グロムの“パリダカ仕様”あらわる
南房総に引っ越し、ハンターカブを買って以来、ツーリングに行く回数が増えた。じつはもともと、がんがんツーリングに出かけるというタイプではなく、とくに冬はがっつり“休眠”するキリギリスタイプ?のライダーだったのである。(南房総に引っ越した理由については「南房総がいざなう“2台持ち”生活」をご覧ください)
そんな僕がこの秋冬、なぜ頻繁にツーリングに行っているかというと“お誘い”が増えたからである。ひとつは僕の住む南房総が秋冬のツーリングに絶好のロケーションだということ(海、山があり、比較的暖かい)。もうひとつは“カブ主”ことカブ・オーナーを始めとする「原付二種」仲間からのお声がかかるようになったからだ。そう、高い山がなくしたがってガッツリ峠道もない、総じて道も狭い南房総は、原二によるのんびりツーリングに最適なのだ。(こちらについては「初めてのカブ主ツーリング、南房総は“カブ天国”だった」をご覧ください)
2022年一発目のツーリングはその“原二仲間”のお誘いである。東京および神奈川の原二乗り3人が、東京湾フェリーに乗って南房総にやってくるという。東京湾フェリーは神奈川県の久里浜港と房総の金谷港を片道35分で結ぶ船。これを使えばアクアラインに乗れない原二でも、気軽に南房総に渡ってこられるのである(神奈川から下道で南房総に来たら、とんでもなく時間がかかる…)
待ち合わせたのは金谷港から走って15分ほどの道の駅「富楽里とみやま」。集まったのはホンダのグロムが2台、エイプ、そして僕のハンターカブ。
上の集合写真を見て「あれ?」と思った方。そうなんです。手前のバイクは現行のグロムをかつてのホンダ「XL250Rパリダカール」風にカスタムしたもの。このグロムのオーナーである僕の友だちが自らキットパーツを開発し、まもなく商品化するとのこと。それにしてもよくできていました!
基本的にボルトオンで付けられるカウル、タンクカバー、フェンダーだけで、上手に80年代のXLRの雰囲気を再現している(販売されるキットは未塗装)。思えばバイクブームの頃って、小さなバイクをレーサー風に仕立てた遊びゴコロたっぷりのモデルがあったよね。ホンダNSR、ヤマハYSR、スズキGAG……。このグロム・ダカールにはそんな雰囲気があり、なおかつこのバイクはブロックパターンのタイヤ、「OVER」のマフラーなどでさらに“ヤル気”満々のルックスに。ほしくなる(^^)
南房総にMotoGPファンの聖地が?
さて、4台が揃ったところで出発。この日の目的地はランチスポットにあり。房総半島の最南端、白浜にある「BLUTO'S CAFE(ブルートズ・カフェ)」。じつは僕も前から行ってみたいと思っていた、なぜならこちらのカフェ、Moto GPクラスに日本人ゆいいつレギュラー参戦する中上貴晶選手の親戚が経営するお店、なのである。噂では店内にバイクやレース関連の展示などもあるとのことで、ライダーにとっては“知る人ぞ知る”お店なのだ。
集合した「富楽里とみやま」からブルートス・カフェまでは約25km、時間にして1時間弱ほど。まっすぐ行くとオープンの11時前に着いてしまうので、南房総の観光スポットでもある「原岡桟橋」に立ち寄る。
ここは一部が木製になっているレトロな雰囲気の桟橋で、天気がいい日は夕陽と富士山が望める。それを目的に訪れる人が多いので、午前中はわりと空いているのである。青い空と海、砂浜、原二4台。気になった場所にちょこっと立ち寄ったり、バイクを止めたり、そういうのが苦にならないのもこのサイズのよさ。
今回のツーリングメンバー(撮影者は僕)。なんでオヤジライダーはカモフラ柄が好きなのか? そして全員ニットキャップ(笑)。このオヤジライダース・ファッションの「謎」については、またあらためて解明したいと思います。さあ、これから向かえばちょうど開店時間に着きそう。
南房総の道は信号も少なく、交通の流れがいいので(つまり空いている)、時間が読めるのがいいところ。ペースも100〜125ccの原二が気持ちよく飛ばせるスピードだ。走ること40分ほど、白浜の「BLUTO'S CAFE」に到着。ピンク色の外観がかわいい南欧風の建物が目印だ。店の前にはバイク用の駐輪スペースもあり。
席から海が望める店内は、ヨーロピアンな雰囲気でとても落ち着ける。じつは宿泊施設もあるそうで、そう言われてみれば海外のオーベルジュ(レストランを併設した宿)という感じもする。
お店のオーナーともお話ができた。中上選手のお母さんのお兄さん、つまり叔父さんにあたる方で、10年前にこの地にこのカフェ(とホテル)を開いたそう。中上選手が若い頃からレース活動を応援し、毎年年始には本人がブルートズ・カフェを訪れるという。
コスパ抜群、大満足のランチ
メニューは温かくてお腹に溜まりそうな肉系が中心。ツーリングライダーにはありがたい(^^) “人気ナンバー1”と書いてある「ビーフグラタンカレー」を注文する。なおランチメニューは全品サラダ、スープ、ドリンク、デザート付き、となっている。
メインのビーフグラタンカレーは想像通りの美味しさ。だってカレーにチーズのっけて焼いちゃうなんて、美味くないわけがない。そして前菜のサラダからデザートのシフォンケーキまで、どれもランチセットの“オマケ”レベルじゃなくて、ボリュームも味もしっかり一品ぶん。つまりブルートズ・カフェのランチ、かなりコスパ高いです!南房総ツーリングの目的地として、間違いなくオススメ(^^)
衝撃的なトイレとの出会い
しかし、こちらのカフェの本当のすごさを知るのは、じつはこの後だった……。出発前にトイレに行こうとすると。
中上選手のツナギやヘルメット、子ども時代に乗っていたと思われるポケバイが飾られている! これはもう、Moto GPファン、レース好きにはたまらないはず。さらにトイレに行くと……。
うおおお!ここがトイレなのか!? むしろ部屋のなかにちょこんと便器が置いてあるような。僕の人生で出会った“最も広い(個室)トイレ”の記録が塗り替えられた瞬間。バイク(ドゥカティ)が置いてあるトイレも、もちろん人生初。だって、うちのリビングより確実に広い(涙)。繰り返しますが、南房総ツーリングに行ったさいは、絶対に寄ってください。“激しくオススメ!”に格上げ。
こちらはカフェの美人女将の山口さん。とても気さくな方で、カフェを訪れたお客さんの写真を撮ってお店のブログにアップしているということで、我われも撮っていただきました。BLUTO'S CAFEのブログはこちら。
帰路は房総半島の南端をグルっとめぐる「房総フラワーライン」経由で。道の両側に咲く黄色い菜の花に、ひと足早い“春”を感じつつ。じつはこのあと、金谷港から東京湾フェリーに乗り、こんどは神奈川側でもう一軒カフェへ……と続くのですが、それはまたの機会に(長くなったので)!
→「続・原二ブラザースの旅。フェリーで南房総から三浦半島へカフェめぐり!」を読む