香ばしい昭和のスポットをスーパーカブ110で探訪する当連載。道志みちを抜けて山中湖畔の民宿に泊まり、富士吉田市に足を運んだ。そこにはレトロ看板や木造住宅などなど、まさに昭和で時間が止まったような商店街が!
山中湖まで歩いて63歩、朝焼けの富士山を拝むのだ
民宿朝富士の夜も更けて翌朝。徒歩0分の距離にある山中湖から朝富士を見てやろうと思い、6時半に起床した。とても快適に眠ることができ、このシリーズの取材では初めてまともな宿に泊まった気がする(笑)。
なんと63歩で到着! 湖畔からは壮麗な富士山の姿が!
気を取り直して朝飯だ。隣室の方はまだのようで、食堂には私一人のみ。焼き鮭、納豆、目玉焼きなどオーソドックスなメニューがうれしい。
早速、支度をして次の目的地に向かうとしよう。精算の際、おかみさんに話かけてみた。
「この宿はだいぶ長いんですか?」
「そうですね、私が嫁いできた頃からです」
「ということはかなり最近ですね」などと軽口を叩く笑。おかみさんは70代。創業は50年ほど前で、昭和40年代ということになる。
50年前の建物ながらリフォームをしているため、とてもキレイ。5、6分離れた場所に家族と住んでいて、忙しい際には旦那さんが手伝いに来てくれるという。
「テニスコートが近いので夏は合宿でほぼ満室」とのこと。山中湖といえば「逆さ富士」が有名だけど、風と波がなければ結構見られるという。逆に赤富士は、運がよくないとなかなか難しいらしいが、寒い時期には続けて見られることもあるそうだ。
宿泊客は、写真撮影を目的に来る人が多い。
「お客さんに写真とか動画とか色々見せてもらうんです。私も地元にいながら知らないことがいっぱいあるんですよ。富士山に『笠雲』ができるんですが、動画で見せてもらうと回ってるんですよね。子供の頃から見てきたけど、初めて知りました」とおかみさん。
近くにいるからこそわからないこともあるのかもしれない。
忍野八海、河口湖を巡って、レトロ商店街へ!
民宿朝富士を出て、まず向かったのは「忍野八海」。おかみさんとの会話でお勧めされたので急遽足を運んでみたのだ。距離はバイクで10分ほど。ただ海外からの観光客でごった返していると言っていたので、どうなるかと思ったら、案の定、大混雑だった(笑)。
二輪駐車場が見つからなかったので横目で見ながら、すぐ退散。そして向かったのが河口湖だ。
こんな風にブラブラした後、本日のメインイベントである富士吉田市のレトロ商店街に行った。ここで昼飯を食べようと思って時間調整していたのだ笑。
到着して、いきなり目に入ったのが「ミリオン通り」。
富士吉田市は、織物産業が盛んだった昭和30年代、県内外から集まった業者たちで大変な賑わいを見せたという。商いの後に娯楽を楽しむための歓楽街として、月江寺通り、西裏地区が栄え、その名残りが今に続いている。また、本町通りにはかつての織物問屋などの面影を残す商店街があるのだ。
なお、グーグルでは「富士吉田レトロ商店街」の名前で登録されているので気になった方はゼヒ。
なんとも味わい深い街並み、これは必見!
ここからは写真をメインにお届けしよう。バイクを停めて、まずは西浦地区の路地裏を歩いてみた。最盛期はこの地区に数百件もの飲み屋が並んでいたそうだ。
さらに周辺をバイクで移動してみると、3階建ての木造住宅や、石造りの家、土塗りの壁、レトロ看板の数々が発見できた!
街並みを見て、往年はさぞ賑わって景気がよかったのだろうなぁと感慨深くなった。
それにしても、いくつかのレトロ商店街を見てきたが、ここまで大規模に古い街並みが残っている地域は珍しいのではないか。時の荒波を受けて風化しつつある建物は多いものの、しっかり踏ん張って営業している店もあるのが頼もしい。
「昭和のまま時間が止まってしまった」とはよく使われる言い回しだが、平成、令和と時代が変わったのではなく、この地域は昭和のまま時代を重ねているのではないか。そんな不思議な気分にさせられる。
ちなみに富士山をバックに商店街の写真が撮れることで有名になったと後に聞いたが、私が訪れた際は曇りだったので、まったく富士山は見えていない笑。
さっそく昼飯! イイ感じの食堂にゴーと思ったら?
そんなこんなで11時ごろに。ちょっと早いけど昼飯にしよう。レトロ商店街の近くにある、お目当ての食堂に行ってみたら・・・・・・閉まっている。グーグルなどの情報を見てみると開店時間なのだが。
しばらく待って店の前から電話をかけてみた。すると今日は休みとのこと。相変わらず休業運の引きが強い笑。
さて、どうしよう。山中湖畔にもう一軒、とても「気になる」ドライブインがあるので戻って足を運んでみるか。
走ること約30分。ナントこっちも閉まっていた笑 近くに有名で美味しい富士吉田うどんの店があるが、それじゃあ「昭和レトロ紀行」とは言えないし。というわけで、また富士吉田市に戻る私であった・・・・・・。
【次回、感動の最終回!】