前回は【四国最西端「佐田岬」を目指す際に立ち寄りたいツーリングスポット】第1弾として、愛媛県伊予市の「日本一海に近い駅」下灘駅をご紹介しました。今回は第2弾。愛媛県大洲市にある、日本最古の道路可動橋「長浜大橋」についてお伝えします。

「日本一海に近い駅」下灘駅からバイクで15分

 長浜大橋は、下灘駅から瀬戸内海沿いの国道378号線(夕やけこやけライン)を西へ走ること、約12㎞。
 愛車の鼓動を感じながら、右手に海を眺めつつシーサイド・クルージングを楽しんでください。道が混雑していなければ15分ほどで到着します。
 長浜の街に入ったら、旧道にスイッチ。長浜商店街に向かいます。道案内も出ていますので、迷うことはないでしょう。

「国の重要文化財」の上をバイクで走る

長浜大橋

 商店街には「祝! 国の重要文化財 指定」の横断幕が。長浜大橋は、1935年(昭和10年)8月に完成した、日本最古の道路可動橋(バスキュール式鉄鋼開閉橋。バスキュール式とは、跳ね上げ式のこと)。2009年(平成21年)2月、国の近代化産業遺産として認定され、2014年(平成26年)12月には、国の重要文化財に指定されたそうです。
 国の重要文化財の上を、愛車で走ることができる。そんな経験は滅多にできませんよね。長浜大橋

長浜大橋

 愛媛県最大の一級河川・肱川(ひじかわ)の河口に架かる、長浜大橋。全体が赤く塗装されていることから、「赤橋」の愛称で呼ばれることも。
 昭和10年に作られたとは思えない、延長約232m、幅6.6mの堂々たる道路橋です。
 1977年(昭和52年)にコンクリート造りの新長浜大橋が完成してからは、メインルートとしては使われなくなりましたが、今も生活道路としてバリバリの現役。
 いえ、生活道路としてだけでなく、重要な観光スポットとしても活用されています。だって建造から80年以上が経過した今でも、点検・観光目的のため、橋の開閉が行なわれているんですから。
 歴史的建造物でもある古い道路橋が、ゴゴゴゴゴッと跳ね上がっていく。その瞬間を見てみたいと思いませんか?

ついに来た、わずか3分ほどの貴重な光景

 いざ、その時を待ちます。
 橋のどの部分が、どのように動くのか。道路可動橋が実際に稼働するのを見るのは筆者も初めてですので、ただただワクワクして待つのみです。
 ほどなくして橋に備えつけられていたスピーカーから大音量のメロディ。橋を渡ろうとしていた軽トラが、橋の真ん中あたりで動きを止めました。歩行者も立ち止まります。
 ん? 橋が動き始めた!

長浜大橋

 生まれて初めて、橋が跳ね上がる瞬間を目撃しました。上がり始めてから下がり切るまでの時間は、3分ほどだったでしょうか。
 開閉部分の長さと重さは、18m、82tだそうです。昭和10年に、よくこれだけのものが建造できたなと感動。
 当時は船による輸送手段が重要で、長浜は肱川の水運の拠点でもあったため、こうした可動橋が建設されたのだとか。
 長浜大橋が開閉するのは、毎週土曜・祝日の午前11時と、毎週日曜の午後1時(年末年始は除く)。ただし2020年(令和2年)10月に開閉設備が故障したため、現在、開閉は中止して復旧の真っ最中。大洲市役所の長浜支所に問い合わせたところ、来年度中(2023年度中)には復旧できるのではないか、とのお話でした。詳細は大洲市の公式サイトでも公表されるそうです。橋の通行は可能ですが、開閉に関しては早期復旧を期待して待ちましょう!

ご当地ちゃんぽんをいただく

 旅に出たなら、旅先ならではの料理をいただく、これぞ旅めし。この日はちゃんぽん。

長浜大橋

 ちゃんぽん発祥の地は長崎ですが、佐賀や久留米、滋賀県彦根市など全国にご当地ちゃんぽんがあるようで、愛媛県の場合も県西部に八幡浜(やわたはま)ちゃんぽんという一大ちゃんぽん勢力が存在している模様。
 八幡浜ちゃんぽんは長崎ちゃんぽんのように白濁しておらず、黄金色のすっきり系。鶏ガラや鰹節、昆布などでダシを取り、具はたっぷりの野菜と豚肉、そして港町・八幡浜らしくカマボコやじゃこ天などの水産加工練り製品がタッグを組んでいます。
 大洲市長浜でいただいたちゃんぽんも、八幡浜系でした。長浜から八幡浜市までの距離は20kmほどと、近いですからね。あっさりサッパリ、野菜たっぷり。長旅で胃腸の弱ってきた身体には、優しい味がよく染みるのです。
 八幡浜市は、佐田岬半島の付け根にあります。佐田岬ツーリングに出かけたら、八幡浜ちゃんぽんもお試しあれ。ではまた。

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