前編に続いて、九州中央自動車道の延伸でアクセスが良くなる、熊本県・山都町(やまとちょう)のツーリングスポットを紹介する。山都町は南阿蘇・外輪山の南に位置しており、阿蘇や高千穂といったエリアに隣接している。

前編では、蘇陽(そよう)地域や長崎地区のスポットを紹介したが、後編では長崎地区から国道218号に戻って西進し、町の中心市街でもある矢部地区へ向かう。
なお、校内で原付免許が交付されたり、バイクの部活「二輪車競技部」があることで知られる県立矢部高等学校もここにある。

名物のこだわりチキン! “矢部のケンチキ”

矢部地区と言えば、山都町を代表する観光地「通潤橋(つうじゅんきょう)」があることで知られているが、その前に腹ごしらえを。町内には名物が数あれど、今回オススメするのはコレ!

“矢部のケンチキ”こと「丸重本舗」のフライドチキン! あ、ケンチキとは健康チキンの略ですから。そこんところヨロシクお願いしますね。

訪れたのは丸重ミート本店。創業40余年の丸重ミートは、本店を含めて熊本県内に4店舗を展開する有名店だ。ネットショップから購入することもできる。
店内は、オシャレな精肉店といった雰囲気だけど、レインボーカラーの“矢部のケンチキ”が激しく主張していてグッド!
こだわりのフライドチキンは、鹿児島県産のハーブ鶏を10種類もの調合スパイスで味付けして揚げたもの。さっそく、「もも(430円)」と「はね(380円)」をテイクアウトして、すぐ近くの「道の駅 通潤橋」へ。
ぱかっと割ってみた。見た目がアレでスイマセンが、新鮮な鶏肉の輝きとほわーんと漂う油&スパイスの入り混ざった香り。

一口ほおばると、鶏肉の歯ごたえと甘味、それらを包み込むような上品なスパイシーさ、ほどよくパリパリとした皮にも味がしみ込んでいてウマい! ファンがやみつきになる理由がよくわかった!

ちなみに、建設中の山都通潤橋インターチェンジのすぐ目の前にも「丸重ミートバイパス店」があるので、高速道路が開通したらぜひ速攻で味わってほしい!

丸重ミート本店/営業時間:8~18時・日曜休 電話:0967-72-0447
丸重ミートバイパス店/営業時間:9~20時・正月のみ休 電話:0967-72-0292 ※建設中の山都通潤橋インターチェンジの向かい

山都町を象徴するスポット「通潤橋」

ランチの後は、そのまま通潤橋を観光。江戸時代の嘉永7年(1854年)に白糸大地の水不足を解消するために地元の大庄屋さん・布田保之助(ふた やすのすけ)が造った日本最大級のアーチ式水路橋だ。

6kmほど離れた笹原川の上流から水を引き、総延長30kmほどの水路を整えて水田に水を送っており、国の重要文化財に指定されている。
田んぼに水を張る5月中旬から7月下旬、冬期の12~3月を除いて、10~15時に放水が行われていて見学できる。
放水日は橋の上からも観覧できるが、橋の上に行くためにはチケットが必要なので注意。道の駅内の物産館内に券売機が置かれている。
道の駅には、食事処のほか物産館や通潤橋資料館、民俗資料館を併設しており、どれも見ごたえ十分だ。
暑い夏場は甘味と渋みがたまらない「矢部茶ソフトクリーム(400円)」もオススメ!

道の駅 通潤橋/営業時間:9~17時(食事処は11~15時)・火曜休(物産館と食事処)と年末年始休 電話:0967-72-4844

市街地からすぐなのに秘境感満点の「五老ヶ滝」

道の駅通潤橋の次に向かったのは、すぐ近くにある絶景スポット「五老ヶ滝(ごろうがたき)」。山都町は滝の多い町だが、その中でも最大で、矢部四十八滝を代表する豪快で美しい滝だ。
ここも前編で紹介した長崎鼻展望台と同様、ほとんど整備されておらず、バイクも布田(ふた)神社の駐車場に停めてから、ひっそりとした遊歩道を下っていく。
大きな観瀑台などはないが、五老ヶ滝つり橋の上がベストビュー。阿蘇山噴火の際にできた溶岩層の崖を50mほどの落差で滑り落ちる滝の姿は、これぞ秘境の滝という雰囲気を漂わせている。

しかし、実際には町役場からも1kmほどの近場。歩いて来られる距離にこんな名瀑がひっそりと残されているところに山都町のポテンシャルをひしひしと感じてしまう。

五老ヶ滝/電話:0967-72-1115

副町長さんに、いちライダーとしてお願いしてきた!

さて、高速道路の延伸により来年はいま以上に多くのツーリングライダーが訪れるだろう山都町だが、今回実際にツーリングしてみて気になった点もちらほら。その点をなんと! 副町長の楢林力也さんに役場で直接お願いさせて頂いた。
まず気になったのは、町の中心部に間口の広い(旅行代理店サイトで検索できるような)宿がなかったこと。この点については、休業中の「通潤山荘」を年内を目途に再開すべく動いているという。

通潤山荘が営業を始めれば、インターから2kmの好立地で、30室・130名ほどが宿泊できるようになる。温泉も備えていてマスツーリングの宿泊先としてもフル活用できるはずだ。

次に、インターチェンジの目の前に建設中の道の駅についても、バイク駐輪場への屋根の設置と床材のコンクリート化についてお願いした。市街地でも標高400~500mほどの山都町は平野部よりも各月平均で4度ほど低い気温となる。雨や風の日は、やはり屋根は欲しいところだ。

阿蘇や高千穂といったツーリングエリアに隣接するだけでなく、独自の観光資源が多い山都町をただ走り抜けてしまうのは本当にもったいない! ぜひ、ライダーウェルカムの自治体として町の観光と地域活性にライダーの力を活用してほしいと思う。今後の山都町にますます期待したい!

【2023年7月の豪雨災害の影響について】
国道445号の金内橋(山都町中島)が崩落したが、う回路があるためバイクの場合は問題ない。大型バス・トラック等は通行不可。

SHARE IT!

この記事の執筆者

この記事に関連する記事