バイクを手に入れたら、やりたくなること。
それはもちろんツーリングでしょう!
近所をひと回りするのもいい。少し早起きして峠へ行くのもいい。泊まりで知らない土地まで走ってみるのもいい。
ところで、この「ツーリング」という言葉。
英語の「touring」は、「tour=旅行・周遊すること」からきた言葉で、もともとバイクだけを指すものではありません。クルマでも自転車でも、各地を巡る旅ならtouringです。
バイク乗りにとってあまりにも身近な言葉なので、なんとなく「ツーリング=バイクで出かけること」と思ってしまいますけどね。
では、何kmからが「ロング」なのか?
さて、本題です。
ロングツーリング。
読んで字のごとく、「長いツーリング」。
では、いったいどこからがロングなのでしょうか。
200km?
300km?
500km?
一泊したらロング?
それとも3泊以上?
調べ始めると、なんとなく基準らしき数字を決めたくなってきます。
でも、私の答えは簡単です。
人それぞれでいい。
ロングツーリングの「長さ」は、距離だけではありません。
走っている時間かもしれない。
旅の日数かもしれない。
あるいは、その人が「ずいぶん遠くまで来たな」と感じる距離かもしれません。
ライダーの経験によっても違います。
乗っているバイクによっても違います。
道によっても違うでしょう。

スーパーカブの100kmと、ハヤブサの100km
たとえば、スーパーカブで100km走る。
一般道をトコトコ走り、街を抜け、峠を越えて100km。
それなら本人にとって立派なロングツーリングかもしれません。
一方、ハヤブサで高速道路を100km走ったらどうでしょう。
「もう着いたの?」
なんてこともあるでしょう。
もちろん、だからといってカブは大変で、ハヤブサなら簡単、という話ではありません。
雨が降れば100kmでも長い。
真夏の渋滞なら50kmでもぐったりする。
ワインディングを一日中走れば距離はそれほど伸びなくても、お腹いっぱいになる。
逆に高速道路を淡々と走れば、数百km先まで行けてしまう。
距離という数字だけで、ツーリングの「長さ」を決めることはできないのです。

写真はクロスカブ110
キャリアによっても「遠い」は変わる
初心者だった頃を思い出してみてください。
初めて隣の県まで走った日。
初めて高速道路に乗った日。
初めて朝から夕方まで走った日。
初めて一泊した日。
今なら何でもない距離でも、そのころはちょっとした冒険だったはずです。
私も、そういう感覚はとても大切だと思っています。
何万km走った人の「300kmなんて近いよ」という感覚と、免許を取ったばかりの人の「今日は100kmも走った!」という感覚。
どちらが正しいわけでもありません。
経験を積めば、自分の行動範囲は自然に広がっていきます。
昨日まで遠かった場所が、いつの間にか近くなる。
それもバイクの面白いところです。

ロングの基準は、自分で決めればいい
100km走って「今日は大冒険だった」と感じる人もいれば、500km走って「もう少し行けたな」と思う人もいるでしょう。
同じ距離でも、乗るバイクや道、天候、その日の体調によって感じ方は変わります。
だから、誰かのツーリングと比べて「長い」「短い」と決める必要はないと思うのです。
とはいえ、たまにいるんです。
「そんなのロングツーリングじゃないよ」
とか言って、謎のマウントを取ってくる人。
まあバイクに限らず、趣味の世界には「俺のほうがすごいんだ!」とアピールしたがる人が、どこにでもいるものです。
そんな人を相手に「いや、私にとってはロングなんです!」なんて議論を始めても、せっかくの楽しい時間がもったいない。
「あはは〜、そうですね〜。それでは、ごきげんよう」
くらいにして、すみやかにヘルメットをかぶり、その場を離れちゃいましょう。
自分が「今日は遠くまで来たな」と感じたなら、それでOK。
むしろ、その感覚があるからこそ、次はもう少し先まで行ってみたくなる。
そんなふうに、自分なりの「ロング」が少しずつ変わっていくのも、ツーリングの面白さではないでしょうか。
「今日は冒険したな」と思えれば、それでいい
私自身は、日帰りだろうと、走行距離が短かろうと、
「今日はちょっと冒険したな」
と思えたら、それでOK。
知らない道へ入った。
初めての店で昼飯を食べた。
見たことのない景色を見た。
素敵な人に出会った。
予定より遠くまで走ってしまった。
帰宅したとき、少し疲れている。でも、なんだか満足している。
それで充分なのです。
ロングかショートかなんて、帰ってから好きに決めればいい。
「何kmからロングツーリングなのか?」
その答えを一生懸命考えるのもいいけれど。
そんなことを頭の中で考えている時間があるのなら――。
さっさとバイクに乗って、走り出しましょう!

