怪獣映画『ゴジラ』やテレビ番組『ウルトラマン』を生み出した特撮技術の第一人者、円谷英二。故郷である福島県須賀川市に、氏の偉業を顕彰するミュージアムがあるのをご存じですか? 入館料が無料だというのに、英二監督の生涯の歩みが理解できるパネルや、特撮メイキング映像、怪獣の造形物など、貴重な資料がいっぱい。ファンにはたまらないミュージアムなのです。

歩道にウルトラ戦士が!

円谷英二ミュージアム

 円谷英二ミュージアムは、須賀川市民交流センター「tette」にあります。「tette」は須賀川市内の中心部にある「松明通り」にあるのですが、この松明通りにはウルトラマンやウルトラセブンなどのウルトラ戦士、宇宙怪獣エレキングやコイン怪獣カネゴンなどのモニュメントが点在していて、それだけでも訪ねる価値があるほど。

円谷英二ミュージアム

 こちらが「tette」。図書館やこどもセンターなどがある複合施設です。円谷英二ミュージアムは、その5階にあります。

いざ、円谷英二ミュージアムへ

円谷英二ミュージアム

 円谷英二ミュージアムは、4つのエリアで構成。まずは英二監督の生涯をパネルで紹介する「円谷英二クロニクルボックス」。1901(明治34)年に須賀川市で生まれた円谷英二(本名:英一)の幼少期から、青年期、そして18歳で映画界入りしてからのエピソードなどが詳しく紹介されています。その、なんともチャレンジングな人生!
 そして英二監督は、1954年公開の映画『ゴジラ』よりも前から、すでに特撮技術を駆使した映像表現に取り組んでいらっしゃったんですね。知りませんでした。

円谷英二ミュージアム

 怪獣映画がどのように撮影されていたかが分かる、貴重なパネル写真も豊富。
 これは1965年公開『怪獣大戦争』で、ゴジラとキングギドラに演技指導している様子。精密なセット美術、創意工夫に満ちた特撮技術、スーツアクターの優れた演技など、すべてが高次元で揃わないと映画『ゴジラ』シリーズの大ヒットは生まれなかったのでしょう。

円谷英二ミュージアム

 スーツアクターが、ゴジラの足を操演している様子。下半身だけの着ぐるみがあるなんて、想像もしていませんでした。

「空想アトリエ」にはゴジラが!

円谷英二ミュージアム

 円谷英二ミュージアムの中央にある「空想アトリエ」は、生物学や機械学などさまざまな分野と関連づけた、怪獣やメカ模型の展示物と、関連図書を集めたエリア。
 復元された初代ゴジラスーツがド迫力で見下ろしてきます。質感の素晴らしさと造形美に感動するばかり。

円谷英二ミュージアム

 初代ゴジラは、天才科学者・芹沢博士が開発した最終兵器オキシジェン・デストロイヤーによって白骨化するわけですが、この骨格の恐ろしいほどの想像力となんとも精密な作り込みに、目を奪われてしまいました。ゴジラが実際に存在していたとしたら、骨格はまさにこうでしょう。

円谷英二ミュージアム

 1964年公開の『三大怪獣 地球最大の決戦』。地球へ飛来した宇宙超怪獣キングギドラを、ゴジラ、モスラ、ラドンが協力して迎え撃つシーンが再現されていました。
 そりゃあ、ローアングルからシャッターを切りたくなるというものです。

壮大なミニチュアジオラマ!

円谷英二ミュージアム

 円谷英二ミュージアムの右奥は「特撮スタジオ」エリア。英二監督が多くの作品を手掛けた東宝撮影所を、ミニチュアのジオラマで再現。これは英二監督の最後の映画作品『日本海大作戦』(1969年)の撮影シーンだそうです。
 撮影スタッフの大きさから想像すると、とてつもなく大きなプールを造営して撮影したんですね。プールに浮かぶ戦艦もかなり大きいです。

円谷英二ミュージアム

 『日本海大作戦』のジオラマの横には、円谷英二ミュージアム特別映像『~夢の挑戦 ゴジラ須賀川に現る~』の撮影シーンが再現されていました。実際の映像作品は、このミュージアム内で観ることができます。

特撮シーンたっぷりの14分間

円谷英二ミュージアム

 円谷英二ミュージアム特別映像『~夢の挑戦 ゴジラ須賀川に現る~』は、ミュージアムの左奥で視聴することができます。この作品は、ゴジラが須賀川市に現れるという、須賀川市民にとっては夢のような映像で、多くの市民がエキストラ参加。現代の円谷組ともいえる特撮のプロたちが撮影。
 映像は「メイキング パート」(約8分)と「本編」(約6分)で構成され、常時ループ再生していますので、いつ行っても観られます。ミュージアム内に展示してある初代ゴジラ再現スーツが登場する、ここでしか観られない特別映像は、必見!
 いやあ、感動。そして満喫。こんなにたくさんの展示物や作品が観られるなんて、須賀川市のみなさん、そして東宝と円谷プロダクションに感謝しかありません。

円谷英二ミュージアム

 円谷英二ミュージアムの開館時間は9時から17時まで。火曜と水曜は閉館日です(年末年始も)。観覧料は無料(常設展示以外の企画展の観覧を除く)。
 須賀川市民交流センター「tette」の横には無料の駐輪場があります。みなさんも愛車でぜひお出かけください!

 

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