幼虫時代に長い期間を地中で過ごすセミのごとく、10年以上の(先行)開発期間を耐え抜いてバッと世の中に出た「CB1100」。待望久しかったネオ空冷四発はセミのように儚く姿を消すことはなく、大排気量ビッグバイクジャンルに確固とした地位を獲得。歩みを止めぬまま世に放たれた数多くのバリエーションはどれも高い人気を集めたのです!

●2014年型「CB1100/EX」カスタマイズパーツカタログより。つや消しのMORIWAKIメガフォン2本出しマフラーが目をひく“SPORTS STYLE コンセプトモデル”(写真は当時発売されていないパーツも組み込まれていた仕様)。CB1100は人気モデルなので豊富なカスタムパーツが用意されており、購入後にどうイジるか考える楽しみも一級品! なお、レッドバロングループには常時1500本以上のマフラーと各種パーツを取りそろえるパーツショップ日名橋もあるので、随時チェックを〜!
Contents
地中7年、地上7日とも言われるセミとは大違い!
にん(人)べんに夢と書いて「はかな(い)」……というのは、本当に趣深い漢字ですね。

●セミは土の中でじっと自らを育てていく長い長い期間が不可欠で無事に羽化すると我が世を謳歌……。成虫は7日程度の命と言われてきましたが最新の研究では数週間ほど生きているようです。ともあれ長い長い時間、水面下で開発されてきた「CB1100」も2010年に世に放たれて大人気を獲得。そしてこちらは10年以上のロングライフがスタートしたのです!
意味としては「淡く消えやすい」、「確かなところがない」、「長く続かない」などでありますが、ホンダ開発陣(人)の夢が結集した「CB1100」は2010年のデビュー以降、様々な追加モデルやマイナーチェンジなどを繰り出して、「儚さ」とは真逆の「しぶとさ」を見せつけていきます。
【前編】、【中編】で述べてきたとおり、20世紀……1999年の東京モーターショーで披露された「CB Four」を原点として、21世紀に“空冷四発”を蘇らせるべくホンダは一体となって長期的なロードマップを構築。

●インタビューさせていただいた関係者いわく「せっかく21世紀に復活させる大排気量空冷4気筒エンジンですから、一発だけの“花火”にはしないよう、今後さらに環境諸規制が強化されていくことまで視野に入れた開発をしています」……この言葉に偽りはありませんでした!
入念かつ大胆な研究開発を飽きることなく継続してきたエンジニアたちの熱き魂は、広報&宣伝の巧みさとも相まって老若男女を問わないライダーの心を振るわせ、2010年、2011年と国内401㏄~マーケットにおいて「CB1100」は販売台数トップの座を2年連続で獲得いたしました!

●緩い横長長方形の筐体内、そのド真ん中に正円のレンズ部があるというテールランプの意匠は初代「CB750 FOUR」にも通じるアイコンで、夕闇迫る高速道路などで颯爽と抜き去っていく赤い輝きを何度見させられたことか……。写真は2014年型「CB1100」ですが、2017年型からは光源が電球からLEDに変更されました。それでも長方形のド真ん中に丸いレンズというデザインは不変……、分かってますね〜
……ぶっちゃけホンダは販売している車種が多い(多すぎる!?)からかもしれませんが、売れていても売れていなくても“謎の放置プレイ”がスタートして、気が付けば世間から忘れ去られている……という恐怖のパターンへ陥るモデルが多いのですけれど、

●バイクもそこそこありますが、クルマで放置プレイするパターンがとても多いんですよ、ホンダって。登場時に花火を上げて、イマイチ売れないと分かったら地道な改良すら放棄してさようなら。エレメント、キャパ、グレイス、ジェイド、ドマーニ、ロゴ、(平成)Z、MDX等々……
幸いにして「CB1100」は、ほのかな“お化粧直し”から韓国の美容ショーもビックリな“全身整形”に至るまで大小の改良がモデル末期まで繰り返されていきましたので、常に新鮮さがキープされました。

●地味子ちゃんが華やかなキャバ嬢?に大変身! どちらのほうがいいのかは個人の性癖……いや好みによって異なりますが(汗)。「CB1100」も前期と後期とではイメージが大違い。ビックリしますよ〜 (^^ゞ
そんな流れをざっと振り返ってまいりましょう。
最初の特別仕様車は吸い込まれそうな青色
「CB1100〈TypeⅠ〉ABS・Special Edition」
2011年7月12日 受注期間限定発売
受注期間限定……この「CB1100」の特別仕様車なら、2011年6月21日から8月10日まで注文を受け付けて、ご依頼を受けたその数だけしっかり作っていくというホンダがよく行う販売方式とともに登場したスペシャルカラーリングの追加モデル。
公式リリースによると販売計画台数は500台とされていましたが、人気が爆発していた時期ですし間違いなくその上限まで到達したことでしょう。

●「リミテッド」「限定○○台」「スペシャルエディション」「プレミア必至」……我々はどうして“限定”ほかの惹句が持つ甘美な響きに弱いのでしょう。なお、筆者の家には電池の切れた30年前の限定Gショックが10数個転がっております
タンクだけでなくサイドカバーにも塗られた“パールセイレンブルー”は、非常に深みのある青……というよりは紺に近い色で、そちらに合わせて車名エンブレムステッカーも色調を変更し、エンジンと前後ホイールもシルバーにするなどバチバチにカラーコーディネートがキマっていました。
ホンダ広報から送られてきた蒼き勇姿の広報写真を会社のパソコンで確認した筆者は「コーディネートはこうでねぇと!」とオヤジギャグを大声でかまし、後輩たち全員からホワイトアイを向けられたものです(上司は「またか」と遠い目)。

●「セイレン」……といったらTBS系列で放映されたオリジナル学園ラブコメアニメでもあるのですけれど(汗)、Siren(=セイレーンとも)はギリシャ神話に登場する海の怪物で、美しい顔の上半身と魚の下半身(鳥の場合も)を持つ女性の姿が描かれてきました。確かに彼女たちが棲む深い海中のような色ですよね……。価格はベース車から2万円高の104万円(消費税5%込みで109万2000円)でした
アップハンドルに一本化されて細かいところを改良!
「CB1100」マイナーチェンジ&「CB1100 BLACK STYLE」
2012年2月27日 発売
発売から3年目を迎えて初の小変更が敢行され、シートに網状のクッション「e-cushion」を国内市販二輪車で初採用したほか、サイドカバーへ車名の立体エンブレムを採用し、左右エンジンカバーのHONDAロゴ部分を黒く塗装。
ほかにもメーターパネルの視認性を向上させ、新色の銀を黒の代わりに登場させるなどキメ細かい改良が施されました。
あと大きな変更点としては、従来なら〈Type Ⅰ〉、〈Type Ⅱ〉としてハイ・ロー2つのハンドルポジションが同価格で選べたのですけれど販売比率が多かったのでしょう、〈Type Ⅰ〉……つまりアップハンドルのみに統合されました。

●ハイ、こちらが新色のデジタルシルバーメタリックで、ダークネスブラックメタリックと入れ替えで登場しました。赤(キャンディグローリーレッド-U)と白(パールミルキーホワイト)は継続です。公式リリースを読む限り、鳴り物入りで登場した「e-cushion」なのですけれどネットサーフィンしてみたのですが詳細がどうにも分かりません。「e」はエラストマー(柔軟性と弾性のある樹脂)の頭文字っぽいのですけど……(エネルギーという説もある)。ともあれ、乗り心地は向上したそうです((^^ゞ)

●「黒、生きとったんかワレェ!」とダウンタウンの浜ちゃんが叫ぶ間もなく、新色グラファイトブラックをまとってSTDと同時に追加モデルとして登場した「CB1100 BLACK STYLE」。タンクとサイドカバーだけでなく、前後ホイールやリヤサスのバネ、フロントフォークのボトムケース、ステップホルダーなど各部をガングロにキメて力強さとワイルドさを強調。なおかつSTDより3万円もお求めやすい価格を実現したということで人気を博しました。STDのCB1100が95万円(消費税5%込みで99万7500円)に対して“BS”は92万円(同96万6000円)。〈ABS〉付きがSTD=102万円(同107万1000円)、“BS”が99万円(同103万9500円)でしたからね~。まぁ、結局のところ全4色から選べるようになったということです
ワイヤースポークホイールを装着した“EX”がここで登場!
「CB1100」マイナーチェンジ&「CB1100 EX」タイプ追加
2014年2月20日(CB1100EX〈ABS〉E Packageは4月18日)発売
国内401㏄~市場の2012年、2013年は、とにもかくにもホンダの“ニューミッドコンセプト”シリーズがとんでもない旋風を巻き起こしたシーズンとなりました。

●2012年型ホンダ「NC700X」。今考えても斬新なバイクだったなぁ〜
2012年2月に第一弾として「NC700X」が登場するや、威風堂々たるクロスオーバー車なのにSTDで61万9000円(消費税5%込みで64万9950円)、〈ABS〉付きで66万6000円(同69万9300円)という驚異の低価格でライダーのドギモを抜き、

●2012年型ホンダ「INTEGRA」。ホンダお得意、名前の使い回しで有名に
以降矢継ぎ早に「インテグラ」、「NC700S」、革新の有段式自動変速機Dual Clutch Transmission(DCT)、「CTX700」(←覚えてる?)、「NM4-01/02」などが追加されて話題沸騰!

●2014年型ホンダ「CTX700」。影は薄いですが実力は大したものでしたよ!
そんな大攻勢に押された(?)のか2013年に「CB1100」は全くもって音無しの構え……。
またぞろホンダ“謎の放置プレイ”が始まってしまったのかぁ~?と少々ヒヤヒヤしましたけれど、2014年2月には各部の熟成を図った「CB1100」と2本出しマフラーやワイヤースポークホイールの採用などで、よりトラディショナルな印象をアップさせた「CB1100 EX」とが無事に登場してホッと(?)したもの。
前回の【中編】でも軽く紹介いたしましたけれど、この2014年型からトランスミッションが5速から6速へと変更されて、吸排気系を含めたエンジン全体をブラッシュアップ!

●基本構造を変えずにギヤを1速増やす……とんでもないことですよ!
「CB1100」と「CB1100ブラックスタイル」は88馬力(/7500回転)の最高出力こそ従来型と同じものの、トルクは0.1㎏m増えて9.5㎏m(/5000回転)へ。
「CB1100 EX」は逆にトルクは0.1㎏m減って9.3㎏m(/5500回転)となったものの最高出力は2馬力アップの90馬力(/7500回転)へ向上するなど、キャラクターに応じた個別の改良が入念に施されたのです。
ただ……9年前、覚えてらっしゃる方も多いでしょうけれど2014年のビッグバイクシーンは衝撃的な登場をした“マスター・オブ・トルク”な並列3気筒バイク、ヤマハ「MT-09」がメガヒットをスタートさせた年。

●2014年型ヤマハ「MT-09」。コイツの登場は本当に衝撃的でした……
引きずられるように「MT-07」、「BOLT(ボルト)」が国内401㏄~クラス年間販売台数の上位へズラリと並び、ホンダ勢は総じて後退気味……。
それでも車種別のランキングなら排気量をアップして総合的な魅力を深めた「NC750X」すら凌駕し、ホンダ勢のトップとして5位へ食い込み、面目を保ったのが「CB1100」なのです。

●新たにギヤポジションや燃費も表示する仕様になったメーターや、アルミダイキャスト製のウインカーボディ&ドライブスプロケットカバーなども採用された「CB1100」(写真は新色のパールスペンサーブルー)と「CB1100 BLACK STYLE」。なお、2014年型になって60㎞/h定地燃費は初代の27.0㎞/ℓからSTDで3.0㎞/ℓ向上し30.0㎞/ℓへ、EXは実に4.0㎞/ℓもアップして31.0㎞/ℓとなったことは地味ながらトピックでした。エンジンの変速機段数&出力特性を変更するという大掛かりな改良が施されたにもかかわらず、税抜き価格はABSなしで3万円、ABS付きではなんと7000円しか値上げされないという大バーゲンっぷり

●写真は2014年型の「CB1100 BLACK STYLE〈ABS〉」。この“BS”がSTDの「CB1100」より3万円安いというのは従来型と同じ……ややこしい! つまり……STDのCB1100が98万円(消費税5%込みで102万9000円)に対して“BS”は95万円(同99万7500円)。〈ABS〉付きがSTD=102万7000円(同107万8350円)、“BS”が99万7000円(同104万6850円)ということデス(※ただしこの価格は2014年の発売日……2月20日時点でのもの)

●ネットスラングで恐縮ですが……ktkr(キタコレ)! カワサキ ゼファー750/1100でも“RS”として登場し、一部ファンに愛されたスポークホイール仕様がCB1100では“EX”としてタイプ追加されました(写真は「CB1100 EX〈ABS〉」)。しかし、こちらは単にホイールを交換しただけではなく、いろいろ……いや、メチャクチャ変更を受けております。この“右頭7:3カット”では分かりづらいですけれど、マフラーは左右2本出しとなりエキゾーストパイプも素直にエンジン下部へと向かう形状に、よく見ればシートも専用品ですね。……あと実は燃料タンクが別物なんです! なんと上で紹介している「CB1100/BLACK STYLE」は容量が14ℓなのに、EXのものは17ℓ! 3ℓといえば1ℓの牛乳パック3本分、1.5ℓのペットボトル2本分デスヨ(←当たり前)。それだけ多くの液体を飲み込む容積へ変更されているにもかかわらず、パッと見の印象がほぼほぼ変わらないというのは素晴らしいというか凄いというか……

●「CB1100 EX」のワイヤースポークホイールには鈍く輝くアルミ製のリムが採用され、洗車時のヨロコビもマシマシです。あ、ここまでスルーしちゃってましたが、「CB1100」シリーズは2010年の最初期モデルから2021年登場の“ファイナルエディション”まで、全モデルが一貫してセンタースタンドを標準装備しております。車両重量的なネガもありますけれど、それを補って余りある利便性の高さは皆さまご存じのとおり。チェーンやスポークを磨き上げたい、オイル交換ほかのメンテナンスくらいは自分でやってみたい……と思い立ったとき心理的ハードルを下げてくれる効果は絶大なものですよね。さて、話を戻して「CB1100 EX」の価格はノンABSが105万円(消費税5%込みで110万2500円)、〈ABS〉付きが109万7000円(同115万1850円)でした(※こちらの価格も2014年の発売日……2月20日時点でのもの)

●CB1100 EXのスポーク&アルミリム……。センタースタンドをかけてホースとブラシ片手に、休日を半分つぶす勢いでカンペキに磨き上げたくなりますね〜

●そして……小改良を受けた「CB1100」のうちで最量販グレードになるであろうとホンダ側も予想したのか「CB1100EX〈ABS〉」(写真)には“E パッケージ”も用意されました。こちらはHonda二輪ETC標準装備車取扱店で販売されたモデルで、ETC車載器とグリップヒーターおよびメーター内に専用インジケーターランプを標準で装備しており、ベース車との価格差は税抜きで比較すると6万3000円ナリ。仮に後付けすると考えるとグリップヒーターが2万~3万円、ETC車載器が3万~4万円、それにETCセットアップ料金や各々の取り付け工賃やらも合計すれば数万円ほど別途かかってしまいますから非常にリーズナブル! それになんといっても“世界一のバイクメーカー・ホンダ”のマザー工場である熊本製作所ジキジキの生産ラインで組み込まれるのですから安心感も絶大です。改めて書くと価格は116万円で消費税込みの価格は125万2800円でした……ってアレ? 何だか高いぞ?? そうなのです。“Eパッケージ”の発売開始は2014年4月18日。同年の4月1日から消費税率は5%から8%に上がっていたのです(涙)
17ℓタンクにチューブレスタイヤという“隠れ遠出旅仕様”
「CB1100 EX〈ABS〉・特別仕様」
2015年1月16日 200台限定発売
上の欄では紹介しきれなかったのですが2014年、ミッションの6速化で魅力を底上げした「CB1100」と、不可分の兄弟「CB1300」、そんな両シリーズの大規模改良が契機となったか“CB”というブランドを改めて世に広く訴求していこう……と、同年からホンダ肝煎りの公式イベントとしてスタートしたのが「CBオーナーズミーティング」でございました。

●翌年からのコロナ禍影響もあり、2019年の第17回をもって終了した「CBオーナーズミーティング」。後半では1000台近い車両が集結する大イベントとなっており、取材する立場としてもヒジョーに面白かったのですけれど……
国内・海外といった販売国や排気量を問わず(車名にCBと付いていないホーネット系やX4、X11でもオーケー。ただしCBXやCBRシリーズは対象外)、CBシリーズのオーナーならば誰でも参加が可能で、しかも会場は鈴鹿、もてぎ、熊本などといったホンダの聖地……とくれば、盛り上がらないはずがございません。
実際、筆者も記者として何度となく取材へ向かったのですけれど、開発者トークショーあり、撮影会あり、各種試乗会あり、ジャンケン大会ありとバラエティに富む内容で(宮城光さんの名司会者ぶりも最高!)、1日がアッという間に過ぎていった記憶が強く残っております。
数多く参加者を取材していったなかで、この「CB1100 EX〈ABS〉・特別仕様」に乗るオーナー氏とお話をする機会があり……、

●ズバリSTDとEXの“いいとこ取り”と言える「CB1100 EX〈ABS〉・特別仕様」(←コレが公式の車名です)。前後アルミキャストホイールの採用(というかSTDのヤツを持ってきただけ!?)により、オーナー自身によるパンク修理も比較的容易に行えるチューブレスタイヤが履けるようになったEXで、車両重量もベースの259㎏から2㎏軽くなった257㎏へと軽減。価格は107万7000円(消費税8%込みで116万3160円)でした
「以前はインターセプターカラーのVFRに乗っていたんだけれど、CBなら面白そうなイベントに出られるって聞いたんで、この特別仕様とやらのCB1100 EXを買ったんだよ。1100は出たときから気にはなっていたんだけれど遠出が好きなんで14ℓタンクじゃなぁ……と。そしたら17ℓのEXが出たけどスポークホイールでチューブタイヤじゃなぁ……と。するとチューブレスタイヤが使えるキャスト(ホイール)のEXが発売されたんでコレだ!ってんで速攻でハンコ押したよ(笑)」とのこと。即断即決、さすがです……。

●「CB1100 EX〈ABS〉・特別仕様」は堂々の17ℓタンク! 熱的に厳しくなってくるとどうしても混合気を濃く(ガソリン成分を増量)して燃焼室を冷やさなければならないのは空冷エンジンのさだめ。するとストップ&ゴー&渋滞が日常的な実走行において、やはり水冷より燃費的に不利なことは否めません。積載するガソリンの量が多いほど安心が増すというのは、特にロングツーリング好きのユーザーにとって“実感”なのでしょう
このように少なくない数のCBオーナーを生んだであろう「CBオーナーズミーティング」は2019年に終了。
ただ、2024年にも姿を現すのではないか?とウワサされている“ネオCB400SF”デビューの際には、ぜひミーティングを復活してもらいたいものです。
非常に数の多いCBオーナー(予備軍)のためにも……!
空冷四発ビッグバイクの盟友が2015年をもってサヨナラ
ちなみに……2015年には同じ大排気量☆空冷並列4気筒エンジンの雄として「CB1100」と覇を競ってきたヤマハ「XJR1300」が生産終了を迎えてしまいました。

●2015年型ヤマハ「XJR1300」。1250㏄空冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブエンジンは最高絀力100馬力/8000回転、最大トルク11.0㎏m/6000回転を発揮。燃料タンク容量21ℓ、車両重量245㎏、シート高795㎜。価格は103万円(消費税8%込みで111万2400円)。写真の銀と黒の2色展開でした。……正直、この「1」入りの広報写真を見たときはゲゲゲゲゲッ!と思ったのですが、数分後にはめちゃくちゃイケてると思えてきて……。ホント、いちいちカッコいいヤマハの魔法には、いつも驚かされます
翌2016年からスタートする新しい排出ガス規制……いわゆるEURO4レベルの厳しい目標値をクリアさせることは難しい(コスト的にも折り合いがつかない)と判断されたための決断です。
「どうせ最後ならやりたいことやってしまえ!」とヤマハ開発陣がブチ切れた……ワケではないのでしょうけれど(?)、2015年型では2003年モデル以降ズ〜ッと続けてきた燃料タンクの音叉マークを取り外して「YAMAHA」と入れて“レトロレーサー”イメージを追求し、銀色に関しては“ゼッケン1”をあしらうグラフィックまで挿入(黒色にはなし)。

●2015年型ヤマハ「XJR1300」。なんてったってパワーユニットのルーツのルーツのルーツは1984年にデビューした「FJ1100」……ミッションが5速ということもあり60㎞/h定地燃費は21.0㎞/ℓと、2014年型「CB1100 EX」が31.0㎞/ℓを達成していたことを考えるとエンジンの基本設計の古さは隠しきれませんでした。ですが、その分燃料タンクは21ℓという大容量を確保していたのです。そのタンクはヤマハ独自の高品位塗装“ミラクリエイト”によって、アルミ素材を連想させる銀色を実現!
さらに海外向けには、もっとはっちゃけたカフェレーサー風味満点の「XJR1300C」をリリースし、こちらは今はなき“プレストコーポレーション”(←ヤマハ輸入バイクを提供してきた会社)の手によってユーザーへと届けられました。

●メーカー純正カスタマイズの極致とも言える「XJR1300C」。スポーツヘリテージモデルとして独自の世界観を追求するため、コンセプトからスケッチ、クレイモデリング制作までをヨーロッパで行ない、それをベースに日本と欧州のデザイナーが「ヤマハらしさ」「日本独自」のアイデアを出し合って形作られた姿なのだとか。樹脂製となった燃料タンクの容量は14.5ℓ、サイドカバーは1970年代のプロダクションレーサーを想起させるボルトオンの楕円形ゼッケンプレート風でアルミ製。その表面にはバフ掛け&アルマイト処理を施し、パフォーマンスイメージと素材感を強調! 車両重量240㎏、シート高829㎜。価格は125万円(消費税8%込みで135万円)※輸出専用モデル

●XJR1300でフレームを覆っていたカバーパーツ類を“C”は廃止し、鉄製構造物そのものの機能美を強調したデザインに変更。骨格は現行XJR1300のダブルクレードル形状を基本的に継承しながら、ショート化した新作シートに合わせてリヤフレーム長を約10cm短縮しているのです。そのシートはハーフパンチ加工が施され、ホールド性に優れる表皮をレトロ&オーセンティックな縫製ラインの立体デザインで仕上げたことで、無駄を削ぎ落としたスリムな外観とスポーツライクな走りにマッチしたライディングポジションを得ていました。シート高がドーンと上がったところはご愛敬ということで……(汗)
唯一無二の同ジャンル好敵手を失った「CB1100」シリーズでしたが、自らはEURO4レベルの厳しい環境諸規制が襲来することまで織り込み済みの研究開発をしておりましたので、XJR1300が飛び越せなかった2016年のハードルもシュッとクリア。
そのまま山あり谷あり起伏の激しいモデル後半戦へと突き進んでいきます……。
と、やはり収まり切らなかったので (^^ゞ、続きは【後編 その2】にて、御免!

●2014年型で刷新され、視認性が高まった「CB1100」のメーター。中央にある液晶部ではギヤポジションインジケーターや平均&瞬間燃費など多彩な情報が表示されます。時計があるのも地味に助かりますね〜
あ、というわけで「CB1100」シリーズはユーザーの声を迅速にモデルへ反映させつつ、開発者のやりたいこともしっかり盛り込まれていくという、理想的な熟成を果たしていきました。ともに大排気量☆空冷四発ジャンルを盛り上げてきた「XJR1300/C」も素晴らしい出来映えであることに間違いはありません。今こそアフターサービスも万全なレッドバロンの良質な中古車で“エアクールドな相棒”を探してみませんか? まずはお近くの店舗まで足を運んでみてくださいね~!