R nineT アーバンGSの後継機種
前回、BMWモトラッドジャパンが開いた報道向け発表会にて説明された『R12 G/S』という車名にある“/”(スラッシュ)について、長々と書きましたが、肝心のニューモデル『R12 G/S』のことに、ほとんど触れていないことに気づきました。
こんにちは青木タカオです。これが公開されているのは、鈴鹿8時間耐久ロードレースの取材を終えて帰京する頃だと思います。鈴鹿8耐については、また次回以降レポートいたします。
さて、5月21日に注文受付が開始した新型『R12 G/S』ですが、往年の名車『R80 G/S』を彷彿とさせるスタイルを採用しているからファンにはたまりません。
『R nineT アーバンGS』の後継モデルとして位置付けられ、心臓部はボア・ストロークを101×73mmとした排気量1169ccの空油冷DOHC4バルブ・ボクサーツインエンジンです。
BMWのRシリーズが採用する伝統の「ボクサーツイン」は、前から見ると、両側に巨大なシリンダーが突き出た水平対向式の2気筒エンジン。
ボクサーが胸のところで、グローブを水平に突き合わせるポーズが、2つのピストンが往復する動きを象徴しているので、そう呼ばれています。
シリンダーが水平配置されるので、クランクシャフトから上に重いエンジン機構がありません。低重心がもたらす走行安定性の高さなどに優位性があります。
天才エンジニア、マックス・フリッツが設計して1920年に製造がスタート。初の量産車『R32』を発売したのは、1923年のことでした。
じつに100年以上! ボクサーツインの歴史とともに、BMWのモーターサイクルは歩んできたと言っても過言ではありません。
『R12 G/S』では最高出力109PS/7,000rpm、最大トルク115Nm/6,500rpmを発揮。かつての空冷GSモデルがそうだったように、マフラーは左側に配置されています。
オフロードでのスポーティな走りを予感させる
レトロスタイルを懐かしむばかりではないことが、足回りからわかります。クロススポークタイプのフロントホイールは、オフロードでの走破性に優れる大径21インチ。
インナーチューブ径45mmの倒立式フロントフォークはマルゾッキ製のフルアジャスタブルで、210mmという長いストローク量が確保されています。
ブレンボ製の2ポットキャリパーが備わり、310mmダブルディスクと組み合わされるなど、BMWの本気度が伝わる装備ではありませんか。
リアサスペンションは、伝統のパラレバー式。やはりフルアジャスタブル式で、200mmのストローク量を持ちます。
ホイールベースは1580mmと長めに設定。最低地上高240mmを実現し、タイヤサイズはフロントが90/90-21、リヤが150/70R17となります。
『R nineT アーバンGS』はフロント120/70R19、リヤ170/60R17でしたから、よりオフロードを重視した足回りであることがタイヤサイズからも読み取れます。『R nineT アーバンGS』のサスペンションストロークはフロント125mm、リア140mmでした。
スリムなタンクもダートで有利
クラシックな雰囲気を演出するワイドなパイプハンドルは、ダートも考慮されたもの。
アナログタイプ指針式のスピードメーターは、下部に小型液晶ディスプレイを内蔵しています。
タンク容量は『R nineT アーバンGS』より1.5リットルほど少ない15.5リットルとし、形状も若干スリムになっています。
車両重量は『R nineT アーバンGS』が223kgであったのに対し、229kgと増えています。
※ 車両重量:ドイツ工業規格DIN空車時、走行可能状態、燃料満載時の90%、オプション非装備。
シート高(空車時)は860mmで、『R nineT アーバンGS』の850mmより10mm上がりました。
専用設計のシャシーを用意
ワンピース構造のスチールチューブラーフレームは、ヘリテイジシリーズ『R12』にて新採用されましたが、『R12 G/S』ではオフロードでの操縦性を重視した専用設計としています。
ステアリングヘッドが高く、前方に配置することでダートでの自在なハンドリングを可能にしていると、技術説明会で発表されました。レトロ・エンデューロの純粋なデザインで、R80G/Sのスピリットが受け継がれています。
車体のサイズ的にも、日本人にはベストではないでしょうか。価格は245万1000円~。ボクは売れる予感しかしません。
というのも、G/Sではなく『R80』無印をかつて5年間ほど所有していたことがあるボク。実車を目の当たりにし、ボクサーツインがまた欲しくてウズウズしているのです。