バイクで行くキャンプの場合、荷物は少しでも減らしたいものですよね。キャンプ用チェアなんか、なくてもいいかな。レジャーシートを敷いて、そこに座ればいいんだし……。確かにその通り、なのですが、やっぱり椅子があると腰がラク。疲労の回復度が全然違います。それに雨が上がったばかりのキャンプサイトは地面が渇いておらず、ふつうのレジャーシートだと泥水が染みてくることも。ということで今回は、キャンプ用チェアのお話。キャンプツーリングには、どんなキャンプ用チェアが向いているのか。一緒に考えてみましょう。

キャンプ用チェア、タイプ別の「一長一短」

キャンプ用チェア

 これらは筆者がキャンプツーリングで使用している、キャンプ用チェアです。それぞれ一長一短があるので、用途によって使い分けています。
 一番左の小さな椅子は、トランキンというメーカーのフォールディングスツール(価格は千円少々)。折りたたむとA5サイズの昭文社『ツーリングマップル』ぐらいの大きさですから、荷物が小さくまとめられるという利点が。ただし座り心地は、推して知るべし。
 真ん中の椅子は、AMAZONで購入した、ポンコタンのウルトラライトフィットチェア(価格は3600円ぐらい)。一流メーカー・ヘリノックスの大人気モデル「チェアワン」を模したものですね。本家ヘリノックスのものは価格が3倍ぐらいします。しかも本物だと、うっかりテントの外に置いたまま寝てしまったりすると盗まれる、という心配も。フリマサイトで盗品が売られている、なんて話も聞きますから、偽物でいいかと。メリットは、盗まれにくい、畳むと比較的コンパクト、ということ。デメリットは、座った時の姿勢、でしょうか。
 一番右は、コールマンのコンパクトチェアⅡ(廃番)。現在はコンパクトクッションチェアという名称で後継品が販売されています(価格は1600円ぐらい)。座った時の安定感が高く、スチール製フレームが頑丈で構造もしっかり。ですがスチール製のため重く、収納時のサイズが大きくて、リアバッグの中に収納する気になれません(なのでバッグの外に積みます)。

座った時の姿勢に違いが

キャンプ用チェア

 「こんなに変わるのか!?」と驚くほど、座った時の姿勢に違いが出ます。左のフォールディングスツールだと、やや前のめり。座面も脚部も面積が小さいので、後ろに反り返るとひっくり返りそうになります。こんな姿勢で一時間も座っていると腰が痛くなってきて、「一時間も立ちっぱなしでいるよりはマシかも知れない」と自分を慰めたくなります。
 真ん中のヘリノックス風だと、ビグスクに乗ったお兄ちゃんみたいな姿勢に。ラクではありますが、この姿勢では調理や焚火いじりがしにくい。構造的にも華奢な感じがして、壊れやしないかと内心ヒヤヒヤしたりも。本物だったら不安が少ないのでしょうか。
 一番右のコールマン製は、背もたれがほぼ直立(高さは60cm)、がっしりした座り心地に安心感が得られます。小学校の教室のちいさな木製椅子に、大人が座った時のような姿勢。調理や焚火いじりはもちろん、机があれば授業も受けられそう。

収納時のサイズを比較してみる

キャンプ用チェア

 組み立てたときは一番大きかったヘリノックス風(正しくはポンコタンのウルトラライトフィットチェア)が、意外とコンパクト。実測すると36×10×10cmでした。2リットルサイズのペットボトルよりやや太く、少し背が高いぐらい。これなら容量50リットル以上のキャンプツーリング用リアバッグに収納する気になれます。コールマンのは実寸で60×13×13cmぐらいですから、ヘリノックス風のチェアの約2倍ですね。
 というわけで、筆者はこれらのキャンプ用チェアを、以下の用途で使い分けしています。
 通常のキャンプツーリングには、平均点の高さから真ん中のヘリノックス風を持参。
 大勢の仲間とキャンプ宴会を楽しむ際は、長い時間どっしりと座れるコールマンのコンパクトチェアを持参。
 静かにひっそりと過ごすソロキャンや、バイクへの積載時にスマートさが求められるメディア撮影時には、もっともコンパクトなフォールディングスツールを持参。
 つまり、キャンプツーリングに向く〈キャンプ用チェア〉選びに、唯一の正解はない、ということなんでしょうね。

それぞれの構造を比較してみる

キャンプ用チェア

 フォールディングスツールは、その名の通り、折り畳み式。組み立ても、収納もカンタンなので、気楽です。組み立てた状態でも約28.5×16×28.5cmとコンパクトなので、就寝時はテントの前室にそのまま置いておくことができます。

キャンプ用チェア

 ヘリノックス風は、組み立てにやや時間がかかります。また、筆者の使っているテントは前室が狭いので、就寝時に組み立てたままの状態で置くことができません。無理矢理テントの中に入れ、邪魔だなと思いつつ眠るか、面倒でもいったんバラして眠り、翌朝にまた組み立て直すかの決断を迫られます。テントの外に出しっぱなしだと、偽物は盗難の心配が少ないとはいえ突風で吹き飛ばされたりして(約900gとかなり軽い)困るのです。

キャンプ用チェア

 使用時は、ジュラルミン合金フレームを差し込んでいる部分がいつかは破れたりして使えなくなるんだろうなと想像しながら座ることになります。逆に申せば、この手の商品を購入する際は、この部分が頑丈にできているかどうかしっかり検討してください、ということでもあります。

キャンプ用チェア

 コールマンのコンパクトチェアは、広げればすぐに座れるし、畳むのも一瞬と手間いらず。就寝時の面倒もありません。キャンプ用チェアをテントの外に出しっぱなしにしていると、夜露でびっしょりと濡れて朝すぐに座れなくなりますからね。そういう意味でも、すぐに畳んで仕舞える構造というのは利点です。

キャンプ用チェア

 コールマンのコンパクトチェアは、フレームの取り付け部がプラスチック樹脂で強化されている点も優秀。ここ、キャンプ用チェアでもっとも壊れやすい箇所のひとつなんですよね。

キャンプ用チェア

 安い商品だと(コールマンのも充分に安いけど)、布地にビス止めしているだけだったりして、壊れやすいのです。ここ以外の箇所でも、コールマンのものは頑丈に作られていて、筆者の愛用品はもう10年以上も問題なく使えています。

キャンプ中に壊れてしまったら

 その時はいさぎよく、諦めましょう。完全に壊れた時はもちろん、壊れそうだな、と感じたら、すぐに使用をやめましょう。体重をかけて座っている最中に壊れると、尖ったビスやフレームでケガをする危険があります。
 いざとなったらレジャーシートを敷いて、そこに座ればいいのです。お尻は痛くなりますが、ケガをするよりはマシです。ちなみに筆者の友人で、愛車のシートを外して腰かけ代わりにしていた猛者もおりました。

キャンプ用チェア

 こんな感じ。確かに座り心地は素晴らしいのですが、尖った砂利や硬い石でシート裏が壊れたら困ります。マネしないほうがいいと思います。ではまた。

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