったのが岡崎 太(おかざき ふとし)参議院議員から挙げられた高速料金問題への意見。
「僕がバイクに乗り始めた40年ほど前に、すでにバイク雑誌などで話題になっていた。バイクのカテゴリーがないこと自体が非常に奇妙な状態で、もう(ガソリン)暫定税率に続く勢いになっている。料金が高い安いじゃなくて不公平感。軽自動車と同じ設定にする理由がそもそも見当たらないので、ぜひよろしくお願いします」(要約)

▲高速料金問題の本質について指摘した岡崎 太 参議院議員
岡崎議員の意見に対して、道路局担当者は「この30年で車両の長さや重さも変化しているので、最新のデータを用いて、いま審議会の有識者と一緒に新しい差分に向けての検討をしている状況です」と今後の改善に向けて動いていることを説明した。
まとめ:改善への動きはかつてないほど具体化
バイクの高速料金問題と駐車問題は、国土交通省がかつてないほどの具体的な動きに取り組んでおり、おそらく数年のうちには具体的な制度・規約の改定に動けるのではないかと感じられた。特に、国土交通省とネクスコ各社の間での高速料金問題についてはこのままスムーズに進むのではないかと思われる。
駐車問題に関しては、国土交通省がどんなに動いても、最終的には自治体(東京都でいえば都以上に区市町村)や民間駐車場事業者、施設管理者などが動かなければユーザーの目に見える形にはならない。
今後は、ユーザー(ライダー・バイク利用者)の声をこれまで以上に可視化、周知していく努力が二輪業界に求められるだろう。悲観せず、業界・ユーザーが一丸となって改善に向かうべきだ。
