だいぶ暖かくなってきた3月中旬のとある日。クロスカブ110で峠越えツーリングでも楽しもうと出かけたのは、陣馬街道。陣馬街道は甲州裏街道とも呼ばれ、東京都八王子市で甲州街道(国道20号)から分かれ、都県境の和田峠を越えて神奈川県相模原市へと通じる道。これがいい感じのカントリーロードなのであります。

八王子の恩方はあの童謡の?

陣馬街道

 八王子中心部から陣馬街道をたどっていくと、数キロで上恩方町(かみおんがたまち)に入ります。ここは童謡「夕焼小焼」の作者・中村雨紅の生まれ故郷。
夕焼け小焼けで日が暮れて 山のお寺の鐘が鳴る お手々つないでみな帰ろ カラスと一緒に帰りましょう
 日本人なら誰もが歌ったことのある、ノスタルジックで優しい気持ちに包まれる童謡。
 上恩方町には昭和47年に亡くなった中村雨紅の資料や作品を展示する夕焼小焼館があります。夕焼小焼館が建てられているのは、自然体験型レクリエーション施設「夕やけ小やけふれあいの里」の敷地内。
 まずはここへ立ち寄ってみます。

夕やけ小やけふれあいの里

陣馬街道

 無料の広い駐車場にクロスカブを駐め、北浅川に架かる木製の吊り橋「夕焼小焼橋」を渡れば、右手に管理事務所。入場料はおとな200円、子供100円。

陣馬街道

 広い敷地にはお花畑や広場、魚釣り場や川遊び場、キャンプ場やBBQサイトまであります。

陣馬街道

 子供が喜びそうなアスレチックもこの通り。

陣馬街道

 ポニーの体験乗馬や、ウサギやモルモットのえさやり体験ができるふれあい牧場も。

陣馬街道

 懐かしいボンネットバス。これが2007年まで陣馬街道を現役で走っていたというから驚き。

陣馬街道

 水車小屋の前には、じゃぶじゃぶ池という水遊び場もありました。
 ここ「夕やけ小やけふれあいの里」は、基本的に子供たちを遊ばせるための施設なのでしょうが、屋根付きのBBQサイト(1炉6人まで使用可、1000円)や日帰り入浴(500円)は大人だけでも楽しめます。
 そしてお食事処も。

陣馬街道

 熟練のそば職人が手打ちしたそばを提供する、お食事処「いろりばた」。
 現在は通常メニューの他に、手打ちそばや各種天ぷら・鶏のから揚げが食べ放題になる期間限定メニューもあるそうです。制限時間60分で料金は大人1980円(税込)って、安くないですか!? でも今日はひとりだからなあ。
 いい歳をしたおっさんがひとりで鼻息荒くして食べまくるってのもどうかと思うので今回はパス。次回、機会があれば友人を誘って挑戦してみよう。

恩方の偉人

陣馬街道

 そしていよいよ「夕焼小焼館」。1階には中村雨紅の展示ホールや、一般カメラマンの風景写真が飾られた市民ギャラリーなどがあります。

陣馬街道

 中村雨紅の展示ホール。直筆の歌詞もパネル展示されています。
 中村雨紅は「夕やけ小やけふれあいの里」に隣接する宮尾神社の宮司の子供として生まれ、大人になってからは日暮里の小学校の教師になります。通勤のため、上恩方町(旧・恩方村)から八王子駅まで徒歩で通っていたそうですが、帰り道で見た夕焼け空に、幼き日々の情景を重ねて童謡「夕焼小焼」の歌詞が浮かんだのだとか。
 中村雨紅は恩方の偉人です。
 そして恩方の偉人といえば、もうひとり。日本の風景写真の第一人者、前田真三は下恩方町(旧・恩方村)の出身。北海道、美瑛の丘の風景写真は誰もが目にしているはず。北海道好きのツーリングライダーだったら写真集、買った人も多いんじゃないですか? 筆者もそのひとり。
 偉大な文化人を輩出した旧・恩方村、すごいです。

陣馬街道の旅は続く

「夕やけ小やけふれあいの里」を後にし、陣馬街道の旅を続けます。東京都内とはいえ、多摩地区の端っこのほうですから、ローカルな風景がなんともいえず、いい雰囲気。

陣馬街道

 渋い木造建築を発見。
 これは郵便局でした。「上恩方郵便局」という看板の文字が、右から左へ書かれているのも古くさくて素敵。
 そして北浅川の細い流れをさかのぼるようにして陣馬街道をたどっていくと、いつしか道が細くなっていきます。

陣馬街道

 うろちょろしてたら、風情ある一角に遭遇。故郷を思い出すなあ。昭和にタイムスリップしたかのよう。

陣馬街道

 やがて道は勾配を強め、森の中へ。クロスカブ110は、トップギアを維持できません。4速から3速、そして2速へとギアを落としてようやく登れる状態。
 クルマがすれ違えないほどの狭路。待避所もない、険しい道。山深くなってくるにつれ、カーブも多くなってきます。そろそろ峠の頂上か?

ついに和田峠へ。しかし!

陣馬街道

 長い登りの峠道が終わると、左手に茶屋が。和田峠に到着しました。平日のせいか、峠の茶屋はお休み。
 ここからは峠の向こう、神奈川県側へと下るのみ。ずんずんと下れば陣馬街道は再び甲州街道と合流しますので、今度は甲州街道を東へ進めば東京へ帰れる。
 のですが、なんと!

陣馬街道

 神奈川県側のゲートに「路面凍結」の文字が。どうする? でも通行止めじゃなくて「通行注意」で、ゲートも開いている。しかももう、3月中旬。
 行けるだけ行ってみて、ダメならそこで引き返すか……。

陣馬街道

 はい、ダメー。
 ゲートから50mほど進んだところで道幅いっぱいに凍結してました。
 来た道を引き返すしかありません。
 陣馬街道の完全制覇、今回は失敗です。

八王子ラーメンの名店へ

 来た道をひたすら戻り、途中でラーメン食って帰るか、ということに。
 めざすは八王子ラーメンの名店として知られる、中華そば専門店「味幸(みこう)」。
 陣馬街道沿い、地元のスーパーアルプス恩方店のすぐそばにあります。

陣馬街道

 クルマで来たお客さんはスーパーアルプス恩方店の第3駐車場を利用(店前の道路をはさんだ向かい側)。クロスカブはお店の裏のスペースに駐めさせてもらいました。
 1983年創業、席数は10席程度の小さな店で、おいしい八王子ラーメンが食べられるお店として古くから地元の方々に愛されています。
 お店の横に並んで待つことしばし。しばらくして席に通され、注文したのはこれ。

陣馬街道

 バラチャーシュー並950円。
 箸で持ち上げられないほど柔らかいバラチャーシューが5枚、細く割かれた味わい深いメンマ、海苔、ナルト、そして八王子ラーメンの特徴である刻みタマネギの薬味。
 キレのある醤油スープは透明な油の層で覆われ、麺は中細のストレート。旨いんだよなあ、これが。
 そして高騰を続ける現在のラーメン価格を考えると、安いとも思うのですよ。ふつうの中華そば並が700円、薬味の刻みタマネギがこれでもかと盛られた薬味ラーメン並が850円。それぞれ大盛りが100円増し。
 激ウマの八王子ラーメンをいただいて、この日は帰宅。陣馬街道の東京側は充分に満喫した感じ。神奈川県側は桜が咲いた後ぐらいに行こうかと思案中です。
 ではまた!

 

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