世界有数の規模を誇る、阿蘇のカルデラ。約27万年前から4回にわたって発生した、巨大火砕流噴火の結果できた特異な地形で、大きさは東西18㎞・南北25㎞ですから、なんとも規模が大きい。今回ご紹介する「阿蘇パノラマライン」は、そんな阿蘇の雄大な風景を堪能することができる爽快ロードなのです。
阿蘇パノラマラインとは?
阿蘇カルデラ盆地の南・北・西の3方向から、阿蘇中岳を目指す3本の道(坊中線・下野線・吉田線)が、阿蘇パノラマライン。県道表記で説明すると、熊本県道111号・298号となります。かつては阿蘇登山道路という名の観光有料道路でした。
阿蘇にはミルクロードや、ラピュタの道(または「天空の道」、現在は震災による影響のため閉鎖中)、俵山峠、箱石峠などといった絶景快走ロードが数多くありますが、それらはいずれも阿蘇の外輪山を走る道。
阿蘇パノラマラインは、阿蘇カルデラの中心部、阿蘇のシンボルともいえる中岳へと駆け上がっていく道ですから、走り甲斐は格別でしょう。
3本の道はいずれも標高を徐々に上げていく草原ワインディングロード。視界には阿蘇の外輪山と草原風景が巨大なスケールで広がり、まさに大パノラマ。
その最奥部は高地の草原「草千里ヶ浜」を経て、約1・3キロの有料道路、阿蘇山公園道路(原付・二輪通行料200円)とつながります。火山ガスが絶え間なく発生する荒々しい山の姿は阿蘇の旅のハイライトシーンだけど、阿蘇山公園道路は火山活動の状況などによって、安全確保のため立入規制が行なわれることも。
こればかりは自然相手ですから、阿蘇山公園道路が走れるかどうかは、その時の運次第です。
阿蘇の旅めし①「あか牛」の焼肉
ここからは、阿蘇ツーリングに出かけた際に味わいたい、ご当地グルメをご紹介。まずは「あか牛」の焼肉。
あか牛とは、熊本県のブランド肉。熊本県畜産農業協同組合連合会のホームページによると、「現在の『くまもとあか牛』は阿蘇、矢部および球磨地方で飼われていた在来種とシンメンタール種の交配により改良された固有種で、昭和19年に和牛として登録されました」とのこと。あか牛は熊本系と高知系があるそうですから、ホームページではわざわざ「くまもとあか牛」と明記しているのでしょう。
肉質は赤みが多く、適度な脂肪分も含んでいて、旨味と柔らかさとヘルシーさを兼ね備えたもの。
あか牛がいただけるレストランや食堂はいくつもあります。筆者は道の駅「あそ望の郷くぎの」内にある「あか牛の館」(「あか牛」専門の焼肉レストラン)でいただきましたが、ほほが落ちそうな旨さ。ふだんは格安スーパーで売られている100gあたり150円以下の外国産肩ロースステーキばかり食べている筆者ですから、味の違いと肉の柔らかさに驚嘆(当たり前だ)。ガラス張りの店内からは阿蘇の広大な風景も眺められ、いい気分でした。
阿蘇の旅めし②「高森田楽」
高森田楽とは、阿蘇郡高森町の郷土料理。この地方の特産である「鶴の子芋」を含め、地元の豆腐、ナス、ヤマメなどを囲炉裏で焼いていただきます。田楽みそには山椒やゆずが使われていて、炭火で少し焦げたところが香ばしくておいしいのです。高森田楽を飲食店として最初に供した元祖の「高森田楽保存会」のほか、「高森田楽の里」、「高森田楽村」などでいただけます。
阿蘇の旅めし③「だご汁」
だご汁とは、具だくさんの汁に、小麦粉を練って手で延ばしてちぎった団子を入れた汁物のこと。「だご」は熊本弁で「だんご」の意味。具は里芋やゴボウ、人参、季節の山菜や鶏肉など。汁は鶏ガラ、干ししいたけ、煮干しなど、お店によってこだわりがあり、醤油味だったり、麦味噌や白味噌だったり、いろいろ。
この地における、いわゆるご家庭の味、おふくろの味なんですが、これがツーリングで疲れた身体に優しく染み渡るような旨さ、滋味深さで、筆者はだご汁をいただくたびに「阿蘇に来たなあ」と五臓六腑で実感するのです。
国道57号線沿いには、だご汁を提供する飲食店が何十軒とあり、「あそんだご汁街道」とも呼ばれています。
ということで阿蘇の「爽快ロード」と「旅めし」のご紹介でした。みなさん、安全運転でツーリングお楽しみください!
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