日本に古くからある橋のうち、特徴ある構造から「日本三奇橋」として数えられてきたのが山梨県大月市の猿橋、山口県岩国市の錦帯橋、富山県黒部市の愛本橋。このうち愛本橋は現存していないので近年は徳島県三好市の「祖谷のかずら橋」が「日本三奇橋」のひとつだとする説も有力になっています。前回は猿橋をご紹介しましたので、今回は錦帯橋と、祖谷のかずら橋についてのお話です。

山口県岩国市「錦帯橋」

錦帯橋

 錦帯橋は1673年、岩国第三代藩主の吉川広嘉によって創建された5連の木造橋。山上に築かれた岩国城と、その下の城下町を隔てる川幅200mの錦川に、4つの橋脚を建て、中央3連がアーチ橋、両端が桁橋という独特な形状が美しく、日本三奇橋どころか日本三名橋にも数えられています。
 橋の長さは約193m、幅は約5m。巻きガネとカスガイという「木組みの技法」で造られていて、その精巧なアーチ構造は現代工学から見ても非の打ちどころがないといわれているとか。
 大勢の人間が橋を通ることで上から圧がかかれば、いっそう強度が増していく構造だというのですから感心します。
 木造ゆえに腐朽による傷みは避けられませんが、架け替えれば50年は平気だと聞いたことがあります。けれども建造技術の継承のため、あえてサイクルを50年よりも短くして架け替えを繰り返しているとも。

錦帯橋

 春は桜の名所としても親しまれている錦帯橋。例年の見頃時期は3月下旬~4月上旬だそうですので、この記事が公開される4月8日だと遅いかも知れませんが、桜は散り際も美しいものですから、お近くにお住まいの方は出かけてみます?
 錦帯橋は渡る際、入橋券(往復のみ)が必要となります。券の料金は大人310円、小学生150円。
 オートバイの駐輪場所として錦帯橋にもっとも近いのは、河川敷にある錦帯橋下河原駐車場。ただし地面は砂利ですのでご注意を。駐輪料金は3~5・9~11月の土日祝とお花見シーズンの平日が1日300円、それ以外は無料。

旅の記念に岩国寿司を

岩国寿司

 錦帯橋を見学したら、岩国観光の記念に郷土料理の岩国寿司をいただきましょうか。
 岩国寿司は、色とりどりの具が散りばめられた押し寿司。江戸時代、岩国藩主・吉川公に献上して喜ばれたということから「殿様寿司」とも呼ばれているそう。特産品の岩国れんこんの酢漬けや、伝統野菜のチシャ、アナゴの煮付け、錦糸卵、でんぶなどが使われています。
 筆者は錦帯橋のたもとにある食事処「むさし」でいただきました。華やかな見た目の通り、口の中いっぱいに幸せが広がるような味でした。

徳島県三好市「祖谷のかずら橋」

かずら橋

 秘境「祖谷」にある、かずら橋。寒い冬山で採取したシラクチカズラ(別名サルナシ)を編まれた橋で、長さは約45m、幅は約2m。祖谷川の上、水面からの高さは約14mもあり、渡る際は橋が揺れます。そして橋床の隙間から谷底が見えるため、スリルが味わえます。

かずら橋

 なぜこんな構造なのか、その由来には諸説あり、平家の落人が追手から逃れる際に切り落とせるようにした説、四国巡行中の弘法大師が橋がなくて困っていた村人たちのために作った説などがあるとのこと。
 日本三奇橋のなかで、もっとも奇橋だなと感じます。
 渡れるのは日中のみで、料金も必要。大人550円、小学生は350円。橋から徒歩5分の場所に「かずら橋夢舞台」という市営駐車場があり、オートバイの駐輪料金は210円。

スリルならこちらも「小便小僧」

 かずら橋を渡るのは度胸が試されるものですが、怖さでいえば、こちらもかなりのスリルが味わえます。かずら橋から約9㎞、バイクなら約17分で行ける、祖谷渓の小便小僧。

 祖谷川の断崖に開設された険しい祖谷街道(県道32号)。その街道で一番の難所といわれる七曲という場所の、谷に突き出した岩の上にあります。
 制作者は、徳島県の彫刻家・河崎良行氏。
 祖谷街道の工事作業員や地元の子供たちが、昔、この岩のあたりから度胸だめしで立ち小便をしたという逸話から制作されたそうですが、谷底からの高さは200mですよ、ここで立ち小便なんて怖すぎます。というか、小便小僧を設置する作業自体も怖い。
 かずら橋からここまで、バイクなら約17分で来られますので、祖谷渓ツーリングの際はぜひ!

 

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