絶版車を末永く乗り続け、後世に語り継ぐ。そのためにレッドバロンは、生産終了したパーツをリビルドする、独自の『加修』技術を磨き続けている。職人技と呼ぶべき数々の加修技術を紹介していきたい。
貴重な絶版パーツを復活させる『加修』技術
メーカー基準に沿って、パーツを修理&再生することをレッドバロンでは『加修』と呼んでいる。
一般的に車両メーカーのパーツ在庫義務は、生産終了からわずか約7年。走行に必要な部品が手に入らず、愛車に乗り続けられなくなる可能性がある。そこでレッドバロンは、“職人ワザ”と呼ぶべき高度な「加修」によってリビルドし、入手困難な純正パーツをストック。絶版車の好調さを維持している。
3回にわたって紹介してきたが、今回が最終回となる。
※加修の詳細はコチラ。
https://for-r.jp/column/85345.html
https://for-r.jp/column/85425.html
https://www.redbaron.co.jp/service/own_factory/factory_tour/
【外装】 タンク補修は容量を確保、塗装はAI調色と職人の感性で見事に再現
走行に支障がない外装部品にも、しっかり加修を施す。
まず燃料タンクの凹みはパテで埋めれば簡単だが、容量が減ってしまう。また、バテのヒビ割れや剥がれが発生する恐れも。そこで、同社では凹んだ部分を引き出してから最後にパテで仕上げをしている。



↑ワッシャーを凹んだ部分に取り付け、スライディングハンマーで引き出すことで、容量を維持できる。ワッシャーは溶接ではなく、低温のハンダ付けで装着し、サビや穴開きを防ぐ工夫も。板金後はパテを盛り、表面処理を繰り返す。
塗装にも数々の職人ワザが活かされている。全国に複数の塗装工場があり、本社工場もその1つ。店舗で販売する中古車向けと、一般ユーザーからの依頼による外装塗装を行っている。
4輪と違い、2輪は純正色の配合データが公開されていないため、レッドバロンでは色をスキャンして分析する「AI調色」を導入。ソリッドカラーの再現度は高いものの、キャンディ色やメタリック、ラメなど一部の色はAI調色でも再現できない。
そこで、職人が自身の経験と感覚で調色し、純正と同様のカラーを見事に再現している。なお、従来は油性塗料が主流だったが、現在は人と環境にやさしい水性塗料に代替。水性でも油性の色味をしっかり再現している。
さらにスゴいのは、車両の経年変化に合わせた調色だ。例えば、ある程度年式が進んだ車両で転倒し、外装が一部だけ破損した場合、新車と同じ純正色で塗装しても、その部分だけ浮いて見えてしまう。しかし同社では、高度な技術で色褪せをも再現し、全体で見て違和感のない仕上がりにしてくれるのだ。
ちなみに外国車は、塗料のベースとなる顔料や樹脂、フレークなどが特殊な場合もあり、再現が難しいケースもあるとのこと。こうした場合も可能な限り元のカラーに近づけてくれるのが頼もしい。


↑10年ほど前から、スキャンして色味を分析できるAI調色を導入。どの色をどの程度混ぜ合わせるか分析し、ソリッドカラーなら高い精度で再現可能だ。

↑一見、同じ色でも年式や車種で微妙に異なるため、蓄積したデータを基に膨大なカラーパレットを保管している。


↑AI調色はキャンディなどの色味を再現するのが苦手なので、職人の調色でより本物に近づける。AI調色と技術者調色を見比べると、やはり技術者調色の方が再現度が高い。

↑カワサキおなじみのライムグリーンは、年式や車種によって50色程度の違いが。これらは全てデータとして残され、必要な際に活用される。

↑塗装ブースでガンを吹く。仕上がりは、職人ワザによって部分修正とわからないほど。本社工場とは別に、サイドカーやトライクがそのまま入る大型ブースを持つ塗装部もあり。

↑油性塗料は色味が鮮やかだが、有機溶剤を使うため、環境や人体への影響が大きい。そこで環境への負荷が少ない水性塗料に代替しながら、色味も再現している。
【クリーニング】 タンクの自動サビ取りマシンまで! 機械と人でピカピカに
バイクのパーツは、スチール、ステンレス、アルミ、チタンなど素材が多種多様。それぞれの部材に適したケミカルや道具を使ってキレイにする部署が本社工場にある。
パーツは一品ごと丁寧に洗浄と磨きを行う。どれほどキレイになるかは下のビフォー・アフターを見てほしい。
さらに、クリーニングにもレッドバロン独自のツールを開発している。レッドバロンの社員も驚いたほどユニークなのがタンク内部のサビ取りマシン。電動でゆりかごのようにタンクを揺らし、中のサビとりをしてくれるのだ。


↑ウェットブラストで金属パーツを洗浄&研磨。油やカーボンなどの頑固な汚れ、サビも除去できる。


↑左がビフォー、右側がアフター。サビがしっかり落ち、ピカピカに仕上がっている。

↑パーツに応じて、マシンだけではなく、手作業でも研磨。様々なケミカルと磨きツールで丁寧に作業していた。

↑ゆりかごのように自動で揺らし、面倒なタンク内のサビ落としをまとめて行う! アイデアと実現力がスゴい……。
【検品】 同じ年式でも仕様が違う場合も! 厳重にチェックを行う
加修が終わった部品は、検品で年式をチェックし、ストックヤードで保管される。
この作業は非常に重要。品番を見極めないと、違う車種や年式の部品としてストックされてしまうからだ。中には、同じ年式でも仕向地によって仕様が異なり、特にマフラーは車検にパスできない場合がある。
同社では40年以上蓄積してきた情報を基に、専任のスタッフが厳重に点検。ここでもプロの見識が活かされている。その後、梱包を行い、バーコードを貼付してストックヤードに保管される。
車種ごとに分類してバーコードで管理するため、在庫管理が容易。在庫情報は全国のレッドバロンと共有され、注文があれば最短で即日発送される。

↑検品の例を解説していこう。CB400SSのマフラーは刻印が同じなのにも関わらず、年式ごとに溶接の有無が。こうした違いもしっかり見極めている。

↑こちらはNinja ZX-12Rのマフラー。2000~01年式の初期型は、同じ年式でも仕向地によって触媒が内蔵されていたり、いなかったりする。純正で触媒付きの場合、触媒がないと車検に合格できないので、検品作業は非常に重要だ。

↑SR400のタコメーターは、年式によって文字盤の色が微妙に違う。

↑ZRX400やZRX1100、バリオスのメーター。これも一見同じに見えるが、文字盤の色や刻印が5km/h刻みだったりと細かな差異がある。



↑遠くから見ると同じCB400SFのタンク。実は銀色のラインが異なる別仕様で、近づいて見ると一方は塗装、もう一方はドットのデカールだ。

↑ドラッグスター400のシート固定部。右側はリコール対象、左側は対策品で、ネジ径が太くなっている。このようにリコール対策済みの部品かどうかも見極める。

↑部品は全てバーコードで一括管理され、ピックアップが簡単。この瞬間も、高品質な中古車作りやパーツ供給に活かされている。
【まとめ】加修技術はまさにレッドバロンのコア、工場見学もできる
まさに職人ワザと呼ぶべき、数々の加修技術を3回にわたってお届けしてきた。40年以上にわたる技術の蓄積は、お世辞抜きに圧倒的だ。しかし、これほどの技術の集積とスケールがなければ、最長3年間の純正パーツ供給や、良質な中古車販売は実現できないのだろう。
なお、レッドバロン本社工場では見学も可能(https://www.redbaron.co.jp/service/own_factory/factory_tour/)。気になった人は、ツーリングがてら見学し、その目で加修技術の数々を確かめてみては?
