南アルプスエコーラインという名の道、ご存じでしょうか。知っていたなら、かなりの通。そこは知る人ぞ知る、稀(まれ)な道。なんたって、直径約45mの「小惑星」が衝突した場所のすぐ横を通る山岳ワインディングなのですから。
日本のチロル「下栗の里」
南アルプスエコーラインは、長野県飯田市の東、「下栗の里」からスタートします。
下栗の里は、山肌の急傾斜地に道を拓き、畑地や宅地を切り開いた山里。人間の暮らしと自然が見事に調和したその景観は、オーストリアのチロル地方(アルプス山脈東部の地域)に似ているとして、日本のチロルとも称されている場所です。
標高は800~1100m、2009年には「にほんの里100選」にも選ばれた絶景地。
この景色を眺めるためだけにツーリングしてもいいぐらいの美しさですが、先へ進みましょうか。道幅はクルマがすれ違えないぐらい細いので、運転は慎重に。
南アルプスエコーライン
下栗の里から、北北東の位置にある「しらびそ高原」までを結ぶのが、今回ご紹介する「南アルプスエコーライン」です。距離にして、約15㎞。
名前は「伊豆スカイライン」や「ビーナスライン」みたいで立派ですが、道路の規模で言ったら狭路の山道。舗装化された林道です。決してスポーツ・ライディングを楽しめるような道ではないものの、景観は素晴らしい。
南アルプスエコーラインという名前の通り、視界が広がる区間では南アルプスの眺望が楽しめます。
下栗の里から、南アルプスエコーラインを走ること約15㎞。到着するのは、しらびそ高原。標高約1900m、南アルプスはもちろんのこと、北アルプスや中央アルプスまで360度のパノラマが眺められる絶景スポット。
しらびそ高原には、レストラン&宿泊施設「天の川」がありますので、食事休憩や宿泊にどうぞ。
道の途中に隕石クレーター!?
南アルプスエコーラインのハイライトシーンは、何といっても「御池山隕石クレーター」。道を北上していて東側に広がる大空間が、まさにそれ。
一見、ふつうの谷底にしか思えないのですが、道路脇に立てられた総合案内板などを見れば、誰もが「ええっ!」と驚くはず。
そこは、今から2万~3万年前、直径約45mの小惑星が衝突してできたものと推測される、御池山隕石クレーター。
2万~3万年前というと、氷河期の終わりごろ、日本列島が中国大陸につながっていて、ナウマンゾウが生息していた時代だそうですが、日本に小惑星が燃え尽きることなく激突していただなんて、想像もできません。
その衝突によってできたクレーターの直径は、900m。尾根沿いの急な斜面にできたクレーターなので、浸食によって崩れた部分も多く、現在残っているのは全体の40%ほどだとか。
どうです? 南アルプスエコーライン。興味をそそられませんか?
モトカフェ木沢小学校
さて、南アルプスエコーラインのスタート地点である「下栗の里」へは、国道152号線から分け入っていくわけですが(全線、狭路につき注意!)、その国道152号線沿いにはライダーが注目すべき立ち寄りスポットがあります。それは「旧木沢小学校」。
廃校になってしまった校舎を利用した地域歴史博物館で、ここでは年に2度、ライダーのためのイベント「モトカフェ木沢小学校」が開催されるのです。
2015年から始まったこのイベント、ここ数年は新型コロナの影響で開催できていませんでしたが、ついに2023年4月15日(土曜)、再開することに!
昔ながらの木造校舎の教室や、校庭にずらりと並んだバイクを眺めながら、その日知り合ったライダーたちとコーヒーを飲む。ただそれだけのイベントなのに、胸がじんわり温まるのです。
久しぶりの「モトカフェ木沢小学校」、今年も晴天に恵まれますように。
今回、コーヒーなどのドリンク類の販売方法は【事前購入のチケット制】になっています。チケットの販売開始は4月8日(土)20:00からです。興味のある方は、下記のリンク先から公式サイトをご覧ください。イベント概要、アクセス方法、問合せ先など、詳しく掲載されています。
ということで、南アルプスエコーライン。下栗の里や御池山隕石クレーター、しらびそ高原など、見どころが豊富ですので、あなたもいつか、ぜひ!
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