2月22日12時よりテントやシュラフ、タープなど主力アイテムのWEB限定販売をスタートしたワークマン。同日に開催されたキャンプギアの本格展開&春夏新製品発表会では、ラインナップ全130アイテムの展示や体験会だけでなく、年内に発売予定というサンプル品も公開された。販売開始時、サーバーには想定の5倍ものアクセスがあったというWEB注文による無在庫販売方式は、我々にとってどんなメリットをもたらすのか。

●文/写真: 大屋雄一(OYA Yuichi) ●取材協力: ワークマン ●外部リンク: ワークマン キャンプギア オンラインストア

今や3人に一人と言われるキャンプ初心者がターゲットだ

ワークマンがキャンプ必需品として展示した5点セット。BASICドームテント(4900円)、燃え広がりにくいローチェア(1780円)、BASICスリーピングバッグ(1500円)、耐熱アルミテーブル(980円)、LEDランタンライト(780円)で、トータル9940円。

昨今、コロナ禍という追い風もあってアウトドアがブームになっている。キャンプ人口だけを見ると、パジェロなどのRVが飛ぶように売れた1990年代の第一次ブームほどではないにせよ、ホームセンターや100円ショップなど異業種からの参入もあり、非日常であるはずのアウトドアがより身近になり、予算や目的に応じて楽しみ方を幅広く選択できるようになったと言えるだろう。

そんな中、ワークマンがついにキャンプギアの本格展開をスタートした。溶接用の作業着や革手袋が焚き火の際に使えるとSNSで話題になったことを受け、4年ほど前からアウトドアウエアに注力するようになったものの、ギア展開に関しては遅きに失した感がある。今回の発表会で登壇した土屋哲雄・専務取締役も、それについて「周回遅れ」という表現を使って認めつつも、ワークマン独自の機能性を十分な時間を掛けてふんだんに盛り込んだという。

ターゲットは、今やキャンパーの1/3を占めるまでに増えている経験1年未満のビギナー層だ。火の粉に強い防融加工や虫が寄り付きにくい防虫加工、体温を反射して保温効果を得るブラックアルミ、そして吸湿発熱わたを含有したフュージョンダウンなど、ウエア作りで培ったノウハウをそのままテントやタープ、シュラフなどに転用。こうした横展開が可能なのもワークマンならではで、ひいては高機能素材を採用した製品のコストダウンにもつながっているのだ。

撥水加工されたテントは水を弾きやすく、スピーディーに撤収できるというメリットあり。

ミシックドームテントFT(8800円)は、防融加工のディアフレイムテクトと高撥水のディアマジックダイレクトをフライシートに施している。いずれの加工もウエアからの転用だ。

TCミシックペンタゴンタープ(7800円)の高撥水ディアマジックダイレクト加工を試せる展示も。生地はポリエステル65%、綿35%のTC素材で、少人数にちょうどいいサイズだ。

さて、すでにテストした記事でもお伝えしたとおり、ワークマンの主力キャンプギアはWEB受注&店舗受け取り販売となる。Amazonなどの大手通販サイトに慣れている人にとっては、この「無在庫販売方式」はやや面倒に思われるかもしれない。導入の主な理由としては、約100坪の標準店舗に新たな製品を陳列するスペースがないことであり、購入にあたってはWEB注文後に最寄りの実店舗へ足を運ぶという二度手間が発生する。ただ、欲しいサイズや色がないために数店舗巡ったという話はワークマンでは珍しくなく、WEBで発注が済めばそれが1店舗で済むことに。しかも送料無料という点は大きなメリットだろう。このWEB受注による無在庫販売方式の第1弾がキャンプギアであり、今後は作業服の端サイズ(SS、S、3L以上)や、防寒ウエアなどボリュームが大きくて陳列しにくい人気商品も対象になるとのことで、5年で200億円規模に成長させたいという。

オンラインストアで購入した商品を店舗で受け取るサービス自体はすでにスタートしており、商品が1点でも、合計金額が1万円以下でも、店舗への送料は無料だ。

ワークマンで販売されるキャンプギアは130アイテムで、これはその一部だ。店舗のみで販売されるアイテムもあるので、詳しくはオンラインストアの個別商品ページで確認を。

フタがスクリュータイプへと進化した500ml専用真空保冷ペットボトルホルダー(980円)。さまざまなグラフィックのアンバサダーカラーは全部で7種類あり、WEB限定販売となる。

4月28日に銀座店をオープン! 8年後には現940→1500店舗へ

2022年2月現在で全国に940店舗を展開するワークマン。最も多いのは埼玉県の78店舗で、この地域に住んでいる、あるいは勤めている人にとってはWEB注文後の店舗受け取りというビジネスモデルにあまり不便を感じないだろう。問題になりそうなのは、生活圏内にワークマンのない人たちだ。特に都心は今のところ手薄であり、購入自体をあきらめる人がいても不思議ではない。

今後の出店計画について土屋専務は「8年後の2030年までに1500店舗へ」と宣言。さらに都心については、4月28日に#ワークマン女子を銀座のイグジットメルサビル5階に、6月には池袋サンシャインシティに出店するという。ちなみに#ワークマン女子は来年3月までに27店へ増える予定だ。そして、キャンプギアを狙っている人にとって重要なのは、旗艦店となる銀座イグジットメルサ店を含む全ての#ワークマン女子店で、WEB受注/店舗受け取り専用品の「陳列販売」が行われるということだろう。これはショッピングモール内にあるワークマンプラス店も同様であり、あまり認知されていないのか、ECサイトで即完売になった商品がしばらく店頭在庫として残っていたことを確認している。

昨年3月にオープンした#ワークマン女子 東京ソラマチ店。東京スカイツリータウン内にあり、東武伊勢崎線とうきょうスカイツリー駅の改札を出てすぐという好立地。

ライダー向けのキャンプギアをまとめた展示も。BASICスクエアタープは4900円と格安だ。

新作のメッシュジャケットは肩と肘のほか、胸部と背中にもプロテクターポケットあり!

開発中の巨大な3ルームテントも展示。アドベンチャーバイクが余裕で入るスペースも。

インナーテントは左右にある。アンバサダーの意見を反映してさらに仕様を詰めるという。

3ルームテントが参考出品されていたことからも分かるように、今回発売されたキャンプギアは第1弾であり、アンバサダーやユーザーから届いた要望は既存製品のブラッシュアップ、さらには新製品の開発に生かされるという。ちなみに全130アイテムのうち、アンバサダーが開発協力した製品は43アイテムで、その全てがテントやタープ、シュラフといった主力商品であり、売り上げの8割以上を占めるとのこと。

有名ブランドの1/2~1/3の価格で揃えられるワークマンのキャンプギア。ショッピングモール内にあるワークマンプラス店や#ワークマン女子店の一部ではテントなどの大物展示が行われており、気になる方は足を運ばれてはいかがだろうか。

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