今を去ること18年前、2005年に原付一種(49㏄)版と原付二種(99㏄)版とが同時に発売されたホンダ「XR○○モタード」シリーズ。それらのベースとなったのは、排気量や縦型エンジンからしてホンダ「エイプ」&「エイプ100」であることは一目瞭然でありました。とはいえ、足まわりには「NSR50/80」の魂が注入されており……!? そんな小粋で小しゃくで小生意気(?)なプチモタードについて語ってまいりましょう!
●ど〜ですか、お客さん! カッコいいっしょ〜!? これが最初期型……つまり2005年型ホンダ「XR100モタード」です。まさにこの広報写真データをサーバーからダウンロードして開いた瞬間、購入へのカウントダウンが始まってしまいました。なお、令和5年の今でも続いている、原付二種(排気量51〜125㏄以下)のフロントフェンダーにちょこんと付いている白いマーク(リヤには白い三角マークが描かれているはず)は、国内メーカーが自主的に表示しているもの。「XR50/100モタード」のように、原付一種と外観がほぼ同じで見分けがつかない車両も多々あるため、警察が交通取り締まりをしやすいようマーキングされているのだとか。ほら、原付一種は二段階右折や法定速度30㎞/h、原則キープレフト、2人乗り禁止などのルールもございますし……。というわけで海外メーカーの原付二種モデルには、ない場合がほとんど!
DR-Z400SMというバケモノ【後編】はコチラ!
ではしばらく、導入部のヨタ話にお付き合いください!?
小さな巨人と言えば……「元気ハツラツ! オロナミンC!」 ですよね(←異論は認めません)。
●ポカリスエット、カロリーメイト、エネルゲン、ファイブミニ、アミノバリュー、ソイジョイ、オロナインH軟膏……。誰もが知ってて、誰もがお世話になってきた製品を数多く作り続けている大塚製薬さんの中でもスーパーカブ的大ヒットロングセラーが「オロナミンCドリンク」! まさに小さな巨人です
1970年代後半から1990年代後半まで、栄光の巨人軍現役選手たちに「そこまでやらすの!?」的な寸劇と大村崑さんの「オロナミンCは小さな巨人です!」という決め台詞が組み合わさったインプレッシヴなCM群は、昭和40年代オトコにとって大脳皮質へガッツリ刻み込まれた忘れることのできない大切な記憶です。
考えてみれば今をときめくレッドブルやモンスターエナジーなどが影も形もないころから(オロナミンCは1965年生まれ!)、ニッポンのモーレツサラリーマンやOL、主婦、学生、ちょっと背伸びをしてみたいコドモたちにまで広く愛されてきた栄養ドリンク系炭酸飲料。
●最近ではサウナ愛好者が“ととのう”ときに愛飲する「オロポ」なんて飲み物も知られるようになりました。これ、まさにオロナミンCをポカリスエットで割ったドリンクで本当にオイシイ……。見かけたらぜひチェックを〜(^^ゞ
うまく世界戦略しておけば、今ごろ「オロナミンC レーシング」というHRCパワーユニットを積む無敵のF1チームや、「オロナミンC・ヤマハMoto GP ファクトリーレーシング」という現在ちょっと苦戦中のモトGPチームが爆誕していたかもしれません……。
●モータースポーツだけでなく陸・海・空の世界選手権、Xゲームなどの巨大イベントをスポンサードすることで知名度を増し、売り上げを伸ばしていった海外エナジードリンク各社。燃える商魂は見習うべきですね
って何の話でしたっけ?
あ、そうそう、ホンダ「XR(50/)100モタード」でした。
ハイ、ここから本題。ホンダは“モタード戦略”を拡大していた!
●ホンダのデュアルパーパス系モデルというと、どうしてもモトクロッサーCRFシリーズを彷彿とさせるエクストリームレッド(上で紹介した赤ボディの色名はこれ)がイメージされてしまいますが、モタードシリーズでは写真のようなブラックも積極的に訴求されました。よく見るとこちらもシートはツートーンタイプで、上面がホワイトになっているというオシャンティーさ! フロントフェンダー先端にある白い“原付二種マーク”と呼応しているかのようです。シュラウドの「XR」ロゴグラフィックもカンペキですね。なお、2005年2月のデビュー当時、「XR100モタード」の税抜き当時価格は29万円。5%の消費税込み価格は30万4500円でした(50版は同24万円/25万2000円)
バイク業界で小さな巨人!と言い切ってしまうと、「スーパーカブじゃないのかよ」という鋭い声も聞こえてきそうですが、あちらはモウ別格で神格ということで何卒お許しください。
●1958年に発売された初代スーパーカブC100から65年。数々の困難を乗り越え現在に生き残っているホンダ「スーパーカブ50」は、こんなバージンベージュなんて色も選べるようになりました。税抜き価格は22万5000円。10%の消費税込み価格は24万7500円です。30㎞/h定地燃費は105.0㎞! こちら、普通自動車第一種免許(いわゆるフツーのクルマ免許)を持っていれば公道で運転ができますからね〜。意外と忘れている人も多いので明記しておきます。一家に一台バイクがあると人生激変しますよ(断言)!
と、言い訳じみた前置きはともかく、なんと前回まで紹介していたスズキ「DR-Z400SM」が発売された2004年12月から、約2ヵ月チョイ後の2005年2月25日に国内発売されたのが「XR50モタード」と「XR100モタード」だったのです。
●はい、こちらが「XR50モタード」ですね。100との相違点を何カ所見つけられますか? と間違い探しクイズを始めてしまいたくなるくらいソックリ(当然)。こちらは車両重量が100より3㎏軽い83㎏。「XR80R」向けパワーユニットをルーツとする49㏄空冷4スト単気筒OHC2バルブエンジンは最高出力3.3馬力/8000回転、最大トルク0.33㎏m/5000回転というパフォーマンス……やっぱり非力感は否めませんけれど割り切って走らせれば問題ナッシング。燃料タンク容量は100同様の5.7ℓで30㎞/h定地燃費は86.0㎞/ℓですから計算上の満タン航続距離は490.2㎞と立派な旅バイク! 実際、キスリング(分かる?)を背負ってコイツで日本一周をしているライダーさんに出会ったことがあります
上は400から下は50までトータルで5つのモデルを展開!
ちなみにシリーズの長兄となる「XR400モタード」は、50&100と同じ2005年の3月29日に発売されました。
●一応(?)同排気量かつ同ジャンルのバケモノ……いやライバルとなるスズキ「DR-Z400SM」から遅れること約4ヵ月。2005年3月末に登場したホンダ「XR400モタード」は、50&100と同様にベースとなるデュアルパーパスモデルが存在せず、突然スーパーモタード仕様が生まれてきたという珍しいケース。「CB400SS」譲りの397㏄空冷4スト単気筒OHC4バルブエンジンは最高出力30馬力/7000回転、最大トルク3.4㎏m/5500回転を発揮し、粘り強く扱いやすい出力特性が身上で、デビュー時の税抜き価格は60万円(消費税5%込み価格=63万円)でした。翌2006年11月末にマイナーチェンジ、2007年9月に色変更を受けたのですが、それがそのまま最終型に……
●こちらが「XR400モタード」の最終型となってしまった2007年9月25日から発売されたモデルです。前年のマイチェンでフロントバイザーほかの外装パーツが微妙かつ多岐にわたって変更を受け、キラキラお目々のマルチリフレクターヘッドライトまで採用。そして迎えた最終型は金ピカホイールにおどろおどろしいシュラウドグラフィックも加わり……。ちょうどこのあたりのニューモデル紹介ページを編集していくなかで、清楚だった幼馴染みが都会に染まってド派手になっていくようなドキドキ感すら味わったものでした
時系列は前後しますが、ホンダモタードシリーズの露払いをはたした「XR250モタード」は2年ほど前の2003年4月にリリース済み。
●リリースによると正式には「XR250・Motard」と記載するようです。ともあれ1998年に登場した同排気量スーパーモタードジャンルの先駆車カワサキ「D-トラッカー」から遅れること約5年、2003年4月26日に発売されたホンダのクオーターモタードは、兄弟車同様の249㏄空冷4スト単気筒OHC4バルブエンジン(最高出力28馬力/8000回転、最大トルク2.6㎏m/7000回転)を前後17インチタイヤ、倒立式フロントフォークという定番シャシーに搭載してリリースを開始。デビュー時の税抜き価格は51万9000円(消費税5%込み価格=54万4950円)で、以降毎年のようにカラーリングチェンジとマイナーチェンジを繰り返しながら人気を博していきますが、環境諸規制の強化を受けて、デュアルパーパスの「XR250」ともども2007年モデルにて終了……
●2003年10月に開催された第37回東京モーターショーでは、写真の「XR Motard Custmized Model」もHondaブースに並べられ、熱い注目を集めていました。こいつぁ、カッコよろしいですなぁ!
上記の「XR250モタード」が2007年モデルで最終となったあとは、2008年に「XR230モタード」まで登場させてきましたので、
●兄貴分「XR250/モタード」の命脈を奪った、非常〜にキビシーッ!(by故・財津一郎さん。合掌……)“平成18年国内二輪車排出ガス規制”に対し、FI化で対応するのではなくキャブレターを継続使用しながら排気ガス浄化用の触媒装置(キャタライザー)をエキパイとサイレンサーへそれぞれ内蔵することにより、規制値を見事にクリアした「XR230モタード」。「XR230」はもちろん、新生「FTR」、「CB223S」にも搭載された223㏄空冷4スト単気筒OHC2バルブエンジンは最高出力18馬力/7500回転、最大トルク1.8㎏m/5500回転の実力を発揮し、2000年代末の“ホンダ軽二輪・冬の時代”を乗り切る原動力にもなったのです
いかに当時のホンダが、いかに“スーパーモタード”というジャンルを重要視していたのかが分かりますね。
そんな「XR○○モタード」シリーズで共通していたのは、いずれも空冷エンジン搭載車であるということ。
アスファルト上のドリフト走行さえ視野に入れたギンギンな“スーパーモタード道”を極める……のではなく、乗車姿勢がアップライトになるデュアルパーパススタイルの良さを活用しながら、気分よく街乗りを楽しみましょ~といった“ストリート仕様”的な雰囲気をまとっての市場投入5連発!となりました。
●ストリート系ホンダ車と聞いて、真っ先に頭に浮かぶのはやはり「FTR(250)」シリーズでしょう。米国で大人気のダートトラックレースを制した勢いをかって1986年に登場した「FTR250」は、すぐに消えてしまったものの1990年代に巻き起こったトラッカーブームによって中古車価格が急騰。それを受けて2000年に発売されたのが、223㏄エンジンを搭載した「FTR」でした。新生「FTR」は人気を博し、その心臓は複数の兄弟車を生むという好循環を実現したのですから凄いですね。写真は排ガス規制に対応した2007年型「FTR」のトリコロールカラータイプで、他のデラックスタイプ、スタンダードタイプともども2016年の生産終了まで息の長〜〜〜い支持を集めました
●「XR250」の生産終了以降、しばらく姿を消していたホンダ250㏄デュアルパーパスモデルは、2012年5月に生産国のタイから日本へ導入された水冷DOHC4バルブエンジン(23馬力/2.2㎏m)の「CRF250L」で大復活し、約1年後の2013年4月からは写真の「CRF250M」がデビュー(どんだけスーパーモタードが好きなんだ、ホンダ……)! ヤマハ「WR250R/X」の超高性能とはベクトルが異なる“好性能”で人気を博した両車は2015年2月に色変更、2017年2月に細部改良を受けるものの“M”はこちらが最終型に……。同じ2017年2月にデビューした、アドベンチャー志向の「CRF250 RALLY」が「CRF250L」とともにフルモデルチェンジを受けつつ、現在まで生き残っておりますね!
イケてる小さなモタード車へフォール・イン・ラブ♡
実は筆者もそんなユルさとカッコよさを備えた「XR100モタード」にズッキュ~ンと胸を射抜かれてしまったひとり。
●まぁこれまで入手してきた本、おもちゃ、自転車、バイク、クルマ、住居などなど、何でもビビビ(死語)ときた感覚を最優先して選んで間違いはなかったですね。もちろん最愛の奥さんも……(^^ゞ
気が付けばラ、ラ、ラ、真っ赤な~♪(分かるかな?)“ヒャク~モ〜タ〜〜~(ド)”を我が家に迎え入れていたのです。
いやもう完全にひと目ぼれでした。
初見こそ「ふ~ん」程度だったのですけれど、ちょうど「GSF1200Sとは全く違う方向性のサブマシンが欲しいなぁ」という機運が高まっていたこともあり、ホンダ広報から届いたニュースリリース&広報写真データを何度となく確認していくごとに、精悍かつ小さくて可愛らしいスタイリングに胸の高鳴り(当時の体重が101㎏だったので軽い不整脈だったのかもしれませんが)を覚えていったのです。
●筆者オガワにとって永遠のファーストマシン、スズキ「GSF1200S」。リッターオーバー車両にしては非常に軽い……といったところで車両重量は231㎏もありますからね。ちょうどそのころ置き場所がせせこましくなってしまったため、そこから出し入れするのにもひと苦労……。そんなこんなで軽いバイクが欲しくて仕方ないターンに入っていたのは事実です
ホンダが誇るモトクロッサー「CRFシリーズ」を彷彿させるタンクシュラウドやフロントバイザーの形状もナイスですし、車体下方をよくよく眺めれば前後輪ともディスクブレーキではありませんか!
●いやもう「XR100モタード」前輪に装着された、この2ポットキャリパーの油圧式ディスクブレーキが効く効く! 購入当初は赤信号へ遭遇するたびジャックナイフを周囲のドライバーたちへ披露していました(時効……ですよね(^^ゞ)
「XR100モタード」のベースとなった「エイプ100」は、当時まだ前後とも機械式リーディング・トレーリング……つまりはドラム式ブレーキでしたので、見た目からして全く違います。
●2000年代初頭、ホンダのクリエイティブ集団「Nプロジェクト」が次々と世に放った異色かつ革新的なバイクたち。その第一弾となったのが2001年2月に発売開始された「エイプ」で(以降続いたのはズーマー、バイト、ソロ、PS250)、それから遅れること1年。満を持して2002年2月に登場した写真の「エイプ100」こそ「XR100モタード」のベース車両なのです。「若者に小排気量ミッション車の楽しさを味わってほしい」という開発陣の願いは飽きのこないデザイン、シンプルな車体構成、カスタムし放題なスキの多さ、そして安価な価格などへと見事に結実し「エイプ/100」はベスト&ロングセラー街道をひた走っていきます。2008年には前後ディスクブレーキの車両も登場……など、豊富すぎる多彩なエピソードはまた次回以降に。なお、「XR50/100モタード」はNプロジェクトの作品ではありません、念のため
ホイールがあの!ホンダ「NSR50/80」後期型と同じアルミ製6本スポークであることも高ポイントでしたね~。
●1993年に行われたホンダ「NSR50/80」の仕様変更で、それまでの3本ホイールに代わり導入された6本ホイール。コンマ何秒を争う厳密なミニバイクレースの世界では、剛性面や重量面の関係で「前期の3本スポークのほうがいい」「いや、後期の6本スポークこそベター」というバトルが展開されているのだとか……。個人的に見栄え勝負なら6本スポークの勝ちだと思うのですけれど (^^ゞ
アップマフラーのシルエットもガチ決まりだし、さりげなくコストのかかるツートーンシートまで採用しているじゃあ~りませんか~~~と、買ったばかりだったアップル iBook G4にコピーした画像データを会社でも自宅でもニヤニヤとのぞき込んで、妄想大コーフンしていた記憶が残っております。
●突然ですが、ポリカーボネート筐体の「iBook G4」です。うわ〜懐かしい! デスクトップのiMac G5が各社員のデスクへ鎮座されていった関係で、それまで個人個人に配布されていたグラムシェルのiBook G3は回収&返却……。駄菓子菓子! 持ち運べるパソコンは必須でしょう!ということで大枚はたいて(Power Bookのころよりは大幅に安くなってはいたけれど)自腹で購入したノートパソコンがこちらでした。出張&徹夜&仕事テイクアウトの心強い味方、これで何百ページ編集したかなぁ……(遠い目)
「XR100モタード」の実車が流通し始めるやもはや辛抱たまらず、家から一番近いところにあるレッドバロン都筑へと飛び込んで祝!ご成約……。
いやぁあああああ~~~っ、恋い焦がれた製品が自分のものになる瞬間というのは何回経験してもいいものですねっ。
自分の体重より15㎏も軽い(当時)バイクなんて……
そして、店舗の出入り口前で初めて“100モタ”実車を取り回したときは、あまりの軽さに腰が抜けそうになりました。
何と言っても車両重量で86㎏は当時の筆者体重より15㎏もライトウェイト!
「スーパーでよく売っているサイズのお米3袋分もワシより軽いのか……」と考えると驚くやら呆れるやら(←自分に)。
●もしご自宅に5㎏のお米袋があったら、ぜひ持ってみてください。予想以上にズッシリくるはず。その3倍分ですからね……(汗)
手渡されたキーをイグニッションホールに差し込んでグイッと回すと緑色のニュートラルランプが輝く……アレ? 輝かない???
●とてもシンプルな「XR100モタード」のメーターまわり。唯一のインジケーターであるニュートラルランプも、エンジンが始動しないと輝かないのです。とはいえ、キックする前にギヤが入っているか入っていないかの確認さえ怠らなければ、特にバッテリーレス仕様だから不便ということはありませんね。それより絶大な軽量化、かつメンテナンスフリー(というかメンテしようがない)という恩恵のほうが大きいと個人的には思っております
そうなのです。
「XR100モタード」はベースとなった初期型「エイプ100」同様、バッテリーレスな車両ですのでエンジンを始動しないとニュートラルランプは光らないのです(失念してて狼狽しました)。
重量がかさみがちな蓄電システムがないからこその86㎏でありますし、バッテリーがないのでバッテリー上がりもありません(笑)。
●巨艦……いや、巨漢な筆者ならなんとなれば両輪とも浮き上がるよう持ち上げることが可能な86㎏という車体(お姫様だっこは無理でした)。もちろんこのような状況になっても、バッテリーの液漏れはありません(しつこい)。……ですが、ガソリン漏れはあり得るので良い子は絶対にマネしないでね!
ゆえにキックスタートオンリーではありますけれど、寒冷時でもチョークを引いてクッと軽く踏み込むだけでラクラク一発始動ですわ。
もう楽しくて楽しくて、アッという間に1000㎞走ってレッドバロン都筑にて新車1ヶ月点検を終わらせたら、いよいよ全開モードです。
公道で合法フルスロットルが楽しめるのは快感の極致
ルーツをたどればオフロード競技用車両ホンダ「XR100R」に行き着く、
●日本国内でも1990年〜2003年まで販売されていたホンダ「XR100R」のエンジンが「エイプ100」そして「XR100モタード」パワーユニットのルーツです。公道走行を考えなくてもいい縦型99.2㏄空冷4スト単気筒OHC2バルブエンジンは最大出力9.5馬力/9000回転、最大トルク0.79kgm/7000回転を発揮。ボア53.0㎜×ストローク45.0㎜も全車共通でした。フレームは高剛性のダイヤモンド型でリヤショックは本格的なプロリンク式モノショックサスペンションを採用しており、各種オフロードスクールでも愛用されていましたね(写真は1995年型)
シリンダーが直立した「XR100モタード」の99㏄空冷4スト単気筒OHC2バルブエンジンは、初期型「エイプ100」の7馬力/0.71㎏m仕様より若干パフォーマンスダウンしたものの、最高出力6.5馬力/8000回転、最大トルク0.67㎏m/6500回転を発揮。
このシリンダーが直立した猿人いやエンジンは、苛酷なモトクロスの世界で鍛え抜かれただけのことはあり、ほんっとぉ~~~~っにガンガン回すのが楽しい性格……。
●ちなみに「エイプ(Ape)」とは、英語で「類人猿、猿人、尾のないサル」という意味。 類人猿を人間に最も近い動物=あらゆる人にとって身近な存在と位置付け、気軽に乗れる身近なバイクをイメージしたというのが公式見解ですが、「縦型エンジン〜直立猿人→エイプ!」という単純なアイデアだった、という節もございます(笑)
タコメーターが標準装備されていないので実際の回転数は不明なのですけれど、聞いた話ではノーマル状態でも1万回転を楽勝でオーバーしてしまう実力を持たされているとか。
最初のうちこそ「全開に次ぐ全開だと壊れちゃうのではないかしら?」という若干の危惧とともに走っていましたが、フルスロットル状態なんぞ平然と受け止め、シフトダウン操作ミスで相当な負荷をかけてしまっても平然と回り続けるタフさへ日々感動しているうち、信号が青になるたび右手をストッパーまで大きく捻り上げ、エンジン回転がヴヴヴヴヴヴウヴ~と頭打ちになると同時にシフトペダルを掻き上げていくことが通常営業に……。
そんなシャカリキ走りを実践しても、一般公道の法定速度上限へなかなか到達しないのが4ストミニのいいところでもあります。
ほら、GSF1200Sなんてローギヤのままでもフルスロットルにした瞬間に違法ゾーンへ突入してしまいますから、数秒後には赤色灯を輝かせながらWhite(&Black)のコワ~イ車両がスリップストリームに付いているかもしれない……という猜疑心が常に心のなかへ浮かび続けるもの(←ゆっくり走れ)。
●嗚呼、思い出しました。GSF1200Sを購入して1週間も経たないうちに、スピード違反で免停をくらったことを……。慣らし運転中でもスピードが出すぎるビッグバイクは危険です(←ゆっくり走ればいいんだよ!)
その点、「XR100モタード」なら「公道の流れには十分乗れる。でももうちょっとだけパワーが欲しい……そりゃ〜〜っ! 捻った右手はゼッテー戻さないぜっ!!」という、2ストスーパーゼロハン「MTX50R」に興じていた筆者セイシュン時代を懐かしく思い出せるような楽しみ方ができるのです。
●筆者が購入した最初のバイクでもある1986年型ホンダ「MTX50R」。搭載されている49㏄水冷2スト単気筒ピストンリードバルブエンジンは7.2馬力/0.65㎏mの実力と、ちょうど「XR100モタード」と似通った数値なので公道を走るときの感覚もソックリ。レッドゾーンまで回しているのに「くそぉ〜〜っパワーが足りねぇ〜っ! もっと馬力を〜!!」とヘルメットの中で叫んでいるときが、バイクライフで一番楽しい時期なのかもしれません……
……ともあれ、ワタクシは「XR100モタード」を購入してから、「GSF1200S」がさらに面白く感じるようになりました。
現在、重たい相棒にちょっと心が折れかけているライダーの皆さん、軽量コンパクトな原付二種マニュアルモデルは、アナタのバイクライフにとって絶好のカンフル剤になりますよ(断言)。
●東洋医学の陰陽論ではありませんが、時に現場とは真反対なことを体験することによって、全体のバランスが取れる……という場合もございます。今ちょうど原付二種クラスも盛り上がってまいりました。是非ご注目のほどを〜!
原付一種マニュアル車もアリといえばアリなのですけれど、二段階右折、法定速度30㎞/h、原則キープレフト、2人乗り禁止などの硬直化しているルールをどう捉えるかですね……。
原付二種なら、それらは関係なくなります。
さて、次回も「XR100モタード」のいいところやムムム?な点などを私情たっぷり試乗インプレも交えてお届けしてまいりましょう。
●2006年12月に配布された2007年型「XR50/100モタード」カタログの表紙……やたらクールでカッコいいですね〜。あ、今さらですが、シート高は両車とも750㎜なので小柄な人でも足着きや取りまわしなどのモロモロが安心(その上、軽いしね!)。子育てでバイクから長い期間離れていた奥さんのリターン練習機としても、非常に重宝いたしました。ミニバイクレースにも出たかったのですが、それは現在ペンディング中……(涙)
あ、というわけで入門モデル的な扱いでシレッとデビューしながら、玄人さえ唸る奥深さまで兼ね備えていた「XR100モタード」や「エイプ100」(+それらの50㏄版)は、約20年という時が過ぎ去っても魅力が衰えることのないフォーエバーヤングな車両。レッドバロンの良質な中古車なら、さらに低年式の類似小排気量車であってもアフターサービスの心配は無用。まずはお近くの店舗でお気軽にご相談を~!!
XR100モタードという小さな巨人【中編】はコチラ!
DR-Z400SMというバケモノ【後編】はコチラ!