最近CT125ハンターカブオーナーが仲間内で、もしくは初めて会う時に挨拶のように出てくるやりとりがあります。それは、
「ペダル交換した?」
2021年10月にホンダからギアチェンジペダルのリコールが発表されました。この無償修理のことを指します。このパーツの溶接部に不備があり破損の可能性があるとのこと。改めて愛車を見ても、亀裂や不備があるように思えません。手間だなー、と思いましたが、メーカーからのお願いですし、万が一のことが起きてはいけませんので、交換修理をお願いすることにします。
なお、リコール対象の総数は19,409台。リコールの情報よりも、ハンターカブ生産数が自分の予想を大きく上回っていることに驚き、その数からハンターカブの人気の高さを垣間見ることができたニュースでした。
長いバイク歴の中で、新車でバイクを購入したことが最近なかったので、リコール対応をしてもらうのは久々です。早速連絡をし、購入店であるレッドバロンにて作業をしてもらいました。せっかくなのでどのような流れでリコール情報を知り、販売店に対応してもらったのかを報告したいと思います。

「リコール」情報のキャッチと作業予約

リコール情報に気付いたのは、所属しているFacebookグループでのユーザー投稿からでした。
「どうやらリコールが発表されたらしい」
この情報でグループ内がざわめきだしました。
すぐに購入店に連絡した人。逆にお店から連絡をもらった人の投稿。対策部品の数が間に合っていないという噂。リコール対象となるか怪しい、タイ仕様の輸入車を購入した人の悲鳴などで、グループが大混乱。自分もホンダのホームページでリコール内容を確認し、自分の愛車をチェックします。破損は見られなかったので、一安心。とりあえずメーカー、もしくは購入店からの連絡を待つことにしました。
騒ぎから1週間ほどでしょうか、ホンダから「無償修理実施のお願い」の封書が届きました。その後、購入店であるレッドバロンからもハガキが到着しました。
レッドバロンに電話したところ、部品を確保したら改めて連絡をいただけることになりました。そこから1週間ほど経過し電話が。「部品交換自体は簡単な作業なので、平日ならば予約不要です」とのこと。せっかくお店に行くのだから、オイル交換もお願いしたいと考え、予約をして訪問することにしました。
今回自分が体験した、作業までの流れをまとめると下記の通りです。
1) メーカーのホームページで発表される
2) 所属しているフェイスブックグループでざわめき出し、初めて気付く
3) ホンダからハガキが届く
4) レッドバロンからハガキが届く
5) レッドバロンに問い合わせ
6) 部品到着の連絡待ち
7)レッドバロンから部品到着の連絡があり作業の予約

説明を受け、いざ改善作業

各店には対策部品と同時に、無償修理に関するマニュアルが配布されています。
今回の修理は、ごく簡単な作業でギヤチェンジペダルの交換のみ。CT125では出ていませんが、大きなリコールだとエンジンを下ろして分解をしなければならないこともあるとか。その場合は重整備なので今回のように店頭で待っている間に作業は完了しません。お店に車両を預ける必要があり、長期間愛車に乗れなくなることも。
エンジンから伸びたシャフトとペダルを固定しているボルトを抜き、リコール対象のペダルを取り外します。
左が対策前の部品。右が対策後のギアチェンジペダル。溶接部が肉厚になっており、強度が増していることが伺えます。
余談ですが交換後、剛性が上がったために、シフトチェンジ時のギアの入る感触にダイレクトさが増しました。
次に対策品の取り付け。取り付けの角度が今までと同じ位置になるように注意を払いつつペダルを組みつけます。作業が全て完了したあとに工場長からの依頼で、自分で跨がり、角度が正しいかどうかを確認しました。
ホンダからの案内に書かれていた「実作業時間約25分」以内の作業時間でした。
最後に「リコール対応済み」の証となる「改善対策K629」と記載された黄色地のステッカーをフレームのネック部に貼り付け完了です。この数字はホンダが管理している番号です。今回のリコールに関する詳しい情報は下記公式ページにてご確認ください。

せっかくなのでオイル交換。オイルリザーブ会員なので

続いてオイル交換です。私はバイク購入時にオイルリザーブシステムに加入していますのでVRグレードのオイルが30リットル分リザーブされています。銘柄はelf(エルフ)のセミシンセティック(半合成)10W40です。
CT125ハンターカブに使用するのは0.7リットル。オイルは一般的に1リットルや4リットルという単位で販売されています。もし自分でオイル缶を購入して交換すると、0.3リットル余ってしまいますが、このシステムだとその無駄が出ません。

オイル交換には写真の「マイツーリングパスポート」というレッドバロンの会員証が必要です。

 

まずドレンボルトを外し、オイルを排出させます。オイルができるだけ排出されるように、しばらく放置します。ドレンボルトを洗浄し、ドレンガスケット(ワッシャー形状のもの)を新品に交換してドレンボルトを指で締めます。
そして最後にKTCのデジタル式トルクレンチ「デジラチェ」で締め上げ、トルク値管理もばっちりです。お聞きしたところ、全店の工場スタッフに同じものが支給されているとのこと。さすがレッドバロン。整備環境の盤石ぶりに頭がさがります。
次にオイルの注入です。ドラム缶からオイルジョッキに移し替えるのではなく、ドラム缶から直接繋がったホースを介して給油ノズルからオイルを注入します。
注入量はダイヤルゲージにて確認できます。オイルジョッキに移す作業がなく、異物混入のリスクもなく、ジョッキも汚さずに済むので、効率がとにかく良い。
レベルゲージでオイル量を確認してからエンジン始動。しばらくの暖機運転後、再度レベルゲージでオイルが規定量入っているかを確認して作業は完了です。

最後に空気圧チェック

続いてタイヤの空気圧チェック。オイル交換作業時には必ず行っている点検とのこと。ちなみにCT125ハンターカブはフロント175kpa、リア225kpa。計測して足りない分を補充していただきました。なお注入するのはN2ガスです。つまり窒素。抜けにくく、気体内に水分が少なく温度変化に対しての圧力変化が少ないなど利点が多いのが特徴です。窒素ガスだけではなく、点検してくれる心遣いがありがたい。
作業が終わったあとは、「完成検査」と言われるダブルチェックを行います。作業者とは別の整備士がトルク値やオイル量を再度点検することで人為的なミスを防ぎます。ここまでの作業をしているとは今まで知らなかっただけに感服いたしました。
仕上げはデータベースへの入力です。全国のレッドバロンの工場が繋がっているイントラネット上の整備記録に今回の作業を記録。これで違う店舗で作業をお願いしても整備記録が残っているので、初めてこのバイクを作業するスタッフも個体情報を理解の上で作業できるので効率も良いし、任せるユーザーも整備状況を伝えなくて良いので、楽だし、安心です。ツーリング先でのトラブルはもちろんのこと、引越しをした先でもスムーズに引き続き面倒をみていただけるので、心強く感じます。
冒頭で紹介した「マイツーリングパスポート」にも、今回の無償修理の実施、オイル交換の整備内容を記載していただきました。
さて気になる今回の作業にかかった費用は640円でした。リコール作業はもちろん無償。オイル料金も車両購入時に30リットル分を支払い済みなので、オイル交換の技術料のみです。(アンダーカウル装着車等は技術料が変わります)
オイルリザーブは残り29.3リットル。仮にオイルを使い切った場合ハンターカブのオドメーターがいくつになるのか計算してみました。オイル29.3リットルを0.7リットルで割ると41。3,000kmごとに41回オイル交換ができます。3,000km×41回=123,000。つまりは「123,000km」分のオイルがストックされていることになります。
すごい距離と感じますが、ハンターカブなら余裕でこなせそうです。むしろ年間3,000kmしか走らなければ、41年分。レッドバロンでは半年に一回の交換も推奨していますので、20年と半年となります。20年後は自分はまだ65歳。体力的にもハンターカブならまだ乗れてそう?
ハンターカブはもちろん、レッドバロンとも長い付き合いになりそうです。
追記
もしハンターカブをレッドバロンで他車に買い替えや売却した場合、残ったオイルは買い取りをしてくれるそうです(加入額が払い戻し額の上限となります)。本当に無駄がない仕組みですね。
今回、電話での問い合わせや予約の受付を担当していただいたレッドバロン江戸川店の出井店長(左)と作業を担当していただいた小林工場長(右)です。忙しい中取材対応ありがとうございました。今後もよろしくお願いしますね。

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