Contents
なぜハーレーに惹かれた!?
バイクライターとして、普段からバイク専門誌や一般大衆誌、WEBサイトなどいろいろなメディアに幅広く寄稿させていただいているボク(青木タカオ)ですが、ハーレー専門誌「WITH HARLEY/ウィズハーレー」(内外出版社より3、6、9、12月上旬発売)」では、編集長を務めさせていただいております。
片岡義男のオートバイ小説やスーパークロスに憧れたボクが、どうしてハーレー専門誌に携わっているのか……!?
バイクに乗りはじめた頃は、ハーレーにまったく興味がなかったボクがどのようにしてハーレーに惹かれていったのか。ここで少しずつ、書いています。
全3回で2010年に訪れた「DAYTONA BIKE WEEK(デイトナバイクウィーク)」での衝撃をお伝え中です。今回はその2回目。ハーレーがお好きな人も、アンチな方々も、よろしければ最後までお付き合いください。
そこはバイク天国だった
Welcomes Bikers! そこら中にその文字が躍り、そこら中でその言葉が飛び交っている。街にいるすべての人たちがバイク乗りを歓迎し、町中がライダーであふれかえっている。どこもかしこもバイク! バイク!! バイクっ!!!
こんな光景、見たことがありません。街のメインストリートはハーレーを中心にしたバイクの集団で埋め尽くされ、インターナショナル・スピードウェイは週末のメインレース「デイトナ200」や「スーパークロス」に向けて、旧車レースなどレース三昧。サーキットもストリートも、ピークに向けてヒートアップしていきます。
郊外ではフラットトラックレースやドラッグレースがおこなわれ、点在するオフィシャル会場で配られているタイムスケジュールを見て、好きなように見て回ればいいようになっています。
ミュージックイベントや試乗会などもディーラーなど至るところで開催され、人それぞれでバイクウィークを楽しんでいるのでした。その数なんと50万人! 街にもたらす経済効果も、さぞかし大きいのでしょう。
そこはまさにバイク乗りたちの天国。こんな素晴らしい場所があったのか……。ボクは毎日興奮し、そうした光景に酔いしれるようにレースやイベント、ショップやバーなどを見て回って、そのひとときを満喫したのでした。
アメリカンモータースポーツの聖地
米国屈指の危険なサーキットとして知られるデイトナ・インターナショナル・スピードウェイ。1周4,023kmの超高速オーバルコースで、最大バンク角31度という驚異的な傾斜を持ち、最高速度は時速350km以上にも達します。
インフィールドでは週末にスーパークロスもおこなわれ、そのコースが設置されているのがわかります。
レースの走行シーンは同行したプロカメラマンの磯部孝夫さんが撮るので、ボクはひたすらレース観戦を楽しんだり、ピットを歩いて楽しみました。自分でも結構な量の写真を撮っていて、今回のコラムを書くのにあたって旧いハードディスクからいろいろな画像が発掘されました。
ピットを歩いていて目にしたのは、なんと元H-Dワークス、伝説のレーサーでありますジェイ・スプリングスティーンの姿!!
サイン会が開かれ、もちろんボクも列に並ぶ。下の写真のとおりカメラケースにサインを頂戴しましたが、11年が経った今ではサインペンのインクが薄くなってしまっているのが、ヒジョーに残念……。
そして、バイクファンにはお馴染み「ライダースクラブ」元編集長/「RIDE HI」プロデューサーの根本健さんもMOTO GUZZIでAHRMA(アメリカン・ヒストリック・レーシングモーターサイクル・アソシエーション)のレースに参戦されておりました。
レース前で走行準備などしていましたので、駆け出しライターだったボクは深々と頭を下げるだけで話しかけるには至りませんでした。何やってんだか……、「日本から取材に来ました」って、ちゃんとご挨拶しておけばよかったと、いまでも猛省しています。
そこにはもうひとりの巨匠が
バイクウィークの期間中は、あらゆるレースが郊外のローカルコースでおこなわれていて、磯部さんがインターナショナル・スピードウェイでレースを撮影中、ボクはレンタカーを借りて自由に動き回りました。
フラットトラックに行くと、日本人のカメラマンがピットやレースをひたすら撮影しています。その御方こそ『ロードライダー』誌などに記事を寄稿されていました“てっぺー”さんこと中尾省吾さんでした!
漫画「俺は鉄兵!」(ちばてつや)の主人公に似てることから“てっぺー”と言われているそうで、若かりし日の“ノリック”こと阿部典史選手とともにアメリカで住み込みながらダート修業させたなど、二輪業界ではよく知られたそれはもう偉大なる人。
そんな方が、日本から来たハナタレ小僧であるボクにアレコレ教えてくださるからありがたいとしか言いようがありません。「よく来たね〜」「この人はねぇ〜」って、友人ライダーたちをご紹介までしていただける。もう感動モノ、てっぺーさん、ありがとうございました!!
少年野球を見るようにオバちゃんがドラッグレースを眺めている
ドラッグレースの会場をひとりでブラブラしていると、ハーレーのウルトラあたりにタンデムで乗っている高齢のご夫婦が、ホットドックを片手に熱心に観戦し、それはもうとても楽しそうにしているのです。
スタンドにはそんな人たちがイッパイで、日本では到底見られない光景。日本で例えるなら河川敷の草野球をのんびり見ているオジサンやオバサンたちのよう。そう考えると、なるほど合点がいきます。
アメリカのモータースポーツは、野球や相撲のように身近なものとして浸透していて、こうしたローカルレースも大勢の人たちが自然と集まり、誰を応援するわけでもなく、少年野球に声援を贈るように見て楽しんでいるのでした。
そこはとても居心地がよく、ボクもオバちゃんの真似をして、好タイムが出たライダーに拍手を贈って讃えてみます。ライダーもスタンドに手を振って応えてくれる。アメリカのローカルレースって、ハートフルなんです。
みなさん、とにかく楽しそうです。ハーレーが、バイクが、本当に好きなんですね。
ロングビーチでのんびり
日本でも石川県の千里浜なぎさドライブウェイがクルマやバイクで走れる海岸として有名ですが、モータースポーツ黎明期に性能を競ったデイトナビーチも、車両の通行がいまでも認められています。
砂浜の入口にゲートがあり、ここで通行料を支払います。写真は2014年にウルトラクラシックで走ったときのもの。このときはフロリダ半島4000kmを一周し、アメリカ最南端のキーウェストまで走りました。このときもリヤシートには磯部さん。そのツーリングの模様もまた別の機会に、ここで書きたいと思いますのでどうぞお楽しみに!
全3回に渡る「衝撃のデイトナバイクウィーク編」ですが、2回目となる今回はここまでとします。最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。次回はいよいよ最終回、ぜひお見逃しなく!!