いち早く乗った話題の新型
こんにちは青木タカオです。先日はホンダの報道向け試乗会にて、3月13日に発売したばかりのホンダ「レブル250/S Eクラッチ」に乗りました。
レブル250は2017年4月にデビューして以来、7年連続で軽二輪クラス販売トップ。セールス好調の大人気モデルとなっていますが、新型ではEクラッチ搭載モデルが登場しています。
Eクラッチはライダーがクラッチレバーを操作せずに発進、変速、停止ができる電子制御装置。クラッチを切ったり繋いだりする左手の操作だけを自動化していて、シフトチェンジは自分でおこないます。
MT操作にもすぐ戻る
クラッチレバーが備わっていて、一般的なマニュアルトランスミッションと同様に、ライダー自身でクラッチ操作をしたい場合は、レバーを握れば瞬時に従来通りの運転方法に戻ります。
これがまた秀逸。切り替えスイッチなどはなく、レバーへの入力によって、すぐさまマニュアルミッションのように操ることができ、そのままレバーに触らなければ、再びまたすぐにEクラッチの自動制御が復活し、レバー操作を不要とするのです。
メーターのインジゲーターによって、電子制御されているか否かが目視でわかり、シンプルな操作性がゆえに戸惑うことはありません。
違和感のない操作フィール
ボク(青木タカオ)はEクラッチを最初に採用した「CB650R Eクラッチ」や「CBR650R Eクラッチ」にもジャーナリスト向け試乗会で乗り、違和感なくすぐに馴染めたことをよく覚えています。
今回は「レブル250Sエディション Eクラッチ」に乗りましたが、同様にスムーズなクラッチワークを体験できました。
開発チームによれば、クラッチワークは「人間より電子制御の方が上手い」とのこと。ベテランライダーには悔しいところですが、実際に乗ればそれは嘘ではないことがわかります。
人間の場合、エンストしないように、クラッチミートの際にわずかながらも回転を高く保っておきます。ベテランライダーであっても“念のために”と、必要最低限の回転域からアクセルを少しだけでも開けておくはずでしょう。
その点、電子制御に“念のために”という概念はありません。決してエンストせず、スムーズに加速できる必要最低限の回転数を何回でもムラなくコンスタントに電子制御によって保ちつつ、クラッチを無駄なく繋ぐのです。
司令塔はMCU
制御はMCU(モーターコントロールユニット)で行われていて、スロットル開度やエンジン回転数、前後輪車輪速を読み取りつつ、クラッチ切断信号、メーターインジケーター、ギアポジション、シフトペダルへの入力などから総合的にコントロールしています。
エンジンを制御するECUとMCUがCAN通信で繋がり、総合的に車体を制御する優れものです。
「MCUはどこに配置されているのか?」と聞くと、開発責任者代行の野島一人さんがシートを外して見せてくださいました。
シート高を上げることなく、吸気ダクトの妨げにならないようレイアウトされています。
すでに高く評価されている
新型レブル250/Sシリーズもまた発売と同時に受注がたくさん入り、その内訳はEクラッチ搭載モデルが8割を超えるとのこと。
ボクはネットニュースなどで、試乗インプレッションを発信していますが、「CB650R」や「CBR650R」の記事では、「クラッチ操作は自分でやりたい」といった否定的な声が読者のコメントには混ざっていたと記憶しています。
80%以上がEクラッチ搭載モデルを選ぶ現実を知ると、アンチの声は少数派であることが改めてわかるのでした。
Eクラッチ採用3機種目にして、すでにユーザーらの間で高く評価されていることが、紛れもない現実なのだと知ることができます。
価格を抑えたのも舌を巻く
もちろん、レブル250の場合、価格的な効果もあるでしょう。以下の通りで、Eクラッチモデルとの価格差が、5万5000円増に抑えられているのです。
■レブル250:63万8000円(税抜き本体価格:58万円)
■レブル250 Eクラッチ:69万3000円(税抜き本体価格:63万円)
■レブル250 Sエディション Eクラッチ:73万1500円(税抜き本体価格:66万5000円)
さらにまた、新型レブル250のアップデートしたところは、Eクラッチ搭載モデルの登場だけでなく、ハンドルやシートも変更されています。
ライディングポジションがコンパクトになり、小柄な人でも取り回しがしやすくなっている点も見逃せません。
スチール製だったリヤフェンダーは、樹脂製に刷新。質感にこだわりつつ、より多くの塗料が使えるようになり、カラーバリエーションを今後増やしていけると担当者に聞きました。
まだまだ増える予感!
Eクラッチは構造がシンプルで、大きな構造変更をせずとも搭載することができます。レブル250で、8割のユーザーに選ばれる実績がすでにありますし、となれば今後、あらゆるモデルに採用されていくのではないでしょうか。
同系エンジンの「CL250」をはじめ、ボクの愛車である「CRF250L」にもEクラッチモデルの登場を期待せずにはいられません。
Eクラッチはスポーティに走るのも得意です。アクセルを開けたままシフトチェンジができ、クイックシフターによる制御によって、エンブレも最適化してくれます。
想像すれば、ワクワクしてなりません。サーキットやオフロードシーンで、エンストしないのは大きな強み。レースならスタートで、かなり有利かもしれません。
笑いを伴うボクの取材スタイル
こうしたニューモデルや新技術の取材時、ボクは開発チームを前に、いつも一人で勝手にあれこれと喋りまくっています。
将来のことは決して言えないメーカーの技術者たちを困惑させつつ、ボクだけが大コーフンしているからなのでしょうか。エンジニアたちをニンマリとさせているのでした。
今回、そんな様子を動画に収めることができましたので、最後にぜひご覧ください。青木タカオの一人トークがお馴染みになったのか、ホンダの精鋭たちがボクの勝手なお喋りに、ドッカンドッカン笑ってくださっているのが、見返してみるとなんだか嬉しくてたまりません。
今回はそんなお話でした。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。