連載企画の「ハンターカブで行く北海道ツーリング」。
【出発編】
【上陸1日目】
【上陸2日目】はコチラです。
本日は、3日目の朝食をご案内です。
北海道に上陸して3日目の朝です。おはようございます。
本日の天気は上々、晴れ間が見られます。朝からいくら丼を食べるという、非日常感でお腹を膨らませます。昨日は知床半島のオホーツク海側、陸路で到達できる最東端に位置するカムイワッカの滝へ行ってきました。ちなみにこのカムイワッカの滝を含む知床半島の大部分は世界自然遺産に認定されています。
昨日の模様はコチラ
今度は海上から知床の自然を眺めることにします。ウトロ港発の知床観光船は、3時間45分かけて知床岬の先端までを往復します。事前予約はしていなかったものの運良く空きがあったので、大勢のバスツアー客とともに船に乗り込みます。
知床遊覧船からの世界遺産
海からそそり立つ豪快な岩盤とそこから溢れ出る緑、そして船を揺らすいくつもの波。観光名所に近づくたびに流れる船内アナウンスに耳を傾け、望遠レンズを装着したカメラを陸地へ向けます。
目当ては熊。北海道なのでもちろんヒグマです。
遭遇率は9割と聞いていたので「必ず撮ってやる」と意気込みます。ハンター気分で岩場や草むらをファインダー越しに睨みますが、見つからない。甲板に立つ案内員が「あそこにいますよ!」と時折声をかけてくれるけど、ファインダーの中におさめることができない。しかも何度も。悔しくて仕方ありません。
探し続けて3時間を過ぎますが、まったく目視できず。
昨日、訪れたカムイワッカの滝が間近に迫ってきました。温泉を含んだ大量の水が海に流れ込んでいます。ウトロ港まで残りわずか。もう熊を見ることはできないかも、と弱気になった瞬間、案内員の声が上がります。
「あそこの岸壁に熊がいますよ!!」
ついに発見! 目視できました!
3時間半は無駄ではなかった。待望の熊との遭遇
しかも親子です。撮影に成功しましたが、遠過ぎて豆粒のよう。上の写真はその拡大版なので、画像が粗く残念ですが、熊の親子の姿をしっかりと確認できます。ファインダー内で動く熊の親子。子供を気遣いながらノソノソと歩く母熊に大興奮、目的達成です。
なぜ大きい方が父親ではなく母親なのか。それはヒグマの習性から推測した結果です。父熊は子育てをしないからです。
ヒグマは夏から秋にかけて交尾をし、妊娠したまま寒い冬に突入します。その後、巣穴の中で出産します。赤ちゃん熊の体は母親の大きさからは想像できないほど小さく500gほどだとか。その後、巣穴で5キロほどまで大きくなり、春になり雪が溶け始める頃、外界へ出ていきます。
今回撮影できた個体は、それよりももっと大きく感じたので、1歳半くらいでしょうか? 昨日見た生まれたての子鹿に比べ、足取りもしっかりしてます。子供が親と一緒にいる期間は、1年半から2年半。その後、親離れします。そろそろひとりで獲物を狩ることができるのかな? などと思いを巡らせます。
波も風も穏やかだったので、3時間45分でクルージングは予定通り終了しました。ウトロ港で待っていたハンターカブにまたがろうとし、ふと羅臼方面に目をやると、快晴ではありませんか。そう言えば、船上から見た南方面の空の色は青。昨日は霧の中だった知床峠も眺望が開けているかも? これはリベンジできるに違いない、と考え、知床横断道路を知床峠へ向かいます。
ぐんぐんと高度を上げていきます。時折眼下に広がる快晴のオホーツク海。期待を胸にいざ知床峠へ。
またしても霧の知床峠
なかなかうまくいかないもので、知床峠はまたしても霧。羅臼側は視界が効かず、下りて行くのが怖いほどです。
「こりゃだめだ」と踵を返し、再度ウトロ側へ戻ることにしました。
すると。羅臼岳がひょっこりと現れたのです。
苦節14年。初めての光景に目を見開きます。こんなに間近に潜んでいるとは思ってもみなかったです(ツーリング雑誌やWEB上の写真は見たことはありましたが)。山から降りてくる冷気にも影響されその距離感と存在感に圧倒されました。リベンジ成功です。
しかし、羅臼岳はすぐにまた霧の中へ。自分のために姿を見せてくれたのかしら、ありがとう、と心の中でお礼を言いつつウトロへ下ります。
13時を過ぎていたので、お昼はセイコーマートのおにぎりで軽く済ませます。またしても魚卵(すじこ)。
魚の卵は、ボリュームも栄養もたっぷり、そしてプリン体もたっぷりです。余談ですが尿酸値が気になる年頃となりました。14年前は財布の中身が気になって、ほとんど贅沢はできずに、セイコーマートのお世話になりました。お得で、しかもうまいお弁当やホットスナックに頼ったツーリングをしたことを思い出します。
セイコーマートは北海道を中心としたコンビニエンスストア。道内に1000軒以上あるので、北海道ツーリング中でよく目にします。上陸1日目のキャンプ場の近くにもあり、お弁当やお惣菜以外にも、野菜やジンギスカン用に味付けされたお肉なども販売されているので、キャンプ飯を充実させることも(手を抜くことも)できます。
しかも北海道色豊かな飲食物がずらりとあるので、手軽に北海道食を満喫したりお土産物を購入できるので、ツーリングライダーにとって大変重宝するお店です。
天気は目まぐるしく変わり、雨模様に
ウトロは快晴でしたが、進行方向の空には黒い雲が立ち込めています。斜里の市街地を過ぎたあたりで、予想通り雨がポツポツと降り出してきました。路肩にバイクを停め、レインウエアをトップケースから引っ張り出します。
先ほどの知床峠の路肩や斜面には雪が残っていましたが、麓は穏やか。とはいえ、太陽が雲で遮られ雨が降り出すと、途端に気温が下がります。6月は北海道ツーリングにまだ早かったのか、それとも平日だったからなのかはわかりませんが、すれ違うライダーが極端に少ないのは、この気温のせいかもしれません。先ほどの知床観光船には観光客が大勢いましたが、道中すれ違う車のナンバーや大型バス、そして休憩スポットは閑散としています。渋滞や、騒がしいのが苦手な筆者にとっては最高のタイミングかと。
ちなみに筆者は、真冬用のライディングギアを装備し、グリップヒーターと電熱ベストを使用しているので、寒さの影響は皆無です。オンシーズンの7、8月を外した6月は、北海道ツーリングには個人的には良い季節と実感しました。
レインウエアに袖を通しつつ、道路の脇にふと目をやるとかわいい生き物を発見。子狐です。
まだふかふかとした毛並みの兄弟狐たちが、ピョンコピョンコと畑を走り回ります。少し離れたところには親ギツネの姿も。こちらはこの春に生まれたばかりなのでしょう。まだ小さい子供らしく二匹で戯れあい、元気よく飛び跳ねます。尻尾の先が白いのがラブリー。
北海道に上陸後、鹿、熊、そして狐の親子に出会いました。過去の北海道ツーリングでも幾度となく動物に遭遇していますが、親子連れに出会うのは初めて。6月はちょうど子育てシーズン。狙ってきたわけではありませんが、この季節を選んで大正解です。動物好きにはたまらない旅となりました。
上陸して2回目の給油はホクレンのガソリンスタンド。毎年ライダー向けのキャンペーンが開催されていて、2022年は給油したライダーに限り、ステッカーを購入できました(フラッグもありました)。道東エリアは鮭のイラスト入り。これは全種類集めたくなりますね。
今回の北海道ツーリング、帰宅する日も決めていなければ、帰りのフェリーの予約もしていません。先を急ぐ理由は特にありませんので、今晩は、隣町である網走で一泊することにします。雨も降ってきたので、今日はあまり距離を走らずにゆっくりすることに。
コンビニ(もちろんセイコーマート)の軒先でスマートフォンをいじり、ホテルを予約します。ハイシーズンではなく平日ということもあって、すんなりと宿をとれました。
まだ陽がある時間にチェックインできたので、ホテルで借りた傘を片手に網走市街を散策しつつ、夕飯を楽しむ居酒屋を物色します。網走の繁華街はJR網走駅から少し東に逸れた場所。飲み屋が軒を連ねますが、早い時間かつ雨のためか、やや閑散としています。
「さて今宵は、何を肴に酒を飲もうか」
ふと街灯を見上げると、クリオネを模したモニュメントが至る所に。流氷の街だということを実感できます。
初めての街をふらふらしつつ、自分の直感を信じ暖簾をくぐるのが大好き。街の空気をしっかり吸い込みながら、ぐるりと一周。何軒か迷ったのちに、焼き鳥屋に吸い込まれました。席につきメニューを見る前に瓶ビールを注文。大瓶が来たことにニヤリとし、ツーリングで疲れた喉を潤します。
明日は、日本の蕎麦の聖地「幌加内(ほろかない)」で蕎麦を食べ、夜は旭川の街を楽しむ予定です。
(つづく)