ツーリングライダーの聖地、伊豆半島! 中でも伊豆市はライダーウェルカムの自治体として知られていて、その特色と言えばダート林道が多いこと。伊豆市の主な林道を連載形式で紹介する。

【掲載林道 一覧】
1. 林道 年川線(としかわせん)
2. ゴルフ場外周林道 ※名称不明
3. 林道 達磨山線 支線(だるまやません しせん)
4. 奥の院裏山林道 ※名称不明
5. 林道 土肥中央線(といちゅうおうせん)
6. 林道 上池線(かみいけせん)
7. 林道 滑沢線(なめさわせん)
8. 旧道天城越峠線

【林道走行について】林道は、その所有者の如何に関わらず、そこで生活する地域の方のための道路です。林道で飛ばしたり、林道から外れた所を走ったり、焚き火やキャンプをするなどの行為は警察に通報され罰せられることもあります。また、林道の通行止めの要因にもなり、そうしたフィールドがまたひとつ失われることになります。マナーを意識した走行と振る舞いに気を付けましょう(^_-)-☆
【通行の可否】舗装工事、災害復旧工事などにより、取材当時と道路状況が大きく変化している可能性があります。実際に行かれる際には森林事務所等への通行可否の確認をお願いします

7. 林道 滑沢線(なめさわせん)

【DATA】●延長距離:約2.3km ●ダート区間:約1.4km ●通過時間:片道15分~ ●走りやすさ:★★★★☆ ●絶景度:★★☆☆☆
【概要】国道414号から入り、滑沢渓谷を経て、山中へと分け入っていくピストン林道。距離こそ短いが、ダート区間はフラットで走りやすい。道沿いには天然記念物の名木「太郎杉」も立っており、観光・休憩スポットにも最適。勾配のきつい所もないので林道ビギナーにもオススメできる心地よい林道だ。なお、滑沢線には少し荒れ気味の林道涸沢(からさわ)線と滑沢支線の2つの支線も延びている(どちらもピストン林道)。
滑沢線は、国道414号沿いの広場(林業用資材置き場?)から始まっている。起点には「林道交通安全」のノボリも立っている(上写真)。このノボリは伊豆市内の林道ではあまり見かけないので、バイクと一緒に記念撮影しておいた(笑)。なお、林業が活発に行なわれている証拠でもあるので、関係者車両を優先し、通行には注意しよう。

さて、走り始めは滑沢渓谷へと下りていく崖沿いの道から始まる。白っぽい砂利が敷き詰められたフラットダートで、雨天時でも心配ないものだ。その道をゆるやかに数百メートルほど進むと路面はいったん舗装路になり、道沿いには山葵田(わさびだ)も作られている。
ほどなく短い橋を渡るが、そこからの滑沢渓谷の景色はなかなか趣があってよい。滑沢渓谷は狩野川の源流にあたり、少しぬめっとしたツヤのある安山岩の一枚岩を流れ落ちる本谷川の清流が見どころだ。陽の光を受けると滑沢ブルーと呼ばれる美しい川面のきらめきを見せてくれ、観光客もよく訪れている人気のジオスポットだ。渓流沿いには遊歩道が延びており、竜姿(りゅうし)の滝などの名所も多いので、バイクを降りて散策するのもいいだろう。
その後は渓流をちらちらと左手に見ながら、ゆるやかに山中を上っていく。ほどなく、またダート区間が始まるが、ここでも砂利石がしっかりと敷かれていて走りやすい。この砂利石というものは全国各地の林道で見かけるが、多く敷き過ぎればフカフカとして走りづらく転倒にもつながってしまう。さじ加減の難しいものだと思うが、滑沢線に敷かれた砂利石の量は適度で、タイヤのグリップを損なわない素晴らしい状態だ。渓谷沿いにダートを進めば、ほどなく右手に林道涸沢(からさわ)線との分岐点が見えてくる(下写真の右奥が涸沢線)。涸沢線は交通量が少ないのか道路全体に雑草が伸びており、やや荒れ気味。道幅も狭く落石も多いのでクルマでは厳しそうだ。標高を上げていった先ではほとんど廃道と化しているが、ハイカーの中にはこの道を通って芭蕉の滝(伊豆半島で唯一完全に氷瀑となる滝)まで行く人もいるようだ。

涸沢線の中にも広場があり、そこからは10年以上前の崩落現場を一望できる。
分岐を直進し、さらにダートを数百メートル進むと、右手に県指定天然記念物「太郎杉」の案内板が見えてくる。太郎杉自体は目の前の急斜面に立っており、林道からはまさに見上げる感じだ。樹齢約450年とされ、高さ53m、幹回り約9.73メートルと天城山中で一番の巨木だ。周囲に若い杉を従えるような姿には威厳すら感じてしまう。太郎杉は個人的にも大好きで、天城方面に来た時にはよく立ち寄るのだ。
なお、太郎杉は意外と撮影が難しいことでも知られている。天気快晴の日には太郎杉だけに日光が直射し、周囲の景色と一緒に露出を決めるのが困難だからだ。少し雲の多い日がベストだろう。
さらに進むと路面は簡易舗装に切り替わる。すると、左手にまた分岐林道が現れる。標柱によると「滑沢支線林業専用道」とある。ダートを数百メートル進むと行き止まりとなり、まさしく林業のための道路といった感じだ。眺望や景観は特にない。
舗装路をそのまま直進していくと、すぐに広場が現れて終点となる。滑沢線はここまでだ。
【起点】国道414号に立つオレンジ色の東海バス「滑沢渓谷」バス停が目印。ここを入れば、まず資材置き場のような広場があって、その奥に林道が延びている。
【終点】本線は広場で行き止まりとなるので、ピストンで起点に戻らないといけない。広場には朽木がたくさん落ちているが休憩スポットにはうってつけの場所だ。
【ハイライト動画・本線と分岐線:約2分】起点から終点へ(2021年11月当時)

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