期せずして超長期連載(?)となってしまった那須モータースポーツランドの外国車試乗会。今回でいよいよ最終回! KTMとトライアンフを紹介します!!

【前回までの記事】
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400ccとは思えないコンパクトさと軽さ!! だけど乗ればパワフル! ……KTM 390DUKE(2015年)

KTMのネイキッド「DUKE」にはさまざまな排気量がラインナップされているが、390DUKEは普通二輪免許でも乗れる貴重な1台。フレームは250や125と共有のコンパクトなもので、一見すると400ccとは思えないほどだ。車両重量もわずか139kg。これならビギナーでも扱いやすいはず……と思いきや、最高出力44PSを発揮する単気筒エンジンによって、走りはスポーティーそのもの! 当時、400ccクラスで最もアグレッシブなモデルと高評価を得たのである。

●水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒373.2cc ●車両重量139kg ●シート高800mm

鮮やかなトレリスフレームに囲われるのは水冷DOHC4バルブ単気筒エンジン。単気筒エンジンが持つ「ドコドコ感」というイメージはなく、軽快なスポーツエンジンとして高評価を受けている。

390DUKEの車両重量はわずか139kg。肉抜きされたスイングアームからも、その軽量化の徹底ぶりが窺える。

とにかくコンパクトで軽い!! ライポジもコンパクトで、やる気を感じさせるものだ。

そしていざ走り出すと、エンジンのピックアップの良さに驚く。単気筒が持つ一般的なイメージとは全く違うスポーツエンジンなのだ。さらにコンパクトな車体と秀逸な足周りによって、コーナリングも自在で楽しい。まさにライトウェイトスポーツな1台だ。

ただし、しつこいようだが、一般的な単気筒エンジンとはまったく別物。「こいつでトコトコとツーリングを……」なんて考えていると面食らってしまうので、購入を考えている方は要注意!!

ビッグシングルと鼓動を味わいつつ、スポーティーに走れる!! ……KTM 690DUKE(2014年)

690DUKEが初めて登場したのは2008年。初代モデルはシュラウドやシートカウルのデザインによって、ターミネーターズに近いデザインが与えられていたが、2012年にモデルチェンジを行い、よりオンロードネイキッドらしいスタイリングとなった。今回試乗したのは、そんな2代目モデルである。

上の390DUKE同様、スタイリングはモタードとストリートファイターを足したようなKTMオリジナルスタイル。そう、今ではすっかりお馴染みの「DUKEスタイル」というべき意匠だ。

搭載されるエンジンは車名のとおり690ccで、なんと単気筒! これだけのビッグエンジンを積んでいながら、車両重量はわずか149.5kg!! まさに他に類のないモデルといえるだろう。

●水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒690cc ●乾燥重量149.5kg ●シート高835mm

やや幅を広くしたテーパーハンドルは、ロードスポーツ風でもあり、モタード風でもある。試乗モデルのようにハンドガードをつければ、よりモタード感が強調される。

オレンジのトレリスフレームが、このマシンがKTM DUKEであることを主張する。エンジンは水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒で、排気量は690cc……まさにビッグシングルだ!

690ccというと海外ではミドルクラスだが、日本では立派なビッグバイク。そしてビッグバイクといえば「重さが」……なんて躊躇したくなるが、690DUKEは驚くほど軽い! スタイリングはネイキッドというよりモタードっぽく、シート高は935mmとそれなりに高い。しかし車体が軽く細いので恐怖感はなかった。

単気筒エンジンはトルクフルで、車体が軽いためにパワーも不満なし! とにかくよく走るし、よく曲がる。実際にサーキットを走ってみると、はじめはどう曲がっていいか戸惑ったが、リーンアウト気味に乗るとスパッと曲がれた。やはりどちらかといえばモタード的な味付けがされているのだろう。

ただし、単気筒の690ccエンジンなので振動はそれなりにある。サーキットやワインディングを小気味よく走り抜けるのは快感だが、ロングツーリングなどは苦手そう(苦笑)。日帰りやワインディングメインのショートツーリングがおすすめだ。

KTMのスーパースポーツは意外と汎用性が高い!? ……KTM 1190 RC8R(2009年)

KTMといえば長らく「オフロードバイクメーカー」だったが、今ではアドベンチャーツアラーにネイキッドもラインナップする総合バイクメーカーである。そのキッカケの一つとなったモデルが、1190 RC8シリーズ。試乗車の1190 RC8Rは上級バージョンで、スタンダードより排気量をアップして1194ccとしたほか、ホイールなどの足周りも強化。同社初のスーパースポーツとは思えないほどの高い仕上がりで世界中のファンに支持された。

まさにKTMの歴史を変えた1台といえるだろう。

●水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒1194cc ●乾燥重量184kg ●シート高805mm

ハンドル周りはいたってシンプル。ステムにセットされたステアリングダンパーがレーシーな雰囲気を高めている。

メーターは当時、同社のモデルによく使われていたデジタルメーターだ。

水冷4ストロークDOHC Vツインエンジンは101PSを発揮。ちなみに欧州のフルパワーモデルは165PSとのこと。

やっぱり本気のスーパースポーツなんで、シート高は高い。そして固い(笑)。しかし、跨ったときに前傾はそこまでキツいと感じることはなかった。

走り出すと、トルクの厚さに驚く。スーパースポーツというと低速トルクが薄くて、高回転型というイメージを持っていたが、発進などで気を使わなくてよかったのが個人的には高評価。やっぱりスーパースポーツとはいえ、ほとんどのライダーが街中などの公道をメインに走るわけだから、こういうセッティングは嬉しい。

また、今回は先導車つきでゆっくり走ることになるのだが、そこまで気を使うことなくスムーズに走れたのも良いポイント。極低速〜中速域まで、スムーズに走らせることができるのだ。

しばらく走っていると、腰は痛くならなかったが、首が痛くなってしまった。やっぱりツーリングバイクとして使うにはちょっとしんどい部分もあるが、意外と公道での汎用性は高いのでは……という印象だ。

個性的スタイルと扱い切れるパワー感の高バランス!! ……TRIUMPH ストリートトリプルR(2018年)

スーパースポーツの外装を取り払い、アップハンドルを装着したカスタムスタイル「ストリートファイター」の発祥はイギリスだと言われている。そんな彼の地のメーカー・トライアンフからリリースされているのがストリートトリプル。

スーパースポーツのカウルを外してそのままにしたかのような異形ヘッドライトやエッジの効いたシート周り、低めのバーハンドルなどはまさにストリートファイターそのもの! 搭載されるエンジンは、トライアンフ伝統の水冷並列3気筒だ。

同社の3気筒エンジンを搭載したネイキッドは、古くは675ccで現行モデルは765ccのストリートトリプルと、上級機種で1000cc以上の排気量を持つスピードトリプルに大別される。スピードトリプルの方が高性能で楽しいのかと思われるが、実際にはどちらもそれぞれに高い評価を得ていて、ストリートトリプルも扱いやすさと性能のバランスが優れていると、多くのファンから支持されているのだ。

街乗りも含めて気軽にスポーツライドを楽しみたい……そんなユーザーなら、チェックしておいて損はないだろう。

●水冷4ストロークDOHC4バルブ並列3気筒765cc ●車両重量189kg ●シート高780mm

エンジンは水冷並列3気筒で、2018年モデルの排気量は765ccである。低回転での粘りと高回転での吹け上がりを両立させたトライアンフ伝統のエンジンだ。

180サイズのリアタイヤやブレンボ製キャリパー、異形タイプのスイングアームなどが、このマシンがスポーツマシンであることを物語っている。

765cc並列3気筒エンジンを抱く車体は意外とコンパクト。かといって400ccほどの小ささでもないため、ビッグバイクにまたがっているという満足感は十分。つまり、「ちょうどいいサイズ感」ってこと。ライポジも前傾すぎず、殿様すぎずでスポーツライディングからツーリングまで、幅広くこなせそうだ。

走り出すと、低速から粘りを感じるが、やはり765ccの排気量は「図太いトルク」とまではいかない。しかし、アクセルを回すと鼓動感を感じさせながら伸びやかに加速していくのが心地よい。やっぱりこれも「ちょうどいい」。パワーは十分で、いざとなるとしっかりスポーツライディングが楽しめて、操りやすい。

個性的なスタイリングからは想像できないほどフレンドリーなバイクといえそうだ。

やんちゃなトリプルエンジンがクセになる!? ……TRIUMPH スピードトリプル(2011年)

ストリートトリプルの上級機種……と思いきや、全く別物といえるのがスピードトリプル。単に排気量がアップしただけでなく、片持ちスイングアームやアップタイプのマフラー、さらに車両重量やシート高など、なにもかもが大きく違う。

ストリートトリプルが軽快感あふれるライトウェイトスポーツなら、こちらは重厚感漂うフラッグシップネイキッドとでもいうべきか。とにかく、当時のトライアンフが持てる技術を搭載した意欲作なのだ。

●水冷4ストロークDOHC4バルブ並列3気筒1050cc ●車両重量214kg ●シート高815mm

マフラーはアップタイプの2本出し。リアビューの迫力を大きく高めている。

スイングアームは片持ちタイプを採用。アップマフラーも相まって、ホイールが剥き出しになったスパルタンなリアビューを印象付けている。

またがってみると、けっこう前傾のライポジで、シート高も高い。それだけで、適度な前傾とシート高(780mm)を持つストリートトリプルとは大きく異なると気づく。そして車体を引き起こそうとすると……お、重い!! 繰り返すが、ストリートトリプルとは全く別物だ(汗)。

走り出すと、トルクの太さに感動。そのまま獰猛といっても良いエキゾーストノートを響かせながら加速していく。先導車がいるため、アクセルをフルオープンにはできないが、思いっきり開けてみるとどうなるんだろう? ドキドキしながらそう思わせるパワー感。これぞリッタークラスのスポーツマシン!! である。

そんな秘めた獰猛さを感じつつも、コーナリングはいたってニュートラル。走りたいラインを素直にトレースしてくれる。

のんびり派はきっと持て余すだろうが、ビュンビュンとメリハリをつけて走りたいライダーにはきっと面白い1台だと思う。

今年も開催!! 那須MSL外国車試乗会に行ってきま〜す!!

というわけで2023年に開催された「那須MSL外国車試乗会」のレポートは今回で終了!! 諸事情により、記事終了まで1年もかかってしまったが(汗)、そのため2024年の外国車試乗会はすでに開催中!! 

僕はもちろん今年も参加するので、その模様も近日公開します! お楽しみに!!

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