1980年代熱狂のバイクブーム時、ライバルを凌駕するための高性能化バトルの中で次々に消えていった「空冷エンジン」年を経るごとに強化される“騒音”や“排ガス”という環境諸規制の面からも新規の登場は絶望的か……と思われていたのですが、なんとホンダから“エアクールド”な1140㏄並列4気筒エンジン搭載車が2010年にリリースされたのです!

2012年型CB1100カタログ

●趣きのあるツーリングシーンの写真が多数収録されている2012年型「CB1100」カタログより。急な通り雨でも構わず駆けていく鉄の馬。フロントフェンダーやマフラーに留まって輝く水滴がクロームメッキ被膜の高品質さを訴えかけるようです。そしてエンジンのシリンダー側面に等間隔で並ぶ細いフィンは“空冷”であることの証……。いやぁ、広告代理店もカメラマンもアシスタントもライダーもノリノリのキレッキレですね。あ、「ignition of life」というキャッチを考えたコピーライターも素晴らしい。全てがハマっていました!

 

CB400SSというレジスタンス【後編】はコチラ!

 

日本酒の蔵元で行われたCB1100の発表試乗会!

2010(平成22)年も無事明けて少し経ち、モーターサイクリスト編集部にも若干の落ち着きが戻ったころ、

仕事始めイラスト

前年、民主党が政権交代を果たし鳩山由紀夫首相が年頭会見を行った2010年の始まり。年末進行でボロボロになった心身を癒やす間もなく、すぐに1月の締め切りが襲来……。バイク雑誌の編集稼業は本当にエンドレスなのれす

 

 

3月4日~5日の2日間でホンダ「CB1100」プレス向け製品説明会&試乗会が千葉県印旛郡酒々井(しすい)町にある「飯沼本家」にて開催される……との連絡がファックスで届きました。

CB1100 TYPE1 ABS

●ホンダ「CB1100〈TypeⅠ〉ABS」……嗚呼、思い出しました。2010年当時はABSの非装着車も選べましたので、広報写真の但し書きにはいちいちABSのあるなしが明記されており、あとタイプ違いを表記するときも“山かっこ”……〈 〉←コレですねを、いちいち呼び出して打ち込んでいたことを、たった今、鮮烈にプレイバックいたしました。<>←不等号記号を使うとやんわり注意されたり……。懐かしいなぁ(遠い目)

 

 

ちょうど複合機の近くにいた筆者が用紙を取り上げ、あらましを読み上げると「イイヌマホンケ? ……ナニソレ? ドコ?」と、その場にいたMC編集スタッフ全員が例外なく怪訝そうな顔をしたものです。

 

通常、オンロード系ニューモデルの発表試乗会といえば、バイクを傾けたカッコいい写真を撮れるワインディング近くのホテルを会場とする場合が一般的で、“イイヌマホンケ”なんて聞いたこともありません。

 

さっそくインターネットエクスプローラーネットサーフィン(笑)してみると、江戸時代は元禄期に創業された300年を超える歴史を持つ酒蔵さんではありませんか! 

ネットサーフィン

●「そら、ネットサーフィンのイメージ図やない。どこでもパソコンひとつで稼ぐノマドワーカーのイラストや!」とエセ関西人的セルフ突っ込みをしながらあえて掲載。筆者もこんな、アイテー革命をしたかった(また違う)

 

 

「醸造中に揮発してきたアルコール成分を胸一杯に何度も吸い込んだら飲酒運転にならないのかなぁ」なんてアホなことを考えながら社用車のプロボックスにて東京都中央区にある八重洲出版から60㎞弱、1時間もかからず到着した「飯沼本家」へ降り立ってみれば、こりゃまた素敵すぎる佇まい……。

日本家屋イメージ

●実際のところは「飯沼本家」さんのウェブページで確認いただきたいのですが、本当にこんな雰囲気なのです。さらに敷地内では手ぶらで行けるキャンプ施設まで! 要チェックです〜

 

 

広い敷地内に歴史的な木造建築物が数多くあり、漆喰の白壁に重厚な瓦屋根、石積みの土台を持つ道路に面した塀に至るまで、我々がイメージする古き良きニッポンの美が満ちあふれているではありませんか~。

 

そう、まさに今回の主役「CB1100」のトラディショナルな姿をより引き立てる最高の“背景”がそこには揃っておりましたので、筆者の編集者魂もイグニッション・オン! 

CB1100タイプ2

●はい、こちらが「CB1100<Type Ⅱ>……いや、〈Type Ⅱ〉」です。後述しますが、タイプⅠとⅡの違いはハンドルの形状のみで価格は同じ、ですので2010年型CB1100の価格はノンABSが税抜き95万円(消費税5%込みは99万7500円)、ABS付きが102万円(同107万1000円)でありました。カラーリングは写真のキャンディーグローリーレッドと上で紹介した白がパールミルキーホワイト、そして下で紹介している黒……ダークネスブラックメタリックの3色展開でスタートしたのです

 

 

240㎏を超える車両を3色あったカラー別に何台も何回もカメラマンが望む撮影ポイントへハーハーゼーゼーと大汗をかきながら押し歩き、さらに指示を受けて細かく位置を変えていきながら“置き写真(前後7:3カットに左右真横・正面&真後ろ、3色勢ぞろい並び、注目すべき部分のアップ写真、ポジション&足着き性などなどなどなどの静的なカット多数)撮りまくったものです。

CB1100タイプ1ABS

●写真は「CB1100〈Type Ⅰ〉ABS」。編集部ではフロントブレーキローターの内側に車速感知用の穴あき輪っかやセンサー、そして明らかに多い配管類があるかどうかで、ABSの有無を判別していましたね。ABS仕様の車両重量は247㎏でノンABSが243㎏。ハンドル形状の違いで車重は変わりませんでした。CB1300用を“魔改造(?)”して生まれた1140㏄空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンは最高出力88馬力/7500回転、最大トルク9.4㎏m/5000回転のパフォーマンスを発揮! なお、シート高は765㎜でありました〜

 

 

なお、会場じゅうにほんわかお酒のいい香りが漂っていましたが、いくら走り回っても酔っ払いはしませんでしたね(←当たり前)。

 

そんなことはともかく、古来から続く伝統美を前にしても全く引けを取らない「CB1100」は、本当に“映える”モデルでした。

CB1100リヤビュー

●2012年型「CB1100」カタログより。ロケ写真だけでなく、スタジオ撮影写真もまた気合いが入りまくっていましたねぇ。さて、筆者は後日、CB1100の広報車を借り出すことになったのですが、ビルの地下1階、薄暗いバイク置き場にひっそり置かれていた白い車両を遠く眺めたときドキがムネムネ状態に。写真では分かりづらい絶妙微妙な曲面の陰影は、ぜひ実車で確認していただきたいところです

CB1100が発売されるまでの長い長い助走期間……

数々の伝説を残してきた歴代スポーツモデルのどれにも似ていないスタイリングでありながら、ホンダの屋台骨を支えてきた「CB」という大ブランドをサラリと身にまとった完成度の高い仕上がりぶりには心底驚かされたものです。

CB1100イメージイラスト

●「CB1100のデザインには『○○をイメージした○○ライン』といったようなスタイリングのテーマは存在しません」と初期型プレスインフォメーションに堂々と明記されていたほど、“過去人気モデルの焼き直し”を(当時は)嫌っていたホンダデザイナー陣。開発途中のイメージスケッチを見ても、“ライダーがまたがったときに完成するカッコいい造形”を模索していたことが伝わってきます。それでいて初めて眺めたライダーにも「あ、CBだ」と思わせる雰囲気を実現した力量……恐るべし

 

 

もちろん、その中心には“新規開発された空冷並列4気筒エンジン”がありました。

 

……と、至極簡単にサラリと書いてしまいましたけれど、コレって本当にスゴイことだったんですよ~。

 

前回のコラム「CB400SSの巻」でも、それ以外の車種でもさんざっぱら書いてきましたが、空冷エンジンと騒音&排ガスといった環境諸規制とは抜群に相性が悪いのです。

エンジンイメージ

●ガソリン混合気を燃焼させることでシリンダー内部で発生する高い熱を大気中へ放出するために設けられた必然の形が空冷エンジンの冷却フィン。その形状、厚さ、幅、素材、製造方法に至るまで全てを高次元でバランスさせるべく最新の技術が注入されました。もちろん今回は外観の美しさが重要なことは言うまでもないこと。美しいイメージ図を具現化させるべく、数多いトライ・アンド・エラーが繰り返されていったであろうことは想像に難くありません……

 

 

ゆえにあらゆる空冷エンジンが年を経るごとにほぼほぼ鬼籍に入ってしまった……のですが、そんなジェノサイドな状況が進行している中で、1140㏄空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンのCB1100が生まれてきたのですから驚きもひとしおでありました。

 

そんな奇跡を起こした空冷メカニズムのひみつ(by学研!?)的な解説は次回に行うといたしまして、1台のバイクを生み出すときに何よりも大切な開発陣のモチベーションがどのように醸造されていったかを、今回は紐解いてまいりましょう。

 

現在も現役バリバリのシニアライダーでしたら「CB1100」のプレリュード(前奏曲)として、すぐに思い出せるのが2007年の第40回東京モーターショーにて試作車として発表された「CB1100F」と「CB1100R」であるはず。

CB1100F CONSEPT MODEL

●正式名称は「CB1100F Concept Model」……う〜ん、確かに市販版「CB1100」とじっくり見比べてみると、各部の造形が思いのほか違っていることに気付きますね。そしてそして、搭載されるエンジンや細部はまるで異なるのですけど、ザックリとした印象として某ヤ○ハのS○X600初期型を想起してしまうのは筆者だけでしょうか? サイドカバー形状とかシュッとしたシート&テールとか前へのしかかるようなタンク形状とか……、あ、やっぱり私だけですか、大変失礼いたしました(?)。ともあれ、ショー会場でのリサーチでも好意的な反応が多かったため「CB1100」は市販化への道を力強く進んでいくことになったとか

CB1100Rコンセプト

●正直に書きます。レーシーな空冷CB再び!とMC編集部で大いに盛り上がり、読者の反応でも「こちらこそ市販化を希望!」との声が数多く届いたのが「CB1100R Concept Model」でした。まぁ、令和5年の現在、冷静に考えてみればモロモロ“ありえない”車両であることは分かるのですけれど、当時はまだ夢を持っていたかったので……(?)。某誌で展開していた“市販版はこうなる!”というCGにも心ときめいたものです

CB1100R 1982

●1982年型ホンダ「CB1100R」……空冷CB究極の存在とも言えるコイツに憧れたワケですよ、ボクたちはぁ! 詳細はWEBヤングマシンさんが分かりやすくまとめてらっしゃるので、ぜひともご一読ください

1983_CB1100F

●上で紹介している「CB1100R」の技術をお気軽に体験できるよう……ということで1983年だけ設定された「CB1100F」。写真は角目ビキニカウルにキャストホイールの北米仕様で、欧州向けは丸目ノンカウルにコムスターホイールでした。1062㏄空冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンの血脈は、これにて終了!

 

 

“F”は、もうまんま「CB1100」のイメージが横溢しておりますが、この時点ではまだ市販できるかどうかは全くの未定だったというのですから面白いものです。

「空冷CB」復活の出発点はベタベタな懐古調モデル!?

恥ずかしながら筆者はこの2007年にお披露目された試作車「CB1100F Concept Model」が「CB1100」のルーツとばかり考えておりましたけれど、ホンダ開発陣いわく、

 

原点は1999年の(第33回)東京モーターショーに出展した『CB Four』なんです」とのこと。

 

「へ? そんなモデルありましたっけ?」と当時の資料をまざくってみましたら……出てきました。

 

ハイ、こちらです(ドーン!)

CB Four

●1999年(第33回)東京モーターショーにおいて参考出品車として登場した「CB Four」。“直4(=並列4気筒)CB30周年”を記念して、独自のエモーショナルな味わいと機能美を徹底的に追求した大人のネイキッドモデル……なのだとか。世はまさにネオレトロネイキッドブーム全盛期! ホンダは1997年に「CB400 FOUR(NC36)」(←詳細はコチラの記事中盤)を出すものの見事に撃沈しており、「やはり水冷エンジンを空冷風に化粧するだけではだめだ!」との機運が高まっていたのかもしれません。歴史にタラレバもニラレバもパラレバーもテレレバーもございませんが、もし、この車両がこのスタイリングのまま発売されていたとしたら……妄想は膨らみます

 

 

ん~、筆者的にはあまりにも偉大なアイコン「ホンダドリームCB750 Four」そのまんますぎる雰囲気がいかがなものか……? という感じがいたします。

DREAM CB750 FOUR

●ホンダを名実ともに世界一のバイクメーカーへ押し上げた偉大な存在といったら「スーパーカブ」……であることはもちろんですが(^^ゞ、大排気量車方向なら写真の「ドリームCB750 FOUR」でキマリでしょう。公式リリースに「堂々たる風格 驚異のパフォーマンス 超弩級オートバイ遂に誕生!」とのアオリ文句が入っているくらいですから、どれだけの自信作だったことか……。67馬力を8000回転で発生する736㏄空冷4スト並列4気筒OHC2バルブエンジンは当時文句なく性能面ではナンバーワンを誇り、各国で大ヒットを記録したのです。日本では1969(昭和44)年8月に発売を開始し、価格は38万5000円でした

 

 

実際、ホンダ関係者がショー会場で来場者にヒアリングを行ってみても賛否両論まっぷたつだったとか。

 

「素晴らしい! 出してくれたら今すぐでも買う!」という熱狂派から、「懐古主義に過ぎるのでは? ネオレトロ路線にしてもゼファーのようにうまくモディファイをしてウンヌン(以下略)」という小難しい否定派まで多種多様な意見が寄せられ、バイクファンが“ホンダの空冷インライン4”にどんなイメージを抱き、期待をしているかを関係者が探ることのできた貴重な機会になったとのこと。

ホンダ スポーケット

●1999年の東京モーターショー……。「CB Four」の存在を忘れていた理由を思い出しました。筆者は当時、モーターサイクリスト誌と同じ八重洲出版内にあるクルマ雑誌「driver」編集部へ異動していたのですな。マツダ RX-EVOLV、日産 CYPACT、トヨタ HV-M4、ダイムラークライスラー ビジョンSLRロードスターなどなど膨大なメーカーと車両の数を取材するのにテンテコ舞い、かつ即時入稿しなければならず、二輪ブースなんて行ってる時間は全くなかったのでした。ホンダも四輪では写真の「スポーケット」や「不夜城」などアバンギャルドなモデルを多数参考出品しており「同じ会社でも二輪と四輪で目指す方向性は違うんだなぁ」と衝撃を受けたものです

 

空冷のライバルや同志が次々と姿を消していくなかで

1999年のモーターショーから8年……

 

ネオレトロネイキッドブームの代名詞として空冷ビッグバイクジャンルを牽引してきたカワサキの「ゼファー1100」&「ゼファー750」がともに2006年モデルで“ファイナルエディション”という花火を打ち上げて無事完走。

ゼファー1100 ファイナルエディション

●写真は最終型のカワサキ「ゼファー1100」。永遠かつ最強のグラフィックと言っても過言ではないZ1(900 Super4)を彷彿させる“火の玉カラー”にプラスして車体各部の仕様を小変更したファイナルエディションは発売されるや文字どおりの“奪い合い”となり、現在でも非常に高い人気を維持していることはご存じのとおり。当時の税抜き価格は87万9048円(税込み92万3000円)

 

 

ホンダもスタイリングは地味ながら(失礼)伝説的なカラーリングをカンフル剤に確実なファン層を培ってきた「CB750」を2008年モデルでディスコン(打ち切り……ディスコンティニュードの略ですね)にするなど、

CB750最終型

1979年に輸出専用車として販売された“1000cc並列6気筒エンジンのCB”こと「CBX」をモチーフにしたカラーリングが施された「CB750 Special」は、2007年9月28日から同年11月11日までの期間限定で受注販売されたモデル。当時の税抜き価格は78万円(税込み81万9000円)でした。……この1992年にデビューして16年以上も地味に(失礼)販売されてきた「CB750(シービーセブンフィフティと読む)」型式名 RC42は、ホントーに良くできた車両ですので全人類が体験してほしい!

 

 

気が付くと空冷ビッグバイクスポーツ戦線はヤマハ「XJR1300」のみが2007年モデルでフューエルインジェクション化による環境諸規制対応を行ってひとり意気軒昂……という状況になっていました。

XJR1300

●元祖の元祖の元祖で言ったら1984年型(!)ヤマハ「FJ1100」にまでさかのぼれてしまうロングライフな空冷エンジンを大切に使い続けて、ベスト&ロングセラーモデルへと大化けした(ヤマハはこのパターンが多いですね)「XJR1300」。写真の2007年型でレスポンスと環境性能に優れたFIを採用……するだけでなく、ありとあらゆる部分に手を加えて完成度を高めております。当時の税抜き価格は103万円(税込み108万1500円……ご存じのとおり、2000年代は消費税率が5%でありました)。その甲斐もあってか、2017年まで生産が続けられるヒット作となりました

 

 

そんななか、ホンダ開発陣は水面下であらゆる可能性を探り、前述のとおり2007年の「CB1100F Concept Model」で手応えをつかんだあと、2009年、第41回東京モーターショーでは晴れて“市販予定車”として「CB1100」と銘打ちホンダ二輪ブースの壇上へ……。

市販予定車2009 CB1100

●2009年の東京ショーでお披露目された“市販予定車”「CB1100」。このときはABS仕様の存在も、タイプⅠ&タイプⅡがあることも、もちろん販売開始時期や価格なども不明なままでした

 

 

かくいう11年にも及ぶ綿密な調査と入念な企画と情熱的な開発を経て、2010年に市販版「CB1100」のデビューが果たされたのですから大したものです。

 

詳細は次号でネチネチと紹介いたしますけれど、パワーユニットのベースはご存じCB1300……バリバリの水冷エンジンですよね。

空冷エンジン

●2012年型「CB1100」カタログより。「なぜ今さら性能の劣る空冷エンジンを新たにつくる必要があるのか」との声は、同じホンダ社内からも聞こえてきたとか。しかし、開発陣はバイクと時間を共にするときに感じる何気ないシンパシー……エンジンが冷えていくときの『キン、キン、キン』という音や、シリンダーフィンの見惚れるほどの美しさ、所有欲を満たしてくれる金属の塊感……などは、シンプルな空冷バイクでしか得られないと結論。じっくりと時間をかけて各部は煮詰められ、ついに「CB1100」が世に放たれたのです

 

 

そちらを空冷化して(←何度だって書きますが、本当に簡単なことではないんですヨ!)、新設計の鋼管ダブルクレードルフレームに搭載し、鷹揚(おうよう)なハンドリングを実現するため、慣性マスの大きな18インチホイールを前後に採用

2009_CB1300SF

●押しも押されもしない人気モデルとして君臨していたホンダ「CB1300スーパーフォア」は写真の2010年型でハンドルやシート&サイドカバー、テールカウルなどの形状を見直し、取っつきやすさや足着き性を向上させるというキメ細かい改良を実施。1284㏄水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブエンジンは最高出力101馬力/7000回転、最大トルク11.6㎏m/5500回転のパフォーマンスを発揮。ノンABSの車両重量は261㎏(ABS仕様は266㎏)。シート高は780㎜で燃料タンク容量は21ℓ。当時の税抜き価格は写真のノンABSの黒で106万8000円(税込み112万1400円)

 

 

そして、練り込みに練り込みまくった形状を持つ14ℓ容量の燃料タンクをセンターに据えて、周囲を取り巻く全てのパーツにも徹底した高品質感を追求……と、メカニズムの高い完成度を誇るとともに、オーナーの所有感をマシマシにする配慮を大量投入していったのです。

CB1100メーターなど

●2012年型「CB1100」カタログより。タンク/シート以外の構成部品は、金属そのものが持つ質感を引き出すことに注力。下地の段階で面を研ぎ込んだクロームパーツやバフを当てる方向まで指定されたアルミパーツが、洗車時の充実感まで約束してくれますネ。メーターは視認性に優れるアナログ式の速度計と回転計が整然と並び、その中間に多彩な情報を表示する液晶パネルを設定する構成で、ベース部分に配された深いグリーンは往年のCBを彷彿とさせました

 

 

また、ハンドルの形状は乗り手の好みによってアップハンドルタイプ(Type Ⅰ)とローハンドルタイプ(Type Ⅱ)の2種類から(同価格で)選べるという、水をも漏らさぬ「お・も・て・な・し」で、「ス・キ・も・な・し」(^0^)。

女子アナイラスト

●超有名女性フリーアナウンサーが東京へオリンピックへ誘致するプレゼンでも使った「おもてなし」は漢字で書くと「御持て成し」で、心のこもった歓待のこと。厚遇されるとグッときますよね!

 

 

なおかつ、シート高がベースとなったCB1300(780㎜)より15㎜も低く(765㎜)、サイドカバーの幅までCB1300比で40㎜も狭くなっているCB1100は良好な足着き性も実現しており、後日の取材では「またがった瞬間、購入を決めました!」というオーナーが多いことにも驚かされる結果に……。

 

「ハイパフォーマンスなバイクでは満たされない感覚を充足させてくれる、こだわりにあふれた1台をユーザーへ届けたい」というホンダ開発陣の想いは、世のシニアライダーを中心に広く届き、Type Ⅰが2010年3月に、Type Ⅱが同6月に発売が開始されたという日数的なハンデがあるにもかかわらず同年の401㏄~部門で販売台数トップを獲得し、翌2011年にも連続してクラス1位に輝くという偉業を達成!

CB1100走り

●2012年型「CB1100」カタログより。同時期のCB1300スーパーフォアより20㎏近く軽い車両重量、低いシート高&狭いシート近辺の幅で良好な足着き性、低速から湧き出るズ太いトルク、遠くまで見渡せるアップライトなライディングポジション、前後18インチホイールが生み出す“鷹揚”なハンドリング……。図らずもここの写真が訴求している“気負わず走り出せるリッターバイク”としての深い魅力は、口コミでもウェブ上でも幅広いライダーへ瞬く間に広がっていきました

 

 

世の趨勢に抗って登場した大排気量「空冷CB」が大いなる復権を果たしたのです! 

 

次回はその原動力となった空冷パワーユニットの創意工夫を中心にお話してまいりましょう~。

エアフロー

●おちょぼ口の宇宙人2体がシャワーを浴びながら目を見開いてこちらを見ている図……ではありません。答え合わせは次回のお楽しみということで〜(^0^)

 

 

あ、というわけで「CB1100」シリーズはシニアライダーによって大切に乗られてきたパターンが多く、2010年~2011年の初期型でも程度良好な場合がほとんど。レッドバロンの良質な中古車ならアフターサービスも万全なので、安心しつつ“鷹揚”なハンドリングを楽しみ続けられます。まずはお近くの店舗まで、お気軽に足を運んでみてくださいね~!

 

CB1100という夢の結晶【中編】はコチラ!

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