ぐっすりと眠って、疲れを取ること。これは普段から大切なことですが、キャンプツーリングの場合も同じです。キャンプの朝、疲労の残った状態でバイクを運転するのは危険。走行中、居眠りしそうになるなんてことも、絶対に避けたいですよね。そこで今回は、快眠のためのアイテムとして重要な〈キャンプ用マット〉のお話を。

キャンプ用マットの種類

キャンプ用マット

 キャンプ用マットの種類は、大きく分けて4つ。ひとつは、いわゆる銀マット(筆者は現在所有していないので画像にはありません)。青い発泡ポリエチレンにアルミ蒸着させた、主に丸めて運ぶタイプです。手軽だし、軽いし、マットの中ではもっとも安く手に入る。欠点は、かさばることと、寝心地がやや劣ること。
 ふたつめは、インフレータブルマット(インフレーターマットとも。画像の一番上)。保温性のあるクッション材をポリエステル素材などで覆ったタイプ。エアバルブを開いて広げれば、ある程度までは勝手に膨張してくれるものもあり、あとは自分で必要な分だけ息を吹き込めばいいという点で、使い勝手がいい。欠点は、パンクをすると寝心地が一気に悪くなること。マットの中ではもっとも高い部類に入ります。
 三つめは、クローズドセルマット(画像の中央)。XPEフォームやEVAフォームといったクッション材を使ったもので、持ち運びの際は蛇腹式に折りたたむタイプが主流。軽く、温かく、何よりパンクの心配がないという点が優秀。広げるだけですぐに使える点もメリットです。欠点は、銀マット同様にかさばること。
 四つ目は、エアーマット(画像の一番下)。息を吹き込み、ふくらませて使います。ふくらんだ状態だとクッション性が非常に高いものの、パンクしたらアウトです。メリットは、収納時にもっともコンパクトになるところ。

寝心地や使用感について

キャンプ用マット

 画像の一番下、インフレータブルマットは適度なエアーとクッション材のダブル効果で寝心地がよく、マット自体の安定感があるため寝返りも打ちやすい。表面がフラットなので背中に違和感もありません。
 真ん中のクローズドセルマットは、柔らかすぎず、固すぎない、適度なクッション性があります。素材の強度とクッション性は相反しますから、長持ちするように強度を上げれば(固い材質にすれば)クッション性が損なわれるし、クッション性を高めるために柔らかい材質にすれば強度が下がります(へたりやすくなる)。だからメーカーはそのバランスを考えて作っているのでしょう。寝心地はインフレータブルマットに劣りますが、表面の凹凸は無数の点で身体を支える西川のムアツふとんのようで、これが好きという人も多いようです。凹凸のおかげで、背中がムレにくく感じます。
 エアーマットは、厚みもあって寝心地はいいものの、反発がありすぎて寝返りが打ちにくいこともあります。シングルサイズの横幅は60㎝弱しかありませんから、寝相が悪いと寝返りを打った際、身体の下からマットが横にはじかれることも。

収納サイズはこんなに違う

キャンプ用マット

 マットの種類によって、収納サイズは大きく異なります。画像の上、クローズドセルマットは、中の空気を抜くということができませんから、収納時の体積はそのまま。使用時に183x56x2cmだった筆者のクローズドセルマットは、収納時に13×56×12cm。大きいですね。
 右下のインフレータブルマットは、畳んで丸めると中の空気が抜けますから、コンパクトになります。実測値でφ17×27cmぐらい。
 左下のエアーマットは、インフレータブルマットと違って中にクッション材が入っていませんから、一番コンパクトに。実測値でφ11×22cmぐらい。とても小さくなります。

キャンプ用マット

 コンパクト収納が最大のメリットであるエアーマットならば、パッキングの際に困ることはありません。バッグのどこにでも入れられます。

キャンプ用マット

 インフレータブルマットも、マットの厚さが2.5cm程度のものなら収納もコンパクトになりますので、大型のバッグであれば苦労なく入れられます。

キャンプ用マット

 クローズドセルマットだと大きすぎて、バッグの中に入れようという気になりません。けれども幸いなことに軽いので(筆者のものは約500g)、バッグの外に問題なく取り付けられます。

 どのタイプのマットがキャンプツーリングに適しているのか。どれも良し悪しがあり、なかなか答えが出せないというのが正直なところ。
 極寒の地で眠るというのならば、マットがパンクして保温力を失ってしまうと困るのでパンクしないクローズドセルマットの一択、とも言えそうですけど、ふつうはバイクで雪山には行きません。
 寒くない季節、ふつうのキャンプ場でインフレータブルマットを使っていて、仮にパンクしたらどうでしょう。たいらに整地されたサイトだったら、中のクッション材がある分、少しはマシだともいえます。
 筆者がキャンプを始めた10代のころは、コストの理由で銀マットを使っていました。その後、寝心地を追求してエアーマットに変更。使っているうちにパンクして嫌気がさしたので、それからはずっとインフレータブルマットをメインに使ってきました。でも、インフレータブルマットも製品の当たり外れが大きく、すぐダメになるものもあったりして……。

 今回は、ここまで。次回からはそれぞれのマットのメリット・デメリットを深堀りしてみたいと思います。

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